MarketingAuthority カスタマーエクスペリエンスコラム第3回
【カスタマーエクスペリエンスコラム(CX) 第3回】
デジタルマーケティングの「5W1H」
――顧客が求めている情報を、効果的なタイミングで、最適なチャネルから提供せよ
デジタル技術の発達に伴い、プッシュ型の情報提供で5W1Hを考慮した高い効果を生み出す方法が登場してきています。
この実現のためには、ペルソナ(顧客像)を導き出し、ペルソナごとに仮説を構築して、検証していくプロセスが必要になります。
そのプロセスとはどのようなものでしょうか。またペルソナを考えるうえで、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
見たいものを、見たい時間に、見たい場所で、見たい方法によって見せる
マーケティングにメルマガを活用している企業は多いでしょう。これは顧客への情報提供手段として現在も有効ですが、どういった内容にするのか、どのくらいの頻度で送るのか、なかなか難しいものです。これはメルマガだけでなく、プッシュ型の情報提供では必ず直面する問題です。
デジタル技術の発達に伴い、こういったプッシュ型情報提供の課題を解決する手法が出てきました。それは顧客属性や行動履歴など(根拠=Why)を組み合わせて、顧客(Who)が見たいもの(What)を見たい時間(When)に見たい場所(where)で見たい方法(How)で見せる方法です。まさに5W1Hを組み合わせた情報提供法だと言えます。
いつ・どこで・何を・どうやって送ればいいかを顧客にヒアリングできればいいのですが、そのような機会を大勢の顧客と持つことは困難です。顧客自身、自分が求めているものを把握していない場合もありますし、知っていても企業に教えてくれないこともあります。
しかし、デジタル技術が発達し、顧客属性や行動履歴を自動的に収集できるようになりました(下図)。そのおかげで、顧客のニーズを「聞かずに察する」ことができるようになったのです。
ペルソナを導くためには「アンケート」が有効
5W1HのうちWho、すなわち「顧客」に該当するのは実在する個人ではなく、「ペルソナ」と呼ばれる顧客像になります。特に、いつ(When)とどうやって(How)を決めるためには、アンケート調査でペルソナを導き出す手法が有効です。
例えば、ある商品を60代の男性に紹介したいとします。その際には、アンケートページを作成し、アンケートへ誘導するメールを送付します。
ここで注意してほしいのは、アンケートで「いつ、どうやって情報を送ってほしいか」をストレートに聞くのではないということです。アンケートは回答時間やブラウザ・OSの種類、メール配信日時、メール開封数などを調べるために送ります。
アンケートにする理由は、商品の直接的な売り込みではない分、受信した人に協力してもらいやすいからです。協力者へのポイント付加やプレゼントなどをタイトルに入れると、より多くのデータを集めることができます。
誘導メールの開封状況やOS情報などから、60代男性は「インターネットには午前6時から10時にアクセスし、PCからの利用が圧倒的に多く、平日にメールを見ていても、ホームページにアクセスするのは週末の時間があるとき」というようなペルソナを導き出すことができます。
ペルソナからマーケティング仮説を構築し、検証する
導き出したペルソナから、次はマーケティング仮説を構築します。
例えば先ほどのペルソナから、「インターネットにアクセスする1時間前の午前5時に送信すると開封率が高くなるのではないか」「週末から2日前の木曜日に送信すると開封率が高くなるのではないか」「PCからの利用が圧倒的に多いのでHTMLメールのほうが効果的ではないか」といった仮説を立てることが可能です。ここでは顧客に「してほしい」ことの例を出しましたが、「してほしくない」ことも考えることが重要です。
仮説を立てたら、それを実践し、検証します。メールの配信日時、形式に関する仮説は、メール開封率、URLクリック率、ランディングページアクセス数、滞留時間などから検証できます。
これらの数字が目標を下回っているとしたら、メールの件名、送信者名、文面、URLの位置などに対する仮説を立てて、さらに検証を続けていきます。
ペルソナの粒度は細かければいいわけではない
よく耳にする疑問は、「ペルソナの粒度はどれぐらいがいいか」ということです。
実は、ペルソナは細かければ細かいほどいいというものではありません。母数が少なくなると、効果も下がるからです。
ただし、同じセグメントでも、アクセス数に違いがある場合には、ペルソナを分解して違いを見つけることも大切です。
最終的には、目的と予算および狙う効果でペルソナは変わってきます。この点については留意しましょう。