ブロックチェーン入門chapter 04

ブロックチェーンの魅力

「ブロックチェーン」、もしくはビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨*1)、さらにはNFT(Non-Fungible Token)*2というキーワードは、現在でもほぼ毎日インターネットなどのニュースとして見かけます。

ブロックチェーンの市場動向や、世の中がブロックチェーンに何を期待しているのか、について話していこうと思います。

ブロックチェーンの市場動向

矢野経済研究所の調査によると、2020年度の国内の市場規模(事業者売上高ベース)は、415億2,000万円という調査結果を発表しています。
そしてこのままいくと、2025年度には7,247億6,000万円に達すると予測結果を発表しています(図1)。

国内ブロックチェーン活用サービス市場規模推移予測
図1 国内ブロックチェーン活用サービス市場規模推移予測

2019年度までは、「お試し」的な実証実験がニュースリリースを賑わせていましたが、現在は非金融領域で、特にNFTやトレーサビリティなどで活用が進んでいます。
2021年度からはNFTが急速に普及して、アートやゲーム、トレーディングカードなどで注目を浴びるようになりました。 トレーサビリティ(追跡可能性)については、特にサプライチェーンにおける入出荷管理や検査結果などの品質管理において、NFTと共にブロックチェーンの活用が進んでいます。

他にも、電力取引などで供給される電気が再生可能エネルギーであることの証明や、発電量や消費量の改ざんされない状態での管理などに活用に期待されています。
さらにはこれらを組み合わせて、CO2削減やカーボンニュートラルなどの環境問題に対してブロックチェーンの活用も進んでいます。

このように、ブロックチェーン市場の成長はまだまだ有望である、ということではないでしょうか?

ブロックチェーンの適用可能性
図2 ブロックチェーンの適用可能性

さらに、Ethereum(イーサリアム)やHyperledger Fabric(ハイパーレッジャー ファブリック)といった、ブロックチェーンのプラットフォームそのものも、課題の解決を行いながら、バージョンアップにより進化を遂げています。 また、ビジネスに合わせて新たなブロックチェーンが国内外で誕生しています。

通信インフラとしてのブロックチェーン

ブロックチェーンといえば、ビットコインなどのような暗号資産(仮想通貨)のイメージが強い方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、ブロックチェーン自体はシステムにおける通信ネットワーク基盤(インフラストラクチャー)と考えることもできます(図 3)。
ブロックチェーンでは、アプリケーションプログラムが格納した取引情報を、通信相手に確実に渡すことができます。 また、通信履歴がネットワーク基盤上に残されるため、通信内容を検証できます。

通信インフラ(ネットワーク基盤)としてのブロックチェーン
図3 通信インフラ(ネットワーク基盤)としてのブロックチェーン

今、世の中が安全性の担保としてトレーサビリティ、耐改ざん性、透明性を求めている

なぜ、ブロックチェーンがこれほどまでに騒がれているのでしょうか?

それは、世の中が今、安全性の担保として、トレーサビリティ、耐改ざん性、透明性という3つのキーワードを求めているからです。 これは、chapter 01で触れたブロックチェーンの3つの特徴そのものであり、暗号資産(仮想通貨)は、これらの特徴を活用した代表的なアプリケーションの1つです。

品質に対する意識の高まりにより、トレーサビリティを必要とするアプリケーションは、今後ますます増えていくと考えられます。
食品の安全性の確保・証明などがその1分野です。 栽培や飼育から、収穫、加工、製造、流通までの状態を、育てた土壌や与えた肥料、温度や湿度などの保管情報を含めて管理・追跡する仕組みのニーズは非常に高くなっています。

