札幌市ICT活用プラットフォーム「DATA-SMART CITY SAPPORO」上で
ブロックチェーン技術適用の実証実験を実施
~オープンデータの真正性、運用性を評価~
2018年10月18日
NTTテクノクロス株式会社
NTTテクノクロス株式会社(本社:東京都港区、以下:NTTテクノクロス)は、株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、以下:NTTデータ)と、2018年1月から2018年3月に一般財団法人さっぽろ産業振興財団と札幌市が運営する『札幌市ICT活用プラットフォーム「DATA-SMART CITY SAPPORO」』(以下、「DATA-SMART CITY SAPPORO」)*1上におけるオープンデータ*2に対してブロックチェーン技術*3を導入した実証実験を実施しました。
今回の実証実験により、オープンデータの登録・利用状況の透明性確保、活用時の課題である真正性(正しいデータが使われていること)の検証に対してブロックチェーン技術が効果的であることを確認しました。
NTTデータとNTTテクノクロスは、この取り組みで得た知見を他のテーマにも展開し、ブロックチェーン技術を活用した実証実験、および商用適用に向けて取り組みを推進します。
背景
近年、「オープンデータ 2.0」と呼ばれる国や自治体による行政データのオープン化の取り組みが盛んに行われています。一方、文書の改ざんが社会問題となり、情報の電子データ化は進んできてはいますが、蓄積された電子データが正しいことは管理者が担保するしかなかったことが課題となっていました。
こうした状況を受け、NTTデータとNTTテクノクロスは電子データの活用を促進するため、正しく運用されていることを分散台帳技術であるブロックチェーンで確認することを考え、「DATA-SMART CITY SAPPORO」上のオープンデータに対してブロックチェーン技術を適用した実証実験を実施しました。
実証実験の概要
札幌市が提供するオープンデータは、「DATA-SMART CITY SAPPORO」上で一般公開されています。また、札幌市の民間企業が持つ様々なデータも併せて提供することで、地域経済活性化施策に活用されています。
本実証実験では、「DATA-SMART CITY SAPPORO」とブロックチェーンによる真正性検証システムを連携させ、オープンデータが正しいデータで運用されていることを確認しました。さらに、オープンデータの提供者・利用者の操作状況もブロックチェーン上で管理し、ブロックチェーン技術を適用したプラットフォーム運用の効果測定も実施しました。
実証実験結果
(1)「DATA-SMART CITY SAPPORO」上のオープンデータが正しいことを確認
「DATA-SMART CITY SAPPORO」上にオープンデータとして登録されたファイルのハッシュ値*4を、改変されることのないブロックチェーンに保存することによって、そのオープンデータファイルが登録時と同一の内容であることを検証できました。意図的に特定のオープンデータファイルを改ざんした*5ところ、真正性検証システムでハッシュ値を定期的にチェックすることで、オープンデータ提供者やオープンデータ利用者が、ファイルの改ざんを検出できることを確認しました。
(2)ブロックチェーン技術を適用したシステムの運用状況の確認
「DATA-SMART CITY SAPPORO」上でオープンデータをアップロード・ダウンロードする場合、操作履歴が、削除されることのないブロックチェーン上に保存されることによって、真正性検証システムで、システムの運用状況を検証できました。意図的な不正操作*5によって、どの時点で改ざんされたかを判断できることを確認しました。
今後について
システムに登録されたデータの真正性やシステム運用状況の真正性を、利用者も検証することができるというブロックチェーン技術の特徴は、様々な分野への応用が期待できます。
NTTテクノクロスは、今回の取り組みに続き、今後もブロックチェーン技術の商用適用に向けて、実証実験の実施を検討していきます。また、オープンデータ活用の分野にも、ブロックチェーン技術を容易に応用するための製品を開発し、ContractGate*6シリーズとして提供していくことを検討しています。
用語解説・注釈
*1 「DATA-SMART CITY SAPPORO」は、札幌市が2017年3月に策定した「札幌市ICT活用戦略」のイノベーション・プロジェクトに位置付けられている取組であり、データを活用して新たな価値を生み出すための共通基盤として、一般財団法人さっぽろ産業振興財団が構築し、札幌市と共同で運営を行っているものです。
*2 オープンデータとは、政府や、地方公共団体などが保有する公共データが、①二次利用可能なルールの下で、②機械判読に適した形で公開されるデータのことです。
*3 ブロックチェーン技術とは、ネットワークで接続された多数のコンピューターで分散して処理やデータ管理を行うことで、これまで一つの巨大なシステムで扱ってきた機能と同等の機能を実現する技術です。ビットコインでの取引情報の記録など暗号通貨を支える技術として使われてきました。その後、ブロックチェーンの特長である分散台帳技術や、契約の自動実行であるスマートコントラクトの可能性に着目され、新たなビジネス検討が世界中で広がっています。
*4 ファイルのハッシュ値とは、ファイルのデータ内容を元に計算される値であり、その計算値を不変に保ったままデータ内容を変更することが、暗号理論的に不可能であるという特徴があります。
*5 外部への影響を考慮し、意図的な改ざんや不正操作については一般には公開していないデータで実験を実施しました。
*6 ContractGateはNTTテクノクロスのブロックチェーンに関する取り組みです。
*「ContractGate」はNTTテクノクロス株式会社の商標です。
*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
NTTテクノクロス株式会社概要
NTTテクノクロスは、NTT研究所の最先端技術を中核に、国内外の優れた商材を豊富な実績とノウハウで掛け合わせることで、お客様のビジネスシーンに最適なソリューションを創出します。時代に先駆けたソリューションにより、豊かな未来社会の実現に貢献し続けます。(https://www.ntt-tx.co.jp/)