トヨタ自動車株式会社 大口第2部品センター 様
物流施設に「ボイスカム+音声入出力ユニット」を導入。
インカムで、外部システムの異常検知アラームをリアルタイムに確認し、チームコミュニケーションが向上

概要
トヨタ自動車は、大口第1部品センター(以下、第1センター)の隣に、修理や消耗品の交換に用いる補修部品(サービスパーツ)を取り扱う、大口第2部品センター(以下、第2センター)を新設した。分散していた物流機能を集約し、1日あたりの入出荷数は約10万件。国内外に出荷できる体制を整えている。
新設にあたっては、「国内外の顧客に補修部品をより迅速に、かつ確実に届ける」という使命遂行のため、倉庫システムのブラッシュアップを検討した。
課題
背景
物流施設を新設。保全作業員と音声でリアルタイムにコミュニケーションしたい
物流施設では、バケット(コンテナの一種)が挟まってコンベヤーが止まったり、自動搬送ロボットに不具合が生じたりするなどの設備の異常が発生する。それらを遅滞なく、確実に保全作業員(現場スタッフ)に伝達し、コミュニケーションを緊密に取りやすい環境づくりを模索した。また、経験の浅い保全作業員の場合、複数の対応が必要になると焦ってしまうこともあり、作業の優先順位などを経験豊富なベテランが若手に指示する場面も多い。そのため、スタッフ同士がリアルタイムに音声でコミュニケーションを取れることも期待してのものだ。
また従来は、設備監視ルームに指示者が1名常駐し、現場で発生する設備の異常を各スタッフに伝えていた。対応状況などについては、随時確認することで把握していた。
導入
インカムシステムを導入し、異常検知の音声を自動的に現場スタッフに共有
第2センターでは、以下のような仕組み(トヨタ自動車様がご用意した他社製のシステム)を導入した。
設備の稼働状況を監視し、異常を検知した場合には、設備監視ルームで警告音が鳴り、発生した場所が画面上に表示される。警告音は、「A地点で○○の異常が発生」と具体的に音声で読み上げるもので、設備監視ルームで待機する複数の保全作業員が瞬間的に異常内容を認識できる。
とはいえ、設備監視ルームで音声が鳴るだけでは、現場で作業する保全作業員の全員に、リアルタイムで異常内容を周知するのは難しい。
そこで、外部システムとNTTテクノクロスのWi-Fiインカムシステム(ボイスカム+音声入出力ユニット)とを連携。設備監視ルーム(外部システム)で読み上げられた警告音(アナログ音声)を「音声入出力ユニット」に流し込むことで、「ボイスカム」(インカムシステム)を持ちイヤホンをつけて作業するスタッフは、現場にいながら自身の耳を通じて、設備監視ルームで鳴る「A地点で○○の異常が発生」という警告音をリアルタイムで認識できるようにした。
ここで「ボイスカム」が選ばれたのは、「NTTテクノクロスが展開する製品への信頼も大きかった」という。インカムシステムの検討では、携帯電話の回線かWi-Fiのネットワークのどちらの利用も検討され、スマートフォンで利用できるインカムの調査が進められた。既に利用していた会議用マイク・スピーカー「R-Talk」(NTTテクノクロス)を手がかりにして調べたところ、同社の「Wi-Fiインカムシステム」にたどり着いたという。
成果
異常検知を正確に、遅滞なく伝達。ベテランから若手への指示も的確に
第2センターでは、2021年1月からのトライアル使用を経て、Wi-Fiのネットワークにのみ接続するiPod touchで運用を開始。音質や製品への信頼性も期待通りであったことから、スムーズに導入に至った。
これによって、異常検知をタイムラグなく、正確に伝えることが可能になる。さらに現場でも異常を確認できるようになったため、設備監視ルームには保全作業員に設備異常を伝える指示者の常駐が不要になった。緊急時などは、全員が現場対応にあたることも可能となったという。
また、双方向に会話できるインカムシステムならではのメリットとして、保全作業員同士のグループトークによるやり取りで、声の様子から「落ち着いて作業ができているか」「作業の内容や優先順位をしっかりと理解できているか」などが分かるようになり、ベテランから若手に的確に指示が出せるようになったり、作業の優先順位をつけやすくなったりした。
導入を後押しすることになった特徴の1つに、一般的なインカムシステムとは違って、iPod touchには「画面」があることも挙げられる。外部システムでは、警告の音声と同時に、異常箇所のリスト(テキスト)を作業員に自動転送しており、iPod touchであれば画面上でも異常を確認できるからだ。
加えて、外部システムと「ボイスカム+音声入出力ユニット」を連携させるだけで済んだため、実現したい機能を自前で開発する必要がなくイニシャルコストが大幅に抑えられた。外部システムと「ボイスカム+音声入出力ユニット」の連携はオーディオケーブルを接続するだけのシンプルな仕組みなので、外部システムまたはインカムシステムで不具合が発生した場合の原因の特定が容易というメリットもあった。
当初は、音声入出力ユニット1台とiPod touch15台分のボイスカムライセンスで運用しており、同年10月には保全作業とは別の用途で11ライセンスを追加した。拡張性という点でも優れているため、第1センターでの導入も視野に入れているという。
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人と人とのコミュニケーションだけでなく、外部システムの情報を「アナログ音声」でリアルタイムに共有し、チームのスムーズな連携につなげる「ボイスカム+音声入出力ユニット」の活用事例は、物流施設や倉庫、工場などで大いに参考になるだろう。
お客様プロフィール

社名 | トヨタ自動車株式会社 |
導入施設 | 大口第2部品センター |
住所 | 愛知県丹羽郡大口町新宮1-135 |
施設概要 |
第2部品センターの敷地面積は約10万㎡。総2階建ての建屋の広さはバンテリンドーム ナゴヤ2個分に相当。使用電力を太陽光発電でまかない、水を電気分解して水素を生成して燃料電池フォークリフトの燃料に充てるなどの環境への取り組みを行っている。 |
※2021年12月現在