ブロックチェーン入門chapter 04

ブロックチェーンの魅力

インターネットはもちろん、テレビにおいても「ブロックチェーン」、もしくはビットコインなどの暗号資産(仮想通貨*1)というキーワードを、現在もほぼ毎日見かけるような状況です。

一方では「ブロックチェーンの熱は冷めた」という解説記事も見かけます。一喜一憂の絶えないこのブロックチェーンですが、なぜブロックチェーンがこれほどまでに騒がれているのでしょうか?

ブロックチェーンの市場動向、3つの特徴、世の中がブロックチェーンに何を期待しているのか、について話していこうと思います。

ブロックチェーンの市場動向

矢野経済研究所の情報によると、2019年の国内ブロックチェーン活用サービスの市場規模は171億円に達する見込みだという調査結果を発表しています。そして3年後の2022年には1,235億円に達するという予測をしています。2017年から2022年の年平均成長率は108.8%と見ているそうです(図 1)。

国内ブロックチェーン活用サービス市場規模推移予測
図1 国内ブロックチェーン活用サービス市場規模推移予測
ITmedia ビジネスオンラインより引用(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1905/23/news091.html)

世の中では、あたかもすべてのビジネスやサービスがブロックチェーンに置き換わるような流れであったような時期を過ぎて、冷静にブロックチェーンと向き合うような時期に来ているのではないかと思えます。しかし、上記図 1の数字を見ると、市場の成長はまだ止まっていない、ということではないかと思います。

それを裏付けるように、ブロックチェーンに関するニュースは現在もほぼ毎日賑わっています。電力取引やワインなどの流通業界、美術品の所有権証明など、一部ではPoCや実証実験を通して、ブロックチェーンを活用したサービスの試験運用やスモールスタートを開始した、といった記事を見かけるようになりました(図 2)。

ブロックチェーンの適用可能性
図2 ブロックチェーンの適用可能性

更に、EthereumやHyperledger Fabricといった、ブロックチェーンのプラットフォームそのものも、課題の解決を行いながら、バージョンアップにより進化を遂げています。また、新たなブロックチェーンが国内外で誕生しています。

通信インフラとしてのブロックチェーンには3つの特徴がある

ブロックチェーンといえば、ビットコインなどのような暗号資産(仮想通貨)のイメージが強い方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ブロックチェーン自体はシステムにおける通信ネットワーク基盤(インフラストラクチャー)と考えることもできます(図 3)。ブロックチェーンでは、アプリケーションプログラムが格納した取引情報を、通信相手に確実に渡すことができます。また、通信履歴がネットワーク基盤上に残されるため、通信内容を検証できます。

通信インフラ(ネットワーク基盤)としてのブロックチェーン
図3 通信インフラ(ネットワーク基盤)としてのブロックチェーン

Chapter01でブロックチェーンの特徴として5種類を上げました。中でも特に重要なのが、『(1)トレーサビリティ』、『(2)耐改ざん性』、『(3)透明性』です(図 4)。

ブロックチェーンの特に重要な3つの特徴
図4 ブロックチェーンの特に重要な3つの特徴

トレーサビリティ(追跡可能性)

ブロックチェーン上でやり取りされた、すべての取引履歴がデータとして格納されるため、個々のやり取りを追跡できます。

耐改ざん性(改ざん不可能)

ブロックチェーン上で、あるブロック内にある情報を改ざんしようとすると、一定時間内に、改ざんした情報が含まれているブロック以降のすべてのブロックを修正する必要があります。あわせてブロックチェーンのネットワークに参加しているPCやサーバーなど(これを「ノード」と呼びます)の過半数以上に対して、同様の修正を実施しなければなりません。ブロックチェーンの仕組み上、ブロックが長くなればなるほど改ざんは不可能とされています。

透明性(全員が情報共有)

ブロックチェーンのネットワークに参加している、すべての参加者は、同じ取引情報などを共有します。このため、自身が持つPC(パソコン)やサーバーに格納されているブロックチェーン情報から、独自に情報を取得できます。

今、世の中がトレーサビリティ、耐改ざん性、透明性を求めている

なぜ、ブロックチェーンがこれほどまでに騒がれているのでしょうか?