近年、さまざまな国の、さまざまな宗教を信仰、食文化をお持ちの方々が多数訪日されており、それにともなうインバウンド需要が非常に増えています。
食材に関しても非常に敏感で、例えば宗教上の理由から食材がわからないと安心して食事ができないそうです。 この需要は決して一時的なものではなく、今後も継続していくと予想されます。その背景の1つとして、観光庁による「訪日旅行催促事業(訪日プロモーション)」*3によるものと推測できます。
そのため、対策も同様に長期観点でおこなう必要があります。一時的に訪日者は抑えられていましたが、訪日プロモーションは見直しされており、元の状態に戻ると推測されます。

他にも食品の安全性の確保、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するために、農林水産省が「農業生産工程管理(GAP)」*4への取り組み、ならびに認証の取得を推奨しています。 また、ブランド品についても、そのブランドイメージ力を維持するために、偽造品の排除は避けて通れません。

これら、つまりは食品の安全性確保や、ブランド力の客観的な証明のためにも、トレーサビリティが重要になってきます。
以前は『この企業が提供しているものだから大丈夫』、という品質の考え方が通用していましたが、今はそれが成立しなくなってきました。 特にここ数年、議事録や決裁文書、工業製品などにおける検査結果の改ざんなどの事案が多発しています。 一過性のものではなく、根本的な再発防止対策として、改ざんなどの不正に対する世間の認識も大きく変わってきました。

一方的な品質の提供だけでなく、問題ないことを相互に確認して、消費者が手にするという流れに変わってきています。 また、何かあった場合でも、原因究明と対応が正確に、そして迅速におこなわれることが求められています。

ブロックチェーンに記録された情報は、改ざんできない状態で管理されます。 このため、文書や検査結果が安全に守られて、改ざんや産地偽装などの予防が可能になります。 ただし、課題としてはブロックチェーンに記録する情報そのものの正確さで、これについては考慮が必要です。

これらと並行して重要となるのが透明性です。
トレーサビリティや改ざん防止のためのシステムを構築しても、その証明が当事者によるものであれば、信頼性に欠けます。
ブロックチェーンでは、ネットワークの参加者間で情報を共有するため、ステークホルダーによる相互牽制力が働きます。
安全性や正確さを自社システムでアピールするよりも、第三者が関与する仕組みの方が、より客観的な情報としてアピールできます(図4)。

透明性が高くなればなるほど、企業間や関係者間の信頼性も高まります。

ステークホルダーによる相互牽制
図4 ステークホルダーによる相互牽制

まとめ

今回は、ブロックチェーンの市場動向、なぜ、世の中がブロックチェーンに注目しているのかについて触れました。

■ブロックチェーンの市場動向として、矢野経済研究所の情報によると、2020年度の国内の市場規模 (事業者売上高ベース) は415億2,000万円であり、2025年度には7,247億6,000万円に達すると予測。

■なぜ、ブロックチェーンがこれほどまでに騒がれているのかというと、世の中がトレーサビリティ、耐改ざん性、透明性という3つのキーワードを求めているから。
このキーワードは、ブロックチェーンの3つの重要な特徴と同じ。

■NTTテクノクロスで対応した事例(一部)はこちらになります。
https://www.ntt-tx.co.jp/products/contractgate/jirei.html

*1:暗号資産(仮想通貨)
2019年5月31日の改正資金決済法が参議院本会議で可決・成立したことにより、「仮想通貨」から「暗号資産」に名称が変更となりました。
*2:NFT(Non-Fungible Token~ノンファンジブル トークン)
直訳すると代替不能なトークン。 加算も代替もできないトークンであり、シリアルナンバーが振られているような、唯一無二のものとして扱われます。
トークン(Token)とは、何かを表す「しるし」であり、例えば引換券、証拠のような意味です。
ブロックチェーン界隈では、美術品や権利証などが存在、所有していることを証明するための「証拠」を、トークンとして扱います。 つまり、トークンとは「ある価値を代替するもの」です。
*3:国土交通省 観光庁 訪日旅行催促事業(訪日プロモーション)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html
*4:農林水産省 農業生産工程管理(GAP)
http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_summary/

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