概要

茨城県および隣県の地域医療を支える古河総合病院は、令和6年度診療報酬改定でのオフラインバックアップ対策にデータブリッジを採用。日々のバックアップ環境オフライン作業をデータブリッジにより自動化し、人手による業務負荷の軽減が実現した。

古河総合病院様

(写真左)
情報システム管理室
医療情報技師

菅原 利雄氏
(写真右)
古河総合病院 病院長
門間 英二氏

課題

県の地域医療コミュニケーションアプリでのセキュアな画像ファイルの受け渡し用途で
データブリッジを初導入

 2025年に開院20周年を迎える医療法人 徳洲会 古河総合病院。関東平野のほぼ中央、茨城県西端に位置し、隣県の地域医療ニーズにも対応する同院は「生命を安心して預けられる病院」「健康と生活を守る病院」を理念に掲げ、急性期病棟、療養病棟、回復期リハビリテーション病棟を備えるケアミックス型の病院として、患者様の状況に合わせた医療を提供。HCU(高度治療室)の立ち上げなど、医療・介護の充実を図る取り組みを積極的に行っている。

 同院は2023年2月、1台目となるNTTテクノクロスのデータブリッジATを導入。情報システム管理室 医療情報技師の菅原利雄氏は、当時の利用目的を次のように話す。「茨城県の地域医療構想の1つである医療従事者間コミュニケーションアプリにおいて、院内PACS環境から匿名化した対象画像を登録医療機関所属の関係者間で共有、意見交換を行うための画像連携用として導入しました。病院の電子カルテシステムのネットワーク環境はセキュリティ観念からクローズドであることが求められ、徳洲会グループではグループVPNを用いてデータセンターへのバックアップや各メーカー保守などを実施しています。同アプリは救急医療搬送の際の現場から搬送するまでの受入病院の選定時間短縮を目的として、茨城県の医療従事者間で気軽に相談できるネットワークを実現することが構想の命題であり、電子カルテのクローズドネットワークとオープンネットワークを接続させる必要がありました。分離ネットワーク間の安全なファイルのやり取りと、外部からの不正アクセスを防ぐ仕組みとして、データブリッジが最適でした。」

NTTテクノクロスの「データブリッジR」は、ネットワーク分離環境で安全かつ効率的なデータ受け渡しを可能にするデバイス。データの自動消去、ユーザーや受け渡し時間の制御、ログの取得などができるためUSBメモリよりもはるかに安全。中間サーバーのような大掛かりな設備を必要としないため、低コストで容易に運用できる。

解決へのアプローチ

令和6年度診療報酬改定でのオフラインバックアップ対策として
データブリッジ追加導入を決定

 そして同院では2024年7月、2台目となるデータブリッジを導入した。菅原氏はその目的を、次のように話す。「今回は、『令和6年度診療報酬改定の診療録管理体制加算の見直し』において、『非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管していること』が明記されたことへの対応用途です。それを実現するには、物理的に外付けハードディスクなどから接続ケーブルを抜く、あるいは電源を切る必要があり、いずれにしても人手での作業となります。これを毎日の作業として行うには労力が掛かり、抜き忘れ、つなぎ忘れといったヒューマンエラーも起こります。また休日など、作業が行えないケースも想定されます。そこで、その作業を自動化する目的で、今回新たにデータブリッジATを導入することとしました。」

 菅原氏は、初回導入時と同様にNTTテクノクロスに利用目的を説明し、医療情報システム バックアップのオフライン環境を構築する上でのデータブリッジの役割と、それを可能とする機能があるかを相談。想定通り目的が達成可能と確認できたことで、同院2台目となるデータブリッジの導入が決定した。

ソリューションとその成果

バックアップ環境オフラインへの切り替え作業を自動化
人手による業務負荷を大きく軽減

 医療情報システム バックアップのオフライン環境実現にデータブリッジを活用するメリットについて、菅原氏はこのように話す。「データブリッジATのWindowsサービスオプションを活用することで、バックアップを実行するPCのスケジューラーと連動して、1年間365日バックアップを行いながら、処理が終了した直後に環境の電源を自動でOFFにする、バックアップを行う直前に自動でONにするという制御が実現します。バックアップ自体はシステムで自動化していますので、オフライン化が自動で行えるようになれば、よりこまめなデータ保存も実現できますし、マンパワー頼りの手動作業がなくなることで、業務負荷を大きく軽減できます。」

今後の展開

今後、他の領域での活用範囲拡大を検討
引き続き医療機関セキュリティ強化に有効な機能提供に期待

 今回のデータブリッジATを利用したオフラインバックアップ環境の整備について、「チャレンジの提案に対し快く承諾、後押ししてくださった堀井事務長、これからの当院とグループ発展のためにも必要な施策であると最終的に承認をいただけた門間院長のお二方の理解があってこそ、実現にたどり着くことができました。」と、菅原氏は感謝を述べる。

 今後について、「現在は、古河総合病院でのクローズドネットワークのオフラインバックアップとしてのみ利用していますが、運用が進み安定稼働が確認できたら、徳洲会グループへの仕様提供を行いたいと考えています。また、電子カルテ系のクローズドネットワークのみだけでなく、情報系などオープンネットワークでも利用できないか、模索していこうと思います。」と語る菅原氏は、データブリッジの機能でさらなるセキュリティ強化施策も実現すると、期待を寄せる。「データブリッジATの機能の1つである無害化オプションを活用することで、マルウェアなどの侵入、感染リスクを防止することが可能です。当院はさまざまなセキュリティ対策を実施していますが、それらとはまた別の観点で、医療システムの安全性を高めることができると期待しています。」

 最後に菅原氏は、同様の課題を持つ医療機関へのメッセージとNTTテクノクロスへの期待を、次のように結んだ。「本来、病院、医療機関で積み重ねた情報はより良い治療、技術開発に有用的に利用されて欲しいのですが、悪意ある攻撃に常にさらされている状況では、多くの医療機関がセキュリティ対策に頭を悩ませ、掛かる負担も決して軽くはない状況が続いています。NTTテクノクロスのデータブリッジATは、医療機関としての安全管理および負担軽減対策としても、活用が有用であるとお勧めできます。当院では現在、医療機関間での画像ファイルのやり取りと、オフラインバックアップ用途で活用していますが、他の運用にも活用できる機能をデータブリッジATは有しています。NTTテクノクロスには引き続き低コスト、1台で、例えば介護などの複数施設、広範囲で利用できる仕組みなどを開発いただけると、コスト負担が厳しい中小規模の医療機関にとって心強いと思います。今後のNTTテクノクロスの躍進に、期待しています。」

データブリッジ利用イメージ

データブリッジ利用イメージ

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
事業概要 所在地︓茨城県古河市鴻巣1555番地 診療科目︓内科/糖尿病内科/腎臓内科/消化器内科/循環器内科/神経内科/ 外科/呼吸器外科/消化器外科/乳腺外科/心臓血管外科/脳神経外科/ 整形外科/形成外科/美容外科/泌尿器科/婦人科/小児科/皮膚科/耳鼻咽喉科/ 眼科/麻酔科/総合診療科/歯科口腔外科/放射線科/リハビリテーション科/ ペインクリニック 病床数︓234床
URL https://www.kogahosp.jp/

※2024年9月現在