MarketingAuthority ポイントコラム第1回
【ポイントコラム第1回】
ポイント市場トレンド
第1回目はポイントの市場トレンドについてお話したいと思います。
ポイントサービスは、国内で多くの企業が導入しながら、その効果の検証や、そもそもどういう状況であると成功と言えるのか、またそれを示す客観データが極めて乏しいというのが現状です。
そのような中、エムズコミュニケイトでは10年前からポイントサービスの効果を図る指標を開発し、大手企業に使っていただくと共に、その一部を公開し、ポイントサービスについて、正しい知識を得る一助となるよう、活動して参りました。
今回は、第4回目となり、昨年秋に実施したばかりのポイントブランド力調査結果の内容により、2017年のポイント市場についてどのように考えればよいかをお伝えしたいと思います。
※ポイントブランド力調査方法等詳細はこちらのページ(外部サイト)を参照いただくこととし、ここでは割愛いたします。
エムズコミュニケイトによるポイントブランド力の10の指標
①保有・利用(カバー)カ | そのポイントカードをいつも保有しているか、そのネットポイントをいつも利用しているか |
---|---|
②買物誘引力 | そのポイントがあることが買い物の後押しになっているか |
③金銭的メリット | 金銭的メリット(お得さ)を感じているか |
④金銭面以外のメリット | 限定感、特別感など、ポイント会員ならではの金銭以外の精神的メリットを感じているか |
⑤告知やキャンペーンの充実度 | お店(企業)からの情報発信やポイントのキャンペーンなどが充実しているか |
⑥利便性 | 使い勝手や利便性を感じているか |
⑦好意度合 | このポイントサービスが好きか、人に紹介したいか、身近に感じるか |
⑧Webアプリ機能 | Web 上でのサービスや機能が充実しているか(アプリ機能があれば)充実しているか |
⑨優良顧客メリット | 優良顧客向けのサービスが充実しているか、メリットが感じられるか |
⑩リピート化・離反防止 | このポイントがあることによって、来店・購買・サイト訪問などを継続したくなるか |
楽天は4回連続第1位、ポイント原資は加盟店負担の上圧倒的プロモーション量と頻繁かつ巧妙な情報、キャンペーンができやすい環境にあることが勝利の理由と言えます。
しかし、それ以降の順位は、必ずしも共通ポイントが上位を占めないということに注目していただきたい。
これは、独自ポイントであっても、どこでも使える(汎用)共通ポイント以上に顧客に支持される・響くポイントとなれる、ということを証明しています。
2016年ポイントブランド力調査(株式会社エムズコミュニケイト調べ)
16年 順位 |
13年 順位 |
ポイントサービス実施企業(サービス名) | 合計点 | 回答件数 | |
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← | 1 | 1 | 楽天(楽天スーパーポイント) | 31.94 | 2752 |
- | 2 | - | コープさっぽろ | 29.85 | 52 |
↑ | 3 | 51 | 丸井(エポスポイント) | 29.93 | 130 |
- | 4 | - | WAONポイント | 28.37 | 708 |
↑ | 5 | 15 | アメリカン・エキスプレス | 28.34 | 106 |
↑ | 6 | 11 | Tポイント | 28.33 | 1994 |
↓ | 7 | 2 | イズミ | 28.22 | 72 |
↑ | 8 | 17 | イオンカード(イオングループ) | 28.11 | 612 |
- | 9 | - | ビューカード(JR東日本クレジットカード) | 2757 | 212 |
↑ | 10 | 38 | 近鉄グループ(KIPSポイント) | 27.26 | 51 |
↑ | 11 | 18 | オリコ(暮らスマイル、オリコポイント) | 27.22 | 115 |
- | 12 | - | オークワ | 27.18 | 72 |
↑ | 13 | 16 | Ponta | 27.15 | 1126 |
↓ | 14 | 10 | フジ | 26.84 | 65 |
↑ | 15 | 21 | 三越伊勢丹(エムアイポイント) | 26.62 | 114 |
↑ | 16 | 40 | JCB | 26.59 | 522 |
↑ | 17 | 28 | クレディセゾン(永久不滅ポイント) | 26.55 | 519 |
↑ | 18 | 37 | ファンケル | 26.54 | 235 |
- | 19 | - | ライフカード | 26.48 | 104 |
↓ | 20 | 12 | 平和堂 | 26.38 | 154 |
* | * | 全体 | 25.38 | 43749 |
最新のポイントブランド力の傾向として、第2回目の「生活者のポイント意識」(リンク)でも詳しく述べるが、ポイント発行量は増え続け、影響力がますます強まる中で、実は生活者には「ポイント疲れ」が明らかに生じていることが発見されています。
さまざまな共通ポイントが乱立する中で、悪循環の構図が生まれており、企業にとっても生活者にとっても幸せなこととは言えません。
その中で、大手航空マイレージは飛行機に乗らない会員も含め、自社のマイレージにうまみを感じてもらうために、日常で使えるように踏み切ったり、体験型の交換特典を増やし、ニーズの多様化に対応するなどし、ランキング順位を上げています。
また、小売り自由化に伴い、電力、ガス会社もWEB上でのポイントサービスに工夫を凝らし、新規導入年度にも関わらず、支持率はまずまずといった成果を上げています。
これは、企業努力により、まだまだ自社ポイントの魅力を打ち出せる余地を残していると言えるのではないでしょうか。
5回のコラムを通して少しでもそのヒントが見つかれば幸いです。
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岡田祐子プロフィール
2003年より株式会社エムズコミュニケイト代表取締役社長。
ポイントサービスやCRM・顧客戦略分野のコンサルティングサービスや各種講演、執筆活動を行っている。
特にポイントサービス分野は国内唯一のコンサルティング会社として「ガイアの夜明け」に出演。
番組は反響を呼び、文庫本にも掲載された。
生活者に支持されるポイントサービスのランキングを「みんなのポイント大賞」として毎年発表。
著書の「成功するポイントサービス」は日経MJの推薦書、丸善ビジネス書10位内ランクインとなっている。
2016年から総務省マイナンバーカード利活用に係る「マイキープラットフォームによる地域活性化方策検討会」におけるポイントサービス有識者としてポイントサービスに関する推進役を担っている。
『プロが教えるポイントカードの仕組みやメリット、導入する際の注意点』など、ポイントサービスの導入や改善に関するノウハウを読みやすい記事形式で紹介している。