概要

NTTドコモでは"スマートライフの実現"をキーワードに、モバイルサービスの進化や新たな価値創造に取り組んでいる。
その中でも代表的なコンテンツサービスとして挙げられるのが、月額400円(税抜)で約1,100作品、約20,000話(2014年12月現在)の動画が見放題となる「dアニメストア」、そして月額380円(税抜)でニュース/天気/ゲーム/占いなど多彩なコンテンツが使い放題となる「スゴ得コンテンツ」だ。

2012年7月に開始したdアニメストアは118万契約、2013年5月に開始したスゴ得コンテンツは、それを含む「おすすめパック」が361万契約(いずれも2014年9月末現在)と、スマートライフの実現に向けて堅調な伸びを示している。

課題

大容量のユーザーログを活用して、正確に動向を把握したい

2013年当時、同社ではいくつかの課題を抱えていた。NTTドコモスマートライフビジネス本部 コンテンツビジネス推進部 コンテンツ技術支援技術企画担当主査の西村一成氏は「一番大きな課題は、サービスをご利用頂いているお客様の動向を正確に把握できないことでした」と語る。

同社では2013年6月頃、スゴ得コンテンツの初期データから次の方針を決定するべく分析を開始したが、データ量の多さに苦しんだという。ユーザーログは表計算ソフトがフリーズするほど膨大で、欲しい情報を得るのにかなりの時間を要してしまう。しかも、ようやく出力された結果が想定内容と違い、やり直すようなことも多かったそうだ。

「その後も表計算ソフトとDBソフトを組み合わせたり、ログを事前にテキスト状態で加工するなど試行錯誤してみましたが、1つのことが分かるのに数日を要する状況は変わりませんでした。Webアクセス解析ツールを使えば大まかなアクセス動向は分かるのですが、Webサイトの改善や利用率向上を図るには、より詳細なお客様動向の把握と分析が必要だったのです」と西村氏は続けた。

膨大なコンテンツ数と増加し続けるユーザーログを背景として、大容量のデータを効率的に扱いたいというニーズも発生。そこで同社では、レポーティングや分析が行えるソリューションの導入に向けて検討を開始したのである。

解決へのアプローチ

求めたのは安価で迅速な導入と 成長に合わせた拡張性

NTTドコモ スマートライフビジネス本部 コンテンツビジネス推進部 コンテンツ技術支援担当部長の滝澤暢氏は、ソリューション選定の条件について「安価かつ迅速に導入できることはもちろん、増え続けるデータ量に対応できる十分な拡張性が求められました。運用面においては、データ分析に関する専門知識を持たない我々でも使えるか、そして社内でノウハウが蓄積できるかという部分も重要なポイントでした」と語る。
こうしてソリューションの選定を進めるうちに出会ったのがNTTソフトウェアだ。

「“すべてトータルで提供します”ではなく“試行錯誤しながら一緒に考えていきましょう”という言葉が嬉しかったですね。その言葉どおり、どのデータを使い、どのように加工し、最終的にどういった形で出力するかまで、過去の事例や一般的な分析の切り口などを参考に、何度も打ち合わせを繰り返しながら進めてくれました。これは我々のノウハウの蓄積にも大いに役立ちました」と滝澤氏。

直感的に使えるYellowfinと拡張性の高いAmazon Redshift


NTTDoCoMo_Imageシステム構成として、データの集計・分析に関しては、NTTソフトウェアが日本初のコンサルティングパートナーを務めるBIツール「Yellowfin」を採用した。Yellowfinは、ユーザはWebブラウザのみ用意すれば、特別な知識は不要で直感的に使えることが特徴。

また、データの蓄積に関しては、「Amazon Web Services」から登場したペタバイト規模まで対応できるDWHサービス「Amazon Redshift」を採用。こちらは列指向ストレージ技術を用いた高速集計に加え、小規模から利用でき、データの増加に合わせた拡張性の高さ、そしてシンプルかつ費用対効果の高い料金体系も魅力のひとつといえる。

西村氏は「実際にYellowfinを使ってみた第一印象は“表計算ソフトのピボットテーブルに近い”でしたね。とにかく直感的で分かりやすく、すぐに馴染むことができました。Amazon Redshiftは、実は東京リージョンローンチ時から注目していました。万が一、結果が出せない可能性を考えると、高いパフォーマンスに加えてデータ量が増えても段階的に柔軟に拡張できるクラウドサービスは弊社に最適でした」と語る。

こうしてNTTドコモでは2013年12月から社内でのテストを行い、2014年1月にはシステムの正式稼働をスタート。開発と並行して、実際にデータを扱う社員たちの知識とスキル向上を図るべく、段階的にYellowfinのトレーニングも実施した。

ソリューションとその成果

短期間にユーザーの動向把握と分析を実現

導入効果について西村氏は「サンプリングではなく、全データを対象として迅速かつ簡単に結果が出せるようになったのは大きな進歩です。一番変わったのは、お客様の動きが頭の中で想像できるようになったことです。動きが想像できると、新規の取り組みがどのお客様にあうかといった直感が働くようになり、施策を考える時の効率もアップします」と語る。

実際にユーザーログをYellowfinで分析したところ、同ジャンルでもコンテンツによって閲覧の頻度や時間帯、ユーザー層などに違いがあることが判明。属性別にメールマガジンに掲載するコンテンツの出し分けを行ったところ、CTR(Click Through Rate /クリック率)が約2倍まで向上したという。また、実際のユーザー層とコンテンツがミスマッチしていないかの検証や、キャンペーンの効果分析などにも役立っているそうだ。

今後の展開

今後も“ニーズの半歩先”を目指す

「弊社では初期開発を含めてすでに3回の追加開発を行っています。データの種類を増やして分析を行うたびに、また新たに“知りたいこと”に出会います。この繰り返しにより、新たな施策に結び付く“気付き”が生まれるわけです」と西村氏。

さらに「企画を手がける部門から“こんな情報が欲しい”と依頼があっても、肝心のデータがなければ要求に応えられません。逆にデータさえあれば、あとは分析方法や見せ方しだいで対応が可能ですし、こちらから別の切り口で提案することもできます。

「今後もさまざまな分析を通じ、 Yellowfin と Amazon Redshiftで“ニーズの半歩先”をいきたいですね」と滝澤氏は語る。データと分析結果だけが次々と出力されても、それらが実際のビジネスに生かされなければ意味がない。

この“半歩先”という言葉には、“企画側も一緒に成長していく”という想いも込められているそうだ。

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1992年7月
事業概要 携帯電話サービス、衛星電話サービス、国際サービス及び各サービスの端末機器販売を中心とする「モバイル通信事業」、動画・音楽配信サービス、電子書籍サービス等のd マーケットを通じたサービス、金融・決済サービス、ショッピングサービス及び生活関連サービスなどの「スマートライフ事業」、ケータイ補償サービス、システムの開発、販売及び保守受託など「その他の事業」の3つのセグメントで事業を展開している。


dアニメストア

スゴ得コンテンツ
資本金 9,496億7,950万円(2014年3月31日現在)
従業員数 10,973名(グループ全体24,860名)(2014年3月31日現在)
URL https://www.nttdocomo.co.jp/

※2015年3月現在

Amazon Web Services(AWS)、Amazon Redshift、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
YellowfinはYellowfin International Pty Ltdの登録商標です。
その他会社名、製品名などの固有名詞は、一般に該当する会社もしくは組織の商標または登録商標です。