概要

 グローバルなBPOパートナーとして、コンタクトセンターの運営などを手掛ける株式会社TMJ。
同社ではセンター業務に使用している顧客システムの改修が困難な状況下で、
品質と同時に生産性や業務スピードを向上していく必要性があった。

 この課題を解決し、ヒューマンエラー削減と生産性・品質のさらなる向上を実現したのが、
NTTテクノクロスの業務システムUI改善ツール「BizFront/SmartUI」だ。

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課題

品質と同時に生産性や業務スピードを向上していく必要性

 クライアントの事業を通じた付加価値の提供とクライアントのビジネスゴール達成に向けて、BPOに関するアウトソーシングサービスやコンサルティングサービス、コンタクトセンター運営、人材派遣、システム導入支援・提供などを手掛けているTMJ。

日本国内に本社および7箇所の事業所と22箇所のセンター、さらにはASEANエリアの中核拠点としてフィリピンのマニラにも関連会社とセンターを有しており、グローバルなBPOパートナーとして活躍している。そんな同社の強みは、長年にわたり培ってきた高度なコンタクトセンター管理技術に加え、継続的な“現場改善力”にある。情報という事実に向き合う“科学的アプローチ”と、そこから得た意味に基づき業務を改善する“工学的アプローチ”を組み合わせながら、全社を挙げて改善活動に取り組み続ける情熱が、新たな進化を生み出している。


 そんな同社の北海道拠点で現在運営している業務は人材系と住宅系のクライアントから委託されている業務などがある。人材系は転職支援のサポート業務、住宅系については大手ハウスメーカーやサッシ販売企業からの修理依頼に対応する業務で、いずれもクライアント保有のシステムを使用するという点で共通点のある業務だが、それぞれいくつかの課題を抱えていた。

同社の業務範囲イメージ(クリックで拡大表示します)

 事業統括本部 北海道拠点 第4BU 第1センター 1G で人材系業務のリードスーパーバイザーを務める島津賢志朗氏は導入前の業務の課題についてこう語った。「人材系業務での課題は、大きく分けて“品質向上”と“生産性向上”の2つがありました。まず品質向上は、システムに入力する項目数や分岐などが多いため、特に新入社員やスタッフをはじめまだ業務に不慣れなオペレーターがミスを引き起こしやすい環境になっていたことです。お客さまのシステムを使うため、弊社でUIを改良するわけにもいきません。生産性向上については、手入力が多い業務なので、メールの送信先や本文が合っているかを念入りに照合・確認する作業が必要になります。また、入力内容に関しても厳重なチェックが求められるなど、どうしても生産性を向上しづらいのが課題でした」

事業統括本部 北海道拠点 第4BU 第1センター 1G
リードスーパーバイザー 島津 賢志朗氏ミスを引き起こしやすいシステム環境を改善(クリックで拡大表示します)

 さらに、事業統括本部 北海道拠点 第3BU 第1センター 3Gリードスーパーバイザー清野靖子氏は 担当する住宅系業務で抱えていた課題についてこう語った。「住宅系業務では、品質とスピードの改善が課題となっていました。実際の業務では、大手ハウスメーカーやサッシ販売会社からFAXやメールで届く修理情報をシステムに入力するのですが、特に紙から手入力する場合はミスが起きやすくなります。この入力内容を基に修理業者の方々が現場へ赴くため、当然ながらミスは許されません。しかし、入力ミスを減らすために綿密なチェックを繰り返していれば、それだけ時間がかかってしまい、今度は対応スピードの面で不満が出てきてしまうわけです」

事業統括本部 北海道拠点 第3BU 第1センター 3G
リードスーパーバイザー 清野 靖子氏

紙でのチェックシートをシステム画面に追加(クリックで拡大表示します)

住宅系業務では、大手ハウスメーカーとサッシ販売企業という2つの窓口を合わせて1日あたり約200件、人材系業務では1日あたり7,000~8,000件もの処理をこなすため、品質向上と同時に生産性や業務スピードを向上していく必要があった。こうした課題解決に向けて、利用できる製品・サービスの選定を開始した同社。
そこで社内において、NTTテクノクロスが提供する入力アシスタントツール『BizFront/アノテーション』の活用事例を発見し、同シリーズのWebシステム対応版『BizFront/SmartUI』の導入検討をスタートした。

人材系業務では「生産性向上のため複雑な業務をよりわかりやすく遂行できる仕組み」、住宅系業務では「クライアントニーズに応えながら正しくよりスピーディーな対応の実現」が求められていたと言える。

解決へのアプローチ

トライアル段階のアンケートでも大きな期待と反響


 『BizFront/SmartUI』は、Web 業務システムの画面上に機能を追加表示することで、入力チェックや入力の自動化・省力化・標準化、業務ナビゲーション、システム間データ転記などを可能にする入力アシスタントツール。

