特集 [コンタクトセンターの技術革新]

ボイスボットを有効活用する
秘訣
CX向上の設計図を描く

90年代以降、コンタクトセンターでは「IVR(Interactive Voice Response=音声自動応答)」システムの導入が進み、顧客の待ち時間の削減や、オペレーターの負荷軽減など生産性の向上にもつながりました。現在では応対の部分でAIを活用した「ボイスボット」も登場。プッシュボタン操作だけでなく音声入力や意味理解も可能になり、「CX(顧客体験)」の向上策として期待されています。コロナ禍によりコールセンターの制約が強まる中、定型的な応対の自動化ニーズが高まっています。ボイスボットでの自動化のメリット、CX向上につながる活用例、導入効果を上げるポイントについて紹介します。

AIが音声をリアルタイム
認識、自動応答

ボイスボットは、コンタクトセンターへの問い合わせに対して、オペレーターを介さずに音声で自動応答するシステムです。AIを活用した「音声認識」「自然言語処理」「音声合成」などの技術が使われています。
ボイスボットによる応答の流れを3ステップで説明しましょう。まず、顧客からコンタクトセンターに問い合わせがあると、あらかじめ設定された音声ガイダンスが流れます。ここまでは通常のIVRと同じです。ボイスボットでは、顧客が問い合わせたい内容を話すと、(1)発声内容をAIがリアルタイムで認識、テキストに変換します。(2)次に、テキスト化された問い合わせ内容を自然言語処理技術で解析し、問い合わせ内容に適した回答を選択します。(3)最後に、回答テキストを音声技術で読み上げて、顧客に回答します。
AIを活用したボイスボットなら、応対を繰り返すことでより適切に回答できるようになり、より自然な受け答えを実現していけます。

ボイスボットでの自動応答イメージ

AIが音声をリアルタイム認識、自動応答

これまでのIVRでは駄目なのか

従来型のIVRは、顧客から問い合わせがあると音声ガイダンスが流れ、ガイダンスの指示に従って顧客が選択したプッシュボタンを押すことで要件に合ったオペレーターにつながる仕組みです。複数の窓口を統合したり、配置するオペレーターの人員を最適化したりできるメリットがあります。90年代以降に多くのコンタクトセンターで導入されるようになりました。
ただ、プッシュボタン操作を必要とする従来型のIVRには、「ガイダンスが長く、必要な情報にたどりつくまでに何度もプッシュボタンを押す必要がある」「プッシュボタンを押し間違えて最初から操作をやり直す」といった顧客にとってのデメリットがあり、オペレーターにつながる前に顧客が諦めて電話を切るケースも少なくありません。これではCX向上が見込めないどころか、顧客に良くない体験を与えることになります。
ボイスボットであればプッシュボタン操作を何度も繰り返す煩わしさがなくなり、顧客は問い合わせたい内容を「自分の言葉」で伝えられます。その音声に応じた処理が即座に行われるため、従来のIVRのデメリットが解消され、CXが向上します。

住所変更の場合の違い

これまでのIVRでは駄目なのか

貴重な人材リソースを有効活用。CX向上にもつながる

ボイスボットの具体的な活用方法としては、「予約受付・修理受付・サービス解約・住所変更など定型用件の自動化」「一問一答の問い合わせ回答の自動化」「重要事項説明の自動化」などが挙げられます。
例えば「電話による引っ越しの申し込み」のような定型用件への対応の場合を見てみましょう。

ボイスボット「どのようなお問い合わせでしょうか?」
お客様「住所の変更なんだけど」
ボイスボット「現在お届けいただいている契約者様のご住所の変更でよろしいでしょうか?」
お客様「はい、そうです」

このように、応対のほとんどを顧客とボイスボットとの自然な会話で済ませることが可能です。ボイスボットのみで解決できる問い合わせ内容であれば、オペレーターの応対自体が不要となり顧客の利便性は高まります。煩わしいボタン操作を省けるのでCXが大幅に向上します。また貴重な人材リソースを、有人でしかできない応対や、本来注力すべき収益拡大につながる応対に集中できます。

音声の準備方法

貴重な人材リソースを有効活用。CX向上にもつながる

ボイスボットとIVRとオペレーターの最適解を描く

ボイスボットに使われる技術は、日進月歩で進化しています。例えば「音声合成」では、人の声に遜色のない肉声感・明瞭感のある音声や、多様な感情を表現した音声がすでに実現しています。特定のキャラクターの声色を模倣した声をつくり出すこともでき、声優や著名人の声で、音声を合成することまで可能です。
ボイスボットには「何でもできる」というイメージを持たれたかもしれません。ただ、ボイスボットだけでCX向上は見込めません。CX向上にはボイスボットとCRM、FAQシステムなどとの連携、さらにはオペレーターの最適配置まで見据えた全体設計が欠かせません。コンタクトセンター全体の設計が適切でなければ、部分的な効果にとどまります。
住所変更のような「単純業務」はボイスボットに任せる。商品やサービスの提案・説明、クレーム対応など臨機応変な対応が必要な「複雑業務」はオペレーターが応対し、コールセンターソリューションで支援する―。ボイスボットを含めたコールセンターソリューション、さらにはオペレーターも含めた最適な“設計図”を描けば、顧客が感動するような応対を実現できます。技術と人をどれだけシームレスに連携できるかによって、コンタクトセンターでのCXが大きく変わるのです。

 NTTテクノクロスでは、ボイスボットを活用したコンタクトセンター支援の豊富なノウハウがあります。コンタクトセンター運営のPDCAを回すCXコンサルティングも手掛けています。NTTテクノクロスのソリューションをぜひCX向上に役立たせてください。

事例紹介

東北電力株式会社 様

AI音声合成とRPAでコールセンターが大進化
顧客の利便性向上とオペレーターの負担軽減を両立

関連ソリューション

高機能なクラウド型IVRによる音声自動応答サービス

VoiceMall(ボイスモール)

最先端の音声合成

FutureVoice Crayon(フューチャーボイス クレヨン)

AIを活用した音声ビッグデータソリューション

ForeSight Voice Mining(フォーサイトボイスマイニング)
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