エムズコミュニケイト 岡田社長に訊く! CX&ポイントコラム 第1回
顧客管理の一元化/ID統合の事例と方法:後編

顧客の一元化、顧客ID統合の課題や各業界の実施事例、また一元化、統合する際のポイントについて前編、後編でご紹介していきます。

前編
  • ・顧客ID 一元管理とは?
    実現できることは何?
  • ・顧客の一元管理ができていないNG事例
  • ・企業が顧客ID管理・統合に動く理由と背景
  • ・顧客ID統合の業界動向事例
  • ・顧客ID統合とポイントサービスの活用
後編
  • ・顧客ID統合の方法とその事例紹介
  • ・顧客ID統合の方法はどのように決定するか
  • ・顧客一元化・ID統合システム構築時の技術的ポイントとは?

顧客ID統合の方法とその事例紹介

 最近、大手の鉄道会社でもグループ内での顧客IDを統合し、グループ事業毎に行っていた顧客向けの会員サービスを統一化する動きが出ています。JR東日本のJREポイントなどがその例です。顧客IDを統合する方法としては、企業の方でそれぞれの事業やサービス毎に発生している顧客IDを一括名寄せする方法と、顧客に名寄せをしてもらう方法と2種類あります。一般的に顧客ID統合というと前者のイメージがあるかもしれません。しかし、実際名寄せをしようとしても、既存で各事業、サービス毎に管理している会員情報の登録情報、管理方法が異なっているため、会員個人を特定する情報を何とするかが異なっていたり、正しく情報登録されていなかったりすることにより、コストと時間をかけた割に、70%程度の名寄せしかできなかったというケースも多々あります。

 従って、JR東日本グループでは自社グループ共通ポイント「JREポイント」をスタートさせた際、既存で各事業、サービス毎に行っていた会員サービス、ポイントサービスを統合する方法として、顧客自身にまとめてもらう後者の運用方法を採用しています。
 JREポイントのサイトでは、「カードとSuicaのおまとめ」「カード同士のおまとめ」「Suica同士のおまとめ」の手順をそれぞれ案内しています。
 例えば、一人の顧客が駅ビル商業施設アトレの会員カードと電子マネーSuicaを持っている時、顧客におまとめサイトでユーザーIDを統合する手続きを行ってもらっています。 ただ、この方法は、顧客への分かりやすい案内やメリットをしっかりお伝えしなければ、統合化自体が進まないという難しさもあります。

顧客ID統合の方法はどのように決定するか

 どちらの方法を選ぶかは、統合しようとする顧客IDがどのように管理されているかを調査することから始まります。例えば、各事業やサービスで異なるポイントサービスや会員特典サービスを提供していることが多々あります。
 100円毎なのか200円毎なのかポイント付与単位や付与率が異なる、また、入会金を取得している会員サービスもあれば無料の会員サービスが混在していることもあります。その場合、統一化が難しく、顧客にそれぞれ保有している会員カードなりを統合する手続きをしてもらうことになります。
 顧客にとってのメリットは、AカードとBカードのポイントが表面化することの利便性です。
 ただ、実際は、付帯特典が異なるため、会員カードを1つにしてしまうことはできず、A施設ではAカードを利用、B施設ではBカードを利用という実態を残して運用することが多いようです。
 企業側では一人の顧客がA施設、B施設それぞれでどのような利用を行っているかの利用履歴が取得できるということになります。

顧客一元化・ID統合システム構築時の技術的ポイントとは?

 自社に蓄積したり、外部に存在したりする顧客のデータを統合管理して、クリーンアップした形でマーケティング等に活用するための基盤のことをCDP(Customer Data Platform/カスタマーデータプラットフォームの略称)と言います。
 一人の顧客データをキーに、属性情報、Webアクセス履歴、購買履歴、位置情報、問い合わせ履歴などを紐づけして格納することができ、Cookie、デバイス、IPアドレスなどの匿名情報のみで構成されるDMP(Data management platform/データマネジメントプラットフォームの略称)も紐づけることが可能です。
 CDPを導入することで、顧客一人一人の情報の一元化が可能となります。
 顧客情報が一元化できることで、パーソナライズ(OneToOne)コミュニケーションが実現しやすくなります。また一元化した情報でカスタマージャーニーを顧客360°ビューとして可視化することが可能となります。

 従来の顧客管理は例えば、顧客の個人情報と購買履歴情報の管理に留まることが多かったのではないでしょうか。昨今は、データ管理方法やシステム、管理場所が異なる顧客に関するあらゆるデータを一つの基盤に集約させ、使いやすくできるようになっています。この基盤を活用することで、さまざまな関連情報を集積し分析し、個々の顧客に対する理解を深め、マーケティング活動や商品企画の精度を高めたり、顧客サービスや商品のあり方を根本的に変化させたりすることが可能になるわけです。


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 CDPを具体的に実現する手段にETLがあります。
 ETLとは、(「Extract:抽出」、「Transform:変換、加工」、「Load:書き出し」の略称)は、さまざまなシステムからデータを抽出し、それを変換先のデータに加工し、それを変換先データへ書き出すソフトウェアです。
 これらの作業を従来はすべてスクラッチ開発で実施する必要がありましたが、昨今はETLによりプログラミングせずに実施することができるようになりました。
 現在はさまざまな製品やデータフォーマットに対応したアダプタを備えた製品があり、アダプタによりさらに容易に各システムを接続することができるようになっています。接続元のシステムが増えても柔軟な対応が可能であり、社内に散在したデータの統合には最適な手段です。

まとめ

 顧客管理の一元化、顧客ID統合については、自社の戦略と顧客への提供メリットを十分に考え、顧客へは顧客サービスとして自社グループのサービスや特典を分かりやすく提供する必要があります。また、顧客ID統合マーケティング基盤の活用により、より顧客に寄りそったアプローチができるようになります。さらには顧客満足の向上が自社の利益向上と比例するのがあるべき姿となりましょう。顧客管理の一元化、顧客ID統合、マーケティング活用しやすいデータ基盤構築のための技術は飛躍的に進化していますので、CDPの構築やELTに精通している支援パートナー企業を選定するのが近道と言えます。 以上


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MarketingAuthorityなら、社内に散在するさまざまな顧客データを集約して利活用できる

岡田祐子プロフィール

株式会社エムズコミュニケイト代表取締役社長 岡田祐子

執筆者紹介:慶應義塾大学卒業後、大日本印刷入社。
2003年に国内唯一のポイントサービス/会員組織構築・運用に関する専門コンサルティング会社エムズコミュニケイトをDNPグループ会社として設立、2018年にMBO。

参考・引用出典:
・「ポイントサービスのしくみと会計・税務」EY新日本有限責任監査法人編(中央経済社発行)エムズコミュニケイト岡田執筆協力
・「成功するポイントサービス」株式会社エムズコミュニケイト岡田祐子著(WAVE出版発行)

『プロが教えるポイントカードの仕組みやメリット、導入する際の注意点』など、ポイントサービスの導入や改善に関するノウハウを読みやすい記事形式で紹介している。

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