“気付き”を促すアイコンやメッセージでミスを減らしたり、入力の手間を省いたり、といった効果が得られる。さらに既存システムを一切改修する必要はなく、ユーザーのパソコンに表示ツールをインストールするだけで利用できる。TMJ の北海道拠点では、まず住宅系業務で 2021年1月にトライアルを開始し、数か月後、合計数十アカウントで本格導入をスタート。この実績を受けて、人材系業務では2022年にトライアルを開始し、効果検証を続けた。現在では、合計数百のアカウントで本格運用を行っている。


住宅系業務の スーパーバイザー 木下茜氏は、「トライアルでは手探りで試しながら、できる範囲で徐々に構築していきました。このトライアル段階で『複数の業務システムを横断した内容確認や転記の操作がミスなく簡単化が図れそう』『メールのテンプレート集を開かなくても済むのでスピード化と生産性向上が図れそう』といったアンケート結果が寄せられていたので、かなり期待が持てました」と、トライアル時の反響を語る。

事業統括本部 北海道拠点 第3BU 第1センター 3G
スーパーバイザー    木下 茜 氏

入力テンプレート機能を設けることでミス防止と省力化を実現 (クリックで拡大表示します)

操作不要な箇所を明示化し、操作速度向上とエラーデータ発生の芽を撲滅を実現 (クリックで拡大表示します)

ソリューションとその成果

入力ミスの発生件数が約43%低減し、作業効率は約9%アップ

事業統括本部 北海道拠点 第4BU 第1センター 1G
スーパーバイザー    大倉 奈津美氏


 こうしてTMJでは、住宅系と人材系のコンタクトセンター業務において『BizFront/SmartUI』の活用をスタートした。
人材系業務のスーパーバイザー、大倉奈津美氏によると、実際の効果は「重点的にケアしたカテゴリについての業務ミスは43%の低減に成功、従来発生していたミスのリカバリ稼働を生産稼働に充てることが出来、全体の対応件数においては9%伸長の効果を得ることができました」と語る。また木下氏も、「導入前は10項目を進捗管理用の別ツールへコピー&ペーストするのに8分ほどかかっていた作業が、『BizFront/SmartUI』を使うとわずか30秒程度に短縮することができました。スピードの向上と同時に操作ミスもなくなり大満足です」と笑顔を見せる。さらに『BizFront/SmartUI』はオペレーターだけでなく、管理者の業務負担を軽減することにも役立っている。
「コンタクトセンター業務では、オペレーターが独自で解決できない問題に直面した際、リーダーやスーパーバイザーに解決を求める“手上げ”というものがありますが、この手上げ対応だけでも数分間のロスが発生します。また、管理者業務となっていたチェック業務の削減により、工数の削減に繋がっており、残業の削減や、空いた工数をコアビジネスに活かせるようになりました。今後はマニュアル制作にかかる工数の削減にも生かせるのではないかと期待しています」(島津氏)
そのほか、マニュアルの注意事項を各項目に表示することで、従来は新人スタッフを中心に多く寄せられていた質問が、現在ではほぼゼロになったそうだ。

今後の展開

新人スタッフでもベテランに近い品質・スピードを短期間で出せる


 このように TMJ では、『BizFront/SmartUI』の活用で大幅な品質および生産性の向上、業務のスピードアップなどを実現した。
清野氏は「当たり前ですが、新人スタッフがベテランと同じ品質・スピードで業務を行うことはできません。しかし、そこはあくまでの弊社内の事情であり、お客さまに対しては
可能な限り100%を目指す必要があるわけです。そのため、従来は研修で何度も教え込むしかありませんでしたが、『BizFront/SmartUI』のおかげで新人スタッフでもベテランに近い品質・スピードを短期間で出せるようになりました。社外へ依頼することなく、自分たちで業務やスタッフに必要な仕組みを構築・修正できる点もポイントです」と、そのメリットについて語る。

 最後に島津氏は今後の取り組みとして、「現在、業務の中で速度集計などを行い、使い方の最適化を図っているところです。あとはまだ使いこなせていないナビゲーション機能を駆使して、スタッフ研修にかかる工数を下げていきたいとも思っています。弊社は業態的にお客さまが抱えるシステム入力の課題にタッチしやすいポジションですので、今後もNTT テクノクロスさんとのパートナーシップをより深めながら、より多くのお客さまに『BizFront/SmartUI』の利便性を知っていただけたらと思います」と語ってくれた。

各現場での事例を再掲(クリックで拡大表示します)

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1992年4月1日
事業概要 BPOに関するアウトソーシングサービス / コンサルティングサービス
/ コンタクトセンター運営 / 人材派遣 / システム導入支援・提供
資本金 1億円
従業員数 2,593名(2022年9月末現在)
URL http://www.tmj.jp/

※2023年3月現在

※ BizFront®はNTTテクノクロス株式会社の登録商標です

※ ページに記載した会社名、製品名などの固有名詞は、一般に該当する会社もしくは組織の商標または登録商標です。

※ 本ページは2023年3月時点での情報まとめたものです。