概要

 電気設備の点検事業を中心に電気エネルギーに関する総合サービスを手掛ける日本テクノ株式会社。
同社にとって重要な施策となるのが、契約してくれた顧客との良好な関係を保ち、できるだけ長く取引を
続けてもらうことだ。市場に競合がひしめいているのは他の業種業界と同じであり、「何も手を打たなければ、他社に顧客を奪われてしまう
のです」と日本テクノで広報室室長を務める中山大志郎氏は強調する。
 同社はNTTテクノクロスが手掛ける顧客管理(CRM)・ポイント管理ソリューションの「Marketing Authority(マーケティングオーソリ
ティ、以下MA)」の導入を決断。2019年1月から本格活用を開始し、顧客のリテンションに役立てている。
具体的な使い方とはどんなものなのだろうか──。

課題

顧客に選ばれる企業でなければ成長はない

 日本テクノは、一般に「キュービクル」と呼ばれる高圧受変電設備の監視・点検業務を足がかりに経営基盤を築いてきた。漏電などの事故を未然に防ぐため、有資格者による、月1回の目視点検および年1回の停電を伴っての点検といったことが法で義務付けられている。
 同社は、設備の状況を24時間365日監視する専用装置や、そこで得られるデータを基に電力の使用状況を見える化するモニター装置などを次々と開発。また、省エネ策をアドバイスすることにも力を注いできたし、電気小売事業にも進出するなどして顧客ニーズに全方位で応える形でビジネスを拡げてきた。
 とはいえ、市場には競合も多いし、結果として顧客もコストセンシティブになる傾向が続いている。こうした環境下でいかに他社との差異化を図っていくのか。何よりも顧客に選ばれる企業になること。自社都合を優先してはならないし、いたずらな価格競争で疲弊してもならない──。様々な経験を積んだ中でたどり着いた一つの答だ。
 「顧客に選ばれること。それは、日本テクノが電気を巡る顧客の安全・安心を提供し、省エネ対策を含め電気のことなら何でも頼りになる存在であることを体現することに他ならないのです」と中山氏。同社は顧客へのインタビューを積み重ね、電気の上手な使い方をテーマとした事例集を作成し事あるごとに配布。取り上げた企業はこれまでに450社を数える。紙の資料だけでなく顧客の取り組みを紹介する5分間のテレビ番組の制作にも乗り出した。環境やエネルギー業界の最新事情をまとめた「環境市場新聞」(28万5000部)も、今なお年に4回発行している。こうした愚直な活動を続けることで信頼と実績を築き上げていた。

解決へのアプローチ

ITを活用した顧客関係管理が焦眉の急に

 「もっとも、これまでの取り組みはアナログ的なアプローチが中心でした。ITの進化と普及が加速している時代に合わせて、デジタル面でも顧客との良好な関係を強化・維持する新しい仕組みが必要であると感じるようになりました」と中山氏は、顧客維持とデジタルコミュニケーションに関心を持つようになった背景を説明する。
 一つには、顧客と自社それぞれが感じている悩みや課題を同時に取り除ける効果が期待できた。これまで、顧客との契約書や定期点検の報告書、商品の取扱説明書などは基本的に「紙」であり、その管理は顧客に任されていた。そのため、いざ目を通す必要が生じた時に見つからず、日本テクノの営業やカスタマーサービスセンターに逐一問い合わせることとなり、時間も手間も掛かっていたのである。その状況は、顧客も商品メニューも増えてきた日本テクノにとっても大きな負荷になってのし掛かっていた。「顧客ごとにポータルサイトを用意し、そこにログインすれば、契約内容や点検結果を含めて、すべてデジタル情報として確認できるようにすれば双方にとって大きなメリットがあります」(中山氏)。
 さらに、設備監視装置を導入/電力使用状況モニターを導入/電力供給を契約など、セグメントごとに顧客をキメ細かく管理することで、それぞれに最適な提案やアドバイス、新規商品の紹介といった情報発信のチャネルを築くこともできる。

ソリューションとその成果

ニーズにマッチした
Marketing Authorityとの出会い

 こうした青写真を描いた日本テクノは、システムの具体的な実装方法の検討を開始。最初はスクラッチ開発を検討していたのだが、「テレビ会議システムの導入でお世話になったベンダーさんからの紹介がきっかけ」(中山氏)で、タイミングよく知ることとなったのがMAだった。
 「顧客リテンションに軸足を置いた機能群が当社のニーズにぴったりはまると直感しました。ある程度のカスタマイズは必要にしても、先に述べたような仕組みを素早く構築できますし、別途見積もったスクラッチ開発の費用に比べて格段のアドバンテージがあったのです」と中山氏は振り返る。
 目に叶った機能の例としては以下がある。
【OneToOneコンテンツ管理機能】
 顧客の属性に応じた動的なコンテンツ表示を可能とするもので、顧客ごとに契約書や取扱説明書を出し分けることができるし、請求書をダウンロードしてもらう用途にも使える。顧客にとってみれば問題解決の手間ひまが省ける一方で、日本テクノにとっては問い合わせ対応や配送コストが減る効果が見込める。
【OneToOneメール配信機能】
 顧客の属性に応じた動的なメール配信を可能とするもので、その顧客がまさに今、関心を寄せるであろう情報をタイミングよく届けることでコミュニケーションが円滑になることが期待できる。
【アンケート機能】
 簡潔で回答しやすいインタフェースを介して顧客の声を収集でき、キャンペーンなどの申し込みにも応用できる。
 顧客の事業にも貢献したいと考える日本テクノは、近年は顧客の商材を別の顧客に紹介する「GIFT street」という取り組みにも力を注いでいる。一種のマーケットプレイスであり、これはMAが備えるポイント管理機能が活かせるはずとの想いもあった。
 2018年の夏頃には正式に採用することを決断。約半年で細部の作り込みを完了し、2019年の1月にカットオーバーの日を迎えた。形態としては、パブリッククラウドのAWS(Amazon Web Services)上にMAのソフトウェア一式を導入して運用している。

今後の展開

頼れるパートナーとさらなる高みを目指す

 「しっかりした技術力がベースにあり、こちらの要望に対して常に的確な返答を頂けました。他で経験したことのある、何とかしますよという“なぁなぁ”の会話が一切なかったので安心感がありましたね」と中山氏は、NTTテクノクロスを評価する。
 もっとも、「やりたいことが山積しており、当初やりたいと思ったことに照らせば、まだ五合目ぐらいですよ」とし、この8月からは、NTTテクノクロスと共に、ユーザビリティの向上を図る第二フェーズに入るという。
 コンテンツ管理、メール配信、ポイント管理、アンケート、顧客データ分析などデジタルマーケティングを多面的に支える機能群を備えているのがMAの特徴だ。そのポテンシャルを存分に活かし、PDCAを素早く回しながら、顧客とのより深い関係を築いていく日本テクノの旅路は始まったばかりだ。

日本テクノが提供している顧客ポータルの画面例。
ログインすると、トップ画面にはその顧客に特化した情報が動的に表示される(例:赤枠で囲まれた部分)

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1995年(平成7年)4月4日
事業概要 電力小売事業、高圧電気設備保安管理・点検業務、キュービクル常時監視システム販売および電力コンサルティング、電気料金自動検針事業
資本金 5,987万円
URL https://www.n-techno.co.jp/

※2019年9月現在