住友重機械イオンテクノロジー株式会社 様
「分業化×CRM」で現場の効率と顧客満足度を最大化── 「Salesforce®」で生まれ変わったサポート業務の全貌
概要
住友重機械イオンテクノロジー株式会社は、グローバルに事業を展開し、半導体業界で「イオン注入装置」のリーディングカンパニーとして知られている。同社のカスタマーサポート部門(以降「CS部」)は、急成長する半導体業界のニーズに応える中で、業務の属人化やレガシーシステムの問題に直面していた。「より効率的に、より良いサービスを提供したい」──その想いで導入したクラウドベースのCRM「Salesforce®」。導入を支えたパートナー選び、組織改革の取り組み、そして生まれた変革のストーリーに迫る。
課題
【課題】属人化から脱却。技術継承と顧客対応力向上への挑戦
住友重機械イオンテクノロジー株式会社のCS部は、製品納入後のメンテナンスや修理対応、顧客の問い合わせ対応、部品交換など幅広いサポート業務を担ってきた。しかし、同部は業務に関連していくつかの課題を抱えていた。CS部部長の佐々木氏は「Salesforce」導入前の課題について次のように語る。
「エンジニア一人ひとりが顧客ごとに対応する『顧客担当制』を採用していたため、個々のエンジニアのスキルや知識に業務が依存し、属人化が進行していました。また、ベテランエンジニアに業務が集中し、技術継承や業務効率化が課題となっていました」
こうした組織上の課題と同時に直面していたのが、業務支援システムのレガシー化だ。CS部/フィールドサポートGマネジャーの河合氏が続ける。
「これまで使用していた業務支援システムは、業務全体を一元的にカバーするものではなく、データが分散し、必要なデータを探すのに手間がかかっていました。また、システム自体が古くなっていたため、業務効率を上げるための改修も難しい状況でした。根本的な解決を目指し、2021年5月から新たな問い合わせ管理システムを構築するプロジェクトを開始しました。顧客担当制から分業体制に組織を再編し、業務プロセス全体を管理できるCRMを導入することで、CS部の業務効率化と生産性向上を目指すプロジェクトです」
解決へのアプローチ
【導入】「Salesforce®」で組織変革を加速。鍵はNTTテクノクロスの業務理解と徹底サポート
新システムの要となるCRMは「Salesforce」に決まった。河合氏は「世界No.1のCRMという信頼感に加え、会社が変革期にある中でもさまざまなシステムと連携できる拡張性、アップデート時のビジュアルやボタン配置の変更が少なくユーザー目線での使いやすさが他より優れていると判断し、導入を決めました」と話す。CRM導入における問題は「どのCRMを導入するか」ではなく、「自社業務にフィットしたCRM導入支援ができるパートナー選び」だった。2022年6月、CS部がSalesforce社から紹介された複数のベンダーの中から選んだのは、NTTテクノクロスだ。決め手について、プロジェクトリーダーの横畑氏は次のように話す。
「当社がCRM導入で実現したかったことは多岐にわたります。複雑な業務の全体像をしっかりと咀嚼した上で、我々のイメージにマッチした導入プランを提案いただけたのはNTTテクノクロスだけでした。新システムに含まれるコンタクトセンター周りの対応、周辺システムとの連携の実績が豊富なのも魅力でした」
提案内容だけでなく、NTTテクノクロスの営業担当の存在も大きかった。河合氏は「ベンダーとのやりとりは初めてで不安もありましたが、終始こちらに寄り添う姿勢の応対で安心できました。当社の愛媛事業所に東京から営業担当の方がすぐに駆けつけてくれるレスポンスの早さも好印象でした」と話す。
NTTテクノクロスの支援により「問い合わせ管理システム」の構築はスムーズに進行。技術的な問題はほとんど発生せず、最大の課題は社内の調整だった。「CRMって何?」というレベルから始まった社内への説明や、事業所ごとの独自業務スタイルを標準化するための意識改革には時間を要したが、全国の事業所を河合氏と横畑氏が巡り、粘り強く説明することで、徐々に理解と協力を得ることができた。
ソリューションとその成果
【成果】新業務フローとナレッジ共有で「効率化」と「サービス品質」を両立
2023年3月に本格運用を開始した「問い合わせ管理システム」により、CS部の業務フローは大きく変革。問い合わせ、エンジニアからバックオフィスへの部品発送や見積もりなどの依頼、修理対応、フォローアップまでの一連の業務プロセスが組織全体で可視化され、ナレッジベースを共有できる仕組みが整った。具体的にはコンタクトセンター構築により、スキルに合った適切なアサインと業務の平準化を実現。作業報告書など業務プロセスのデジタル化と対応履歴の可視化・共有によりコミュニケーションロスを削減。また蓄積した対応履歴(ナレッジ)の参照と集計・データ活用によってサービス品質が向上した。その総合的な効果について、佐々木氏は次のように語る。
「Salesforceによる新たな業務フローの構築によって、狙い通りの分業体制が確立でき、エンジニア一人ひとりの負荷軽減と組織全体の業務効率化が実現できました」
属人化・技術継承の問題は解消に向かい、顧客の利便性向上にもつながった。河合氏は「経験の浅い若手エンジニアであっても、集約・一元管理されたナレッジを参照しながら、お客様に常に一定水準以上のサービスを提供できるようになりました。また、お問い合わせをエンジニア個人ではなくコンタクトセンターで受け付けるため、確実にお客様へのレスポンスのスピードが速まりました」と話す。若手エンジニアのモチベーションにも好影響を及ぼしている。横畑氏は「新システムで業務が見える化されたことで各人の対応件数が分かるようになり『やりがいがある』との声が上がっています」と話す。
今後の展開
【今後の展望】業務データの統合とAI活用でさらなるグローバル展開へ
河合氏は「現在、集約できているのはSoE(Systems of Engagement)領域のデータのみですが、今後は受注情報などのSoR(Systems of Record)領域も集約し、SoEとSoRを統合して、さらに成長につながるツールとして進化させていきたいです」と話す。横畑氏も「生成AIを活用し、顧客サポート効率化や顧客の利便性向上を目指しています。生成AI関連においても、今後NTTテクノクロスとともにプロジェクトを進めていきます」と続ける。今後の展開としては海外も視野に入るという。佐々木氏が次のように語る。
「人材リソースが限られる中で、CRMを活用した『問い合わせ管理システム』であれば海外顧客への対応も可能です。システムをさらに拡充して、よりグローバルに、よりスピーディーに、私共ならではの価値をお客様にご提供してまいりたいと思います」
お客様プロフィール
設立 | 1983年4月 |
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事業概要 | イオン注入装置の開発、製造、販売及びサービス |
資本金 | 4億8000万円 |
従業員数 | 513名(2022年1月時点) |
URL | https://shi-ion.jp/ |