概要

お客様のニーズに即応し、良質・低廉なレンタル・リースサービスを提供する「NTTレンタル・エンジニアリング株式会社(以下、NTTREC)」。電気通信設備工事、保守用機器、情報通信機器、各種測定器などの特殊機器を専門に扱い、東北、関東、東海、関西、九州にある支店などを拠点に全国展開している。


今回は、市場環境変化への対応や全国展開する業務の効率アップを目的に、業務改善とコンタクトセンタ立ち上げに成功した事例をご紹介したい。

課題

営業力強化を図るための業務の見直し

電気通信工事に用いる測定器や工具のレンタルが業務の中心を占めるNTTRECでは、通信業界の競争激化やコストダウン、さらには2010年以降の通信市場の変化を目前にして、新たな分野への営業開拓が直近の課題となっている。


そのため、人的リソースを営業活動に投入した「営業力強化」が急務である。そこで、NTTRECでは、レンタル業務の中でも受注および資産管理を中心に業務を見直し、全体最適化を図るBPRプロジェクトを社内に発足。


特に「顧客対応業務を集約させることによる効率化」と「アウトバウンド営業の強化」などを視野に入れ、検討をしていた。

営業力強化を図るための業務の見直し図

解決へのアプローチ

当時のNTTRECでは全国5ヶ所の支店それぞれで、レンタルの営業活動、注文受付、物流管理、資産管理を行っていた。それゆえサービスレベルを維持しながら業務効率化を行う一つの解としてコンタクトセンタの設立を考えていた。


そこで興味を持ったのが、コンタクトセンタシステム構築実績が豊富なNTTソフトウェアである。


「社内のBPR活動でも、集約効果を出せそうな点を検討しましたが、社内メンバーだけではどうしても視野が狭くなる。将来を見据えると、第三者の視点も入れて、抜本的な問題点の洗い出しを行い、必要なアクションを取りたいと考えました」(取締役事業推進部長・源野氏)。


そのため、 コンサルティングからシステム構築まで一貫して行える会社 に依頼したいと考えていた。NTTソフトウェアを選んだ理由も、システム構築力に加え、コンサルティングのあり方にもあったという。


「コンサルティングを委託する場合、我々の思いを理解してもらえるか、上手に意見交換して進められるか、という不安がある。その点、NTTソフトウェアは我々の思いを的確に受け止め、いい関係でコンサルティングを受けられると感じた。それが一番の決め手となりました。」(源野氏)


NTTソフトウェアでは EA(エンタープライズ・アーキテクチャー) という組織全体の業務とシステムを可視化し、全体最適の観点から改善プランを提案する手法でコンサルティングを行なっている。

解決へのアプローチ図

実際には、NTTソフトウェアとNTTREC合同でプロジェクトチームを立ち上げ、会社のビジョンやさまざまな要望、問題点などを常に身近に感じながら、 互いに議論を重ねて進められる関係 を築いた。支店キーパーソンへのヒアリングや綿密な実態把握調査を通じ、NTTRECがそれまで漠然と問題だと感じていた問題点が裏づけをもった課題や改善案として整理された。またコンタクトセンタ立ち上げに際して、NTTソフトウェアの 豊富な導入実績に基づいた実践的な提案 も評価された。

「当社はかなり特殊な業務を行なっているが、いち早く業務を理解し、短期間で我々と議論できる知識レベルまで来たことに驚きました。マクロからミクロまでさまざまな課題の洗い出しを行い、その着眼点も良いものでした。また当社にとって新業務となるコンタクトセンタの業務フローからロケーションまで多岐にわたる提案を受け、一つずつ納得しながら課題を解決できたので、大きな満足感がありました。」(源野氏)。

ソリューションとその成果

ここで、BPRコンサルティングからシステム構築まで一貫して取り組んだプロジェクトがもたらした成果をご紹介したい。


コンタクトセンタ設立による業務改善
(1) 受付業務の集約・効率化(コンタクトセンタの立ち上げ)
全国の各支店で営業担当が行なっていた顧客対応、注文受付業務を集約するため、新たにコンタクトセンタを設立。これにより営業担当の営業稼動の拡大を促し、営業力強化を進めている。

(2) 業務の標準化(全社最適化)
受付業務の集約により、それまで支店ごとに独自のやり方で行なっていた業務が標準化され、地域や担当者レベルで生じる顧客対応のバラツキが解消された。また、業務が標準化されたことで、会社全体が同じ認識で議論できるようになった。

(3) 顧客情報照会の迅速化 (情報の即時照会の実現)
レンタル業において顧客の与信管理は非常に重要なポイントであるが、既存システムの連係の不備などから問い合わせ対応時の与信確認が煩雑となっていた。今回の受付システム導入により、与信情報を含む顧客情報の即時照会が可能となった。

(4) 経営に役立つデータ(顧客情報の活用)
受付業務のシステム化により、顧客対応履歴がデータとして残せるようになった。これらの情報は経営判断や方針決定の貴重な材料になり、そこから新たなアクションにつなげることが可能となった。

(5) 顧客サービスレベルの向上(Web会員サービスの開始)
コンタクトセンタとともに、Web上でレンタル注文、見積依頼、契約内容などの照会ができる新サービスを開始した。これによって顧客の利便性向上とNTTRECの新たな営業チャネルの拡大が実現された。
電話番号を自動認識し、お客さまの履歴や与信管理情報が瞬時に照会できる

▲ 電話番号を自動認識し、お客さまの履歴や与信管理情報が瞬時に照会できる


BPR推進による社内の意識改革
(6) 社内の意識変革(「できるはずがない」から「やってみよう」へ)
BPR活動において、第三者から問題点の指摘を受けることは、社員にとって大きな刺激となった。これまでは「仕方がない」「できるはずがない」と諦めていたことに対しても、論理的にきちんと問題が示されたことで、改めて問題意識を喚起することにつながった。

(7) 課題に対する社内の意識統一(課題の整理と複数の選択肢)
課題に対するNTTソフトウェアからの提案は、常にいくつか方向性の違う選択肢をもって示された。それらをもとに議論を重ねることで不明瞭だった部分が明確になり、社内の意思統一を図ることができた。そのため、会社の実態に即した実現性の高いアクションプランを構築できた。

(8) 支店間の壁の消滅(コミュニケーション強化)
コンタクトセンタが支店を束ねる接点となり、情報交換や交流の場として機能している。現在では支店間の隔たりも少なくなり、以前は煩瑣(はんさ)であった支店間の商品の融通なども円滑に行なわれるようになった。

今後の展開

今回、コンサルティングからシステム構築まで一社で取り組んだことにより、問題意識や議論が途切れることなくシステム構築に反映された。


「もともと技術面には信頼の厚かったNTTソフトウェアに、BPRコンサルティングからシステム構築・運用・保守まで、一貫して任せることで、非常に実現性の高いソリューションを導き出すことができたと思います」(源野氏)。


コンサルティングもシステム開発も得意分野とするNTTソフトウェアの強み、それらが有機的に発揮されたといえる。

受注受付をコンタクトセンタで集約し、営業力強化を図る

▲ 受注受付をコンタクトセンタで集約し、営業力強化を図る (2007年7月)

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1985年(昭和60年12月24日)
事業概要 レンタル事業(電気通信設備工事用および保守用機器、情報通信機器および情報処理機器、事務機器など)と、リース事業(長期レンタルなど)を展開し、お客様のニーズに即応し、良質・低廉なレンタル・リースサービスを提供
資本金 3億 8,000万円
従業員数 69名(平成21年3月末現在)
URL http://www.nttrec.co.jp/