概要

ビジネスから観光まで幅広い層に、最高級のラグジュアリーサービスを提供しているシャングリ・ラ ホテル 東京。
同ホテルではこれまで、ゲストとコンタクトの多いスタッフ間の業務連絡用に特定省電力トランシーバーを使用していたが、本体サイズの大きさからユニフォームのシルエットの美しさが損なわれてしまうのが悩みだった。この課題を解決し、理想的なコミュニケーション環境を実現したのが、NTTソフトウェアとティービーアイが共同開発したWi-Fiインカムシステム「クリアトークカム」だ。

課題

シルエットの美しさを損なうトランシーバーのサイズに悩む

アジア太平洋地域を中心にラグジュアリーホテルを展開するシャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツが、2009年に日本初進出のホテルとしてオープンしたシャングリ・ラ ホテル 東京。東京駅に隣接するアクセスの良さに加え、269平方メートルのプレジデンシャル スイートを含む200室のエレガントなゲストルームを用意し、ビジネスから観光まで幅広い層に満足度の高いサービスを提供している五つ星ホテルだ。

同ホテルでは従来から、フロントスタッフやベルボーイなどゲストとコンタクトの多い宿泊部のスタッフが、案内を円滑に行うために特定省電力トランシーバーを携帯していた。しかし、このトランシーバーは本体サイズが大きいためユニフォームのポケットに収まらず、専用ケースでベルトに固定している状態だった。

シャングリ・ラ ホテル 東京 フロントオフィス マネージャーの柴田厚志氏は「質の高いサービスをご提供するのはもちろんですが、ホテルとしてはゲストの皆さまが快適に過ごしていただけるよう、スタッフの見た目や仕草にも普段から気を配っています。そうした中で、トランシーバーを携帯することによりユニフォームの膨らみが目立ち、シルエットの美しさが損なわれてしまうのは大きな悩みでした」と、当時の課題を語る。端末から伸びているアンテナが服などに引っかかり折れてしまう、といったトラブルもあったそうだ。

解決へのアプローチ

ホテル全館をカバーするための中継ポイントもコスト面のネックに

シャングリ・ラ ホテル 東京ではトランシーバーの買い替えも考えたが、残念ながら状況を劇的に改善するほどコンパクトな端末は見つけられなかった。また、端末を買い替えるにはコスト面も懸念されたという。

同ホテルのある丸の内トラストタワー本館は、東京の景色が一望できる31階から最上階の37階にスイート含むゲストルームを配置。27階から29階にはレストランやバーラウンジ、スパなどの施設があり、2階から26階まではオフィスフロアとなっている。そこで、1階のエントランスや地下車寄せからゲストルームのあるフロアまで全館をカバーするため、建物内に電波の中継ポイントを相当数設置していた。

端末のみならばある程度の予算で済むのだが、端末が変わるとこの中継ポイントも一緒に交換する必要があるため、かなりのコスト増となってしまうのだ。

ソリューションとその成果

薄型デザインとクリアな音質 「クリアトークカム」に光明

シャングリ・ラホテルのグループとして、2014年5月にシャングリ・ラ ホテル ザ・シャード ロンドンがオープンした際、オープニングスタッフとして現地を訪れていた柴田氏はひとつの光明を見出す。
同ホテルではスタッフ間の連絡に、特定省電力トランシーバーではなくWi-Fiインカムシステムを導入していたのだ。
「実際に使用してみたところ、クリアな音質に大変驚きました。なにより本体が非常にコンパクトで、使用するにあたっての免許も不要。これなら長年の課題も解決できると思ったのです」と、柴田氏は当時の鮮烈な印象を語る。
柴田氏は帰国後、すぐに日本でも購入できるWi-Fiインカムシステムの選定を開始。いくつか見つかった候補の中から、ホテルでの利用条件にベストマッチする製品として、NTTソフトウェアの「クリアトークカム」を選択した。すでに全館でゲスト向けに2.4GHz帯と5GHz帯のWi-Fi環境が整っていたため、新しくインフラを整備する必要がなかったのも追い風だった。
「クリアトークカムはポケットに収まるスリム形状の本体に加えて、ノイズ感のないクリアな音質、将来的に最大120台まで増やせる拡張性、そしてNTTグループとしての信頼も大きかったですね」と、選定理由について語る柴田氏。

こうしてシャングリ・ラ ホテル 東京では、2014年9月にクリアトークカムのトライアルを開始し、2015年1月より本格導入をスタートした。

従来の特定省電力トランシーバーは宿泊部の中でも複数の部署がコミュニケーションツールとして使っていたため、業務の混乱を最小限に抑えるという観点から、当初は稼動人員が少ない夜間のみでクリアトークカムの運用を開始。実務上問題がないことを確認しながら、一斉導入へと踏み切った。現在はゲストとコンタクトの多いスタッフが10台の子機を携帯し、司令塔的な役割を担うフロントのバックヤードには親機となる電話機タイプのコンソールボックスを設置している。

クリアトークカム本体画像

今後の展開

途切れにくい双方向・同時通話で理想的なコミュニケーションを実現

実際に使用したスタッフの声としては、ポケットに入る携帯性に加え、従来のようにベルトへ取り付けてもシルエットが崩れないことから、ポケットが少ない女性スタッフにも大好評。また、双方向・同時通話をクリアな音声で実現している点も、スムーズなコミュニケーションに大きく役立っているという。

「従来の特定省電力トランシーバーは、送信ボタンを押している時に音声送信状態となるプッシュ・ツー・トーク方式のため、相手の発言が完全に終わるのを待ってから話す必要がありました。タイミングが合わずに何度か聞き直すようなこともありましたが、クリアトークカムならどのタイミングでも発言できるので、短時間で正確なコミュニケーションがとれるようになっています」と、運用面のメリットについて語る柴田氏。

また、クリアトークカムが2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応している点も、クリアで途切れにくい通話の実現に役立っている。Wi-Fiインカムシステムの中には2.4GHz帯のみに対応している製品もあるが、こちらは一般的なWi-Fi機器をはじめBluetoothやコードレス電話などでも使われる汎用性が高い帯域のため、どうしても電波干渉が起きやすい傾向が見られる。しかしクリアトークカムなら、5GHz帯でクリアかつ安定した通話が可能というわけだ。

そのほか、デジタル通信ならではの秘匿性や、端末をIDで管理できるセキュリティ面などもポイントとなっている。

「シャングリ・ラ ホテル 東京では現在、今まで宿泊部で使っていた特定省電力トランシーバーを宴会部が引き継いでいるが、将来はクリアトークカムに置き換える事も検討しています」と、今後の新たな展開について語る柴田氏。こうした拡張性の高さも、クリアトークカムならではのメリットといえるだろう。

デラックス インペリアルガーデンビュー(客室)画像

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 2009年3月2日
事業概要 シャングリ・ラ ホテル 東京は、シャングリ・ラ ブランドにおける日本初のホテルとして2009年3月2日に開業。東京駅に隣接する37階建ての複 合ビル、丸の内トラストタワー本館の最上階11フロアを占める。2012年トリップアドバイザーによるトラベルズチョイスアワードを受賞。さらに Institutional Investorがユーザーに実施したアンケート調査にもとづき、World’s Best Hotels of 2013で1位に選ばれる。
URL http://www.shangri-la.com/tokyo/shangrila/
ホテルフロント画像

※2015年3月現在