【カスタマーエクスペリエンス(CX)コラム 第5回】
「多次元複合データ分析技術」と「AIによるレコメンド」でLTVを最大化!
最新技術を活用して、マーケティングのPDCAを回す

ビジネスでは、計画を立て(Plan)、実行し(Do)、結果を評価し(Check)、対策を講じ(Act)、さらに新たな計画につなげていくというPDCAサイクルが重要ですが、マーケティングにおいても同様です。
言葉にすると簡単ですが、実施するとなると様々な困難に直面します。どうすれば、これらの課題をクリアできるのでしょうか。

適切な「クラスタリング」「レコメンド」は難しい

マーケティングのPDCAサイクルを回す際に、特に難しいことが2つあります。
1つは適切なクラスタリング、もう1つは適切なレコメンドです。


クラスタリングとは、特徴の似ているユーザーをグループ化することです。一般的に行われている、年齢・地域・性別などのセグメンテーションによるクラスタリングでは、実は効果が低いのです。例えば、20代・東京在住・男性といったクラスタでは範囲が広すぎて、どんなレコメンドに効果があるのか分かりません。かと言って、属性を増やしてみると、今度は範囲が狭くなりすぎてしまいます。
そこで必要となるのが、ユーザーの関心・行動・趣味や気候などによる、きめ細かいクラスタリングです。


レコメンドの主な目的は、顧客1人あたりのLTV(LifeTime Value、顧客生涯価値)を向上することです。
よくあるレコメンドでは、ハンバーガーを買った人に対して、他のハンバーガーやピザ、フライドポテトなど、同じ商品カテゴリの商品を提示することです。しかし、同じ商品カテゴリの顧客内シェアはあまり変わらないので、それではLTVを向上することは難しいでしょう。
そうではなく、ドリンクや調味料など、フードと一緒に購入する可能性の高い、別の商品カテゴリの商品をレコメンドすれば、LTVを向上させることができるのです。

PDCAを回せるマーケティング・ツールに最新技術を組み合わせる

適切なクラスタリングとレコメンドを実現するためには、どうすればよいでしょうか。
1つのツールで全てを解決するのは難しいので、PDCAを回せるマーケティング・ツールをベースにして、それに最新技術を提供するツールを組み合わせるのがよいでしょう。このような考え方を採用すれば、さらなる最新技術が登場したときにも柔軟に取り入れることができるからです。


弊社ではデジタルマーケティングのPDCAを管理するソリューションとして、MarketingAuthorityというツールを提供しています。それに、「多次元複合データ分析技術」を組み合わせることで前述の困難を解消することができます。
なお「多次元複合データ分析技術」はNTTアドバンステクノロジが提供する、NTTグループのAI「corevo」を構成する技術です。

多次元複合データ分析技術でソフトクラスタリングを実現

MarketingAuthorityは下図の概念でPDCAを管理することができます。

pdca

Planのフェーズで、セグメントを定義し、クラスタリングを実施しますが、ここで「多次元複合データ分析技術」を活用します。
例えば雨の日に、Aさんはゲームをすることが多く、Bさんはピザを注文することが多く、Cさんはスポーツ番組を見ることが多いということが分かったとします。そこで、Aさん、Bさん、Cさんと同じような行動傾向の人を同じクラスタに登録し、雨の日にはそれぞれのクラスタに、ゲーム、ピザのクーポン、スポーツ番組をレコメンドすれば効果が高くなります。
ここで重要なのは、1人のユーザーを1つのクラスタに属するようにクラスタリングするのは、あまり意味がないということです。気候などはいろいろありますし、どの要因に影響されやすいかは人によっても違います。1人のユーザーが複数のクラスタに属するように分割する(=ソフトクラスタリング)必要があり、このことを可能にするのが「多次元複合データ分析技術」なのです。

AIを応用して他の商品カテゴリの商品をレコメンド

クラスタリングができれば、次はDoのフェーズでレコメンドを実施します。
別の商品カテゴリの商品をレコメンドできればLTVが向上することは前述した通りですが、従来は全カテゴリをまとめて類似商品を計算で割り出していました。しかしこれではレコメンドがヒットする確率が低くなり、効果的ではありません。例えば、ハンバーガーに対してワインをレコメンドするようなケースが多くなるということです。
ハンバーガーであれば、コーラやシェークをレコメンドできれば効果が高まりますが、このためにはカテゴリごとに類似商品を計算し、他のカテゴリと横串を通す必要があります。

PDCAを回せるツールをベースに置く

以降は、Checkのフェーズで結果データを収集して、BIツールなどを活用して分析し、Actのフェーズでセグメントやレコメンド内容を見直して、マーケティング施策を改善していきます。
マーケティングのPDCAを回す方法をご紹介してきましたが、最も重要なのは、根底に一貫してPDCAを管理できるツールがあることです。ベースがしっかりしているからこそ、最新技術を応用した課題解決にも意味が出てくるのです。

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