それは、世の中がトレーサビリティ、耐改ざん性、透明性という3つのキーワードを求めているからです。暗号資産(仮想通貨)は、これらの特徴を活用した代表的なアプリケーションの1つです。

品質に対する意識の高まりにより、トレーサビリティを必要とするアプリケーションは今後ますます増えていくと考えられます。食品の安全性の確保・証明などがその1分野です。栽培や飼育から、収穫、加工、製造、流通までの状態を、育てた土壌や与えた肥料、温度や湿度などの保管情報などを含めて管理・追跡する仕組みのニーズは非常に高くなっています。

近年、さまざまな国の、さまざまな宗教を信仰、食文化をお持ちの方々が多数訪日されており、それに伴うインバウンド需要が非常に増えています。食材に関しても非常に敏感で、例えば宗教上の理由から食材がわからないと安心して食事ができないそうです。この需要は決して一時的なものではなく、今後も継続していくと予想されます。その背景の1つとして、観光庁による「訪日旅行催促事業(訪日プロモーション)」 *2によるものと推測できます。そのため、対策も同様に長期観点で行う必要があります。

他にも食品の安全性の確保、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するために、農林水産省が「農業生産工程管理(GAP)」*3への取り組み、ならびに認証の取得を推奨しています。

また、ブランド品についても、そのブランドイメージ力を維持するために、偽造品の排除は避けて通れません。

これら、つまりは食品の安全性確保や、ブランド力の客観的な証明のためにも、トレーサビリティが重要になってきます。

以前は『この企業の提供するものだから大丈夫』、という品質の考え方が通用していましたが、それが成立しなくなってきました。特にここ数年、議事録や決裁文書、工業製品などにおける検査結果の改ざんなどの事案が多発しています。一過性のものではなく根本的な再発防止対策として、改ざんなどの不正に対する世間の認識も大きく変わってきました。

一方的な品質の提供だけでなく、問題ないことを相互に確認して、消費者が手にするという流れに変わってきています。また、何かあった場合でも、原因究明と対応が正確に、そして迅速に行えるようになります。

ブロックチェーンに記録された情報は、改ざんできない状態で管理されます。このため、文書や検査結果が安全に守られて、改ざんや産地偽装などの予防が可能になります。ただし、課題としてはブロックチェーンに記録する情報そのものの正確さについては考慮が必要です。

これらと並行して重要となるのが透明性です。トレーサビリティや改ざん防止のためのシステムを構築したとしても、その証明が当事者によるものであれば、信頼性に欠けます。

ブロックチェーンでは、ネットワークの参加者間で情報を共有するため、ステークホルダーによる相互牽制力が働きます。安全性や正確さを自社システムでアピールするよりも、第三者が関与する仕組みの方が、より客観的な情報としてアピールできます(図 5)。

透明性が高くなればなるほど企業間、関係者間の信頼性も高まります。

ステークホルダーによる相互牽制
図5 ステークホルダーによる相互牽制

まとめ

今回は、ブロックチェーンの市場動向、なぜ、世の中がブロックチェーンに注目しているのかについて触れました。

■ブロックチェーンの市場動向として、矢野経済研究所の情報によると、2019年の国内ブロックチェーン活用サービスの市場規模は171億円、2022年には1,235億円に達するという予測をしている。

■ブロックチェーンには、『(1)トレーサビリティ』、『(2)耐改ざん性』、『(3)透明性』の3つの重要な特徴がある。

■なぜ、ブロックチェーンがこれほどまでに騒がれているのかというと、世の中がトレーサビリティ、耐改ざん性、透明性という3つのキーワードを求めているから。

*1:2019年5月31日の改正資金決済法が参議院本会議で可決・成立したことにより、「仮想通貨」から「暗号資産」に名称が変更となりました。
*2:国土交通省 観光庁 訪日旅行催促事業(訪日プロモーション):http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html
*3:農林水産省 農業生産工程管理(GAP):http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_summary/

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