ブロックチェーン入門chapter 02

ブロックチェーンの可能性

「1. 全員で情報共有」「2. 改ざん不可能」「3. トレーサビリティ」の特徴を持つ「ブロックチェーン」が、 どのような分野で私たちの生活を豊かに変えていく可能性があるのかについて、経済産業省の「平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)」内にある、 5つに類型化されたユースケースのタイトルを軸にお伝えします。

ブロックチェーンの可能性
図1 ブロックチェーンの可能性
経済産業省「平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)」より

「ブロックチェーン」は、情報を記録するという意味においては、データベースの一種になりますが、従来のデータベースにはない、以下の特徴を備えています。

価値 流通・ポイント化 プラットフォーム インフラ化

例えば、自治体が「ブロックチェーン」で地域通貨を発行する、ということが考えられます。 住民は、商店や公共サービスなどでの支払いに使えて便利になります。 商店は、独自にクーポンシステムを構築する必要がなく、地域通貨と兌換性 (だかんせい) のある割引クーポンや回数券を発行することもできます。 このクーポンを、地域外でのプロモーションに使えば従来の広告以上の効果となり、観光客の誘致、地域特産品の販売促進、といった地域活性化につなげられます。 結果、自治体への納税が増えることでしょう。他の自治体に先駆けてこのような「ブロックチェーン」を構築すれば、住みたい!という人が増えて、納税が増えると共に、さらなる地域活性化への資金とすることができます。

このように、自治体、商店、住民と、「ブロックチェーン」の参加者全員にとってメリットのある活用が望まれます。
また、国民の大多数が使っているポイントシステムとの変換ができるように設計する、使わないと徐々に価値が減るように設計して、利用を促して通貨の流動性を上げるなど。様々な応用が考えられます。

権利証明行為の非中央集権化の実現

土地や建物、会社 登記など、権利を証明することについても「ブロックチェーン」で管理されていくと考えられます。
現在の所有者や抵当権、設定など、過去の履歴を含めて確認することができます。 現在のように誰でも閲覧可能なうえ、法務局へ行って印紙を貼って、紙や書類を手に入れる必要もなく「ブロックチェーン」によって、改ざんされていないことが証明されているデジタルデータを使うことができて利便性が高まります。 住民票は、住所変更で転出届と転入届を別々の役所へ提出する必要がありましたが、各役所が「ブロックチェーン」でつながっていれば、近くの役所で同時に処理ができるようになるでしょう。 特許、商標登録などは調査が効率化されるだけでなく、その権利の売買も管理できるようになることが想定されます。

「ブロックチェーン」の改ざん不可能性と、トレーサビリティという特徴を使ったうえでプライバシーに配慮して、閲覧や利用に条件を加えれば、治療歴などの医療情報を複数の医療機関で共有して、一貫した治療に役立てることができるようになります。

また、選挙でも「ブロックチェーン」を活用できると考えられます。 不在者投票という概念もなくなり、投票所には優れたユーザーインターフェースを持つ投票システムが、搭載された端末と補助スタッフを配置するなどの工夫が必要になりますが、投票率も上がると考えられます。 また国政選挙だけでなく、商工会議所などの団体や企業、あるいはバラエティー番組などでの選挙への活用も考えられます。

遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現

シェアリングエコノミー型のサービスは、「ブロックチェーン」との相性がいいと言われています。
シェアリングエコノミー型のサービスは、私たちの生活を以前と比べて豊かに変えました。 使用していない自宅の一室を数日間貸し出して利益を上げることが容易になりました。 また、自動車を所有しなくても、所有するのに近い感覚で乗ることができます。 しかし一方で、現在のシェアリングエコノミー型のサービスは、仲介者が情報を集約することで成り立っていて、サービス提供者は仲介者の運営するポータルサイトへの掲載料金の支払いや、成約ごとに手数料の支払いなどをおこなっています。

「ブロックチェーン」では、このような仲介者は不要になります。 サービス料金は、サービスの提供者にダイレクトに届くことで、利用者が支払う手数料は下がると思われます。

また、個人情報の安全性は仲介者のシステムのセキュリティに依存しており、個人情報の漏洩が頻繁にニュースになっています。 「ブロックチェーン」では、氏名や住所、電話番号といった個人情報を知られることなく、サービスの提供を受けることもできるようになります。 改ざんできない行動履歴をチェックできることは、サービス提供者、サービス利用者、双方にとって大きなメリットになると考えられます。

宿泊施設や自動車の他、家具や服や絵画、余った電気、サーバー、会員制のスポーツジムやデジタルコンテンツの利用権なども「ブロックチェーン」でシェアできるようになる可能性があります。

オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現

「ブロックチェーン」のトレーサビリティと改ざん不可能性は、サプライチェーンで大きく力を発揮すると考えられています。

農作物であれば、天候などの環境に関する情報から種や肥料についての情報、加工の方法や添加物の情報など、「ブロックチェーン」上で管理しているすべての情報を消費者が得ることができるようになり、消費者は農作物の安全性について、自身で判断できるようになります。

貴金属や宝石類、美術品や工芸品であれば、偽物による詐欺も減少していくと考えられています。

工業製品であれば、不良品が発見された場合にリコール対象の範囲を特定化する、発注や、見積、輸出入の手続きなどの効率化が実現できます。 また、IoTとつながれば、例えば自動車などに搭載されている消耗品が交換時期を判断して、自動で交換部品を発注する、といった活用ができる時代が訪れるかもしれません。

プロセス・取引の全自動化・効率化の実現

スマートコントラクトによって、「ブロックチェーン」上での契約手続き、履行など、あらゆるプロセス・取引の全自動化・効率化を実現させることができます。 参加者全員があらかじめ決められた条件を共有したうえで、確実に履行されることを前提に安心して進められるようになります。

利用例は多岐に渡りますが、ミュージシャンが曲の利用権を利用期間や利用料に応じて配信会社へ割り当てる、といった管理ができるようになります。

IoTにつながれば、機器が自動で充電を実施、そして支払いをする、といった世界が実現します。

さて、ここまで「ブロックチェーン」の可能性をお伝えしてきましたが、次ページから、具体的な活用例についてお伝えします。

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