社会福祉法人フラット様
4km離れた3拠点をリアルタイムにインカムの〈声〉で結ぶ
概要
障がいのある人も地域の一員として暮らせる社会づくりを推進する、障がい福祉施設。一方で、人材の確保・育成が課題とされ、経験やスキルアップに悩むスタッフも多い。千葉県白井市で長年活躍する社会福祉法人フラットも、以下の課題を抱えていた。
●拠点が3 つに分かれており、スタッフ間の連携が取りづらい。
●志高い新人の介護スタッフがタイムリーに先輩のアドバイスを得にくく、無理をして頑張ってしまう。
●頑張っているスタッフやマネージャとのコミュニケーションを強化し、一人ひとりが充実できる職場にしたい。
こうした課題の解決に貢献したのが、NTTテクノクロスの「Wi-Fiインカムシステム」の『ボイスカム』だ。4km離れた3拠点をリアルタイムにインカムの〈声〉で結び、スタッフ同士の絆も強固に。スキル、経験の差が埋まり、サービスレベルも向上した。
課題
物理的な距離が原因で、スタッフの連携が取りづらい。「トランシーバーでもチャットでも解決できない」
地域からのニーズの高いグループホーム。一方、施設を営む上での課題もある。例えば小規模なグループホームでは、障がい者を援助する専門スタッフの人数が限られ、現場の運営レベルが一定しない。千葉県白井市で3つ目のグループホーム「ガーデンスクエア」を開所した社会福祉法人フラットも、同様の課題を抱えていた。同法人の場合、3つのグループホームに対して、スタッフは交代制でローテーションを組んで配置されるが、施設がそれぞれ離れた拠点にあるため、相互に目が届きにくかった。
3施設の管理者である田渕優氏は「経験の浅いスタッフにとっては、入居者を目の前にして困っても、相談できる先輩や上司が近くにいないのはすごく不安です。管理者である私が見回るにしても、頻繁には行けませんでした」と、当時の課題を語る。
こうした状況に危機感を大きくした理事長の林晃弘氏は、すぐに課題解決に取り組んだ。スタッフがリアルタイムにコミュニケーションできる方法を模索したのだ。
最初に考えたのがトランシーバーの導入だ。「すぐに連絡を取りあえるようになって、コミュニケーションが活発になりました。でもトランシーバーだと、同じ住居内でしか使えません」(林氏)。SNSツールのグループチャットを導入してスピーカーで聴いてみたが、これでは声が「全員」に聞こえてしまう。「無料のスマホアプリも検討しましたが、実運用には適しませんでした」(林氏)。
解決へのアプローチ
4㎞離れていても「声」でつながる Wi-Fiインカム。セキュリティも拡張性も満足。
そこでWi-Fiを利用して、物理的に離れた場所や複数フロアでも利用できるインカムシステムを探した。そして選んだのが、NTTテクノクロスのリアルタイム・双方向インカムシステム「ボイスカム」だった。「最後の決め手は、NTTへの信頼」(林氏)というが、実際にデモ機を使って確認したところ、音声もクリアで、不都合が何一つなかった。グループや特定の相手との通話にも簡単な操作で対応できる。
「特に気に入ったのが、オンプレミス構成によるセキュリティと拡張性です。セキュリティがしっかりしていて、外部から侵入されることはまずない。それに、iPodやiPhoneをインカムに使えるので手軽に拡張できて、ライセンスを追加すれば規模も拡大できます」と、選定理由を語る。
さらに同法人では、スタッフが両手を使えるようにするために、Bluetooth対応のマイク付きイヤフォンを導入した。「福祉施設では、ヘッドフォンのような大きな機器の利用は怪我の元にもなりかねません。そこで小型のイヤフォンにして、壊れることも想定して数千円で品質の良いものを選びました」(林氏)。
ソリューションとその成果
導入もスムーズに完了。 リアルタイムの声がけが広がり、運営も安定。
導入にあたってのハードルも低かった。「最初の一週間くらいは慣れていなくて遠慮がちでしたが、リーダーが率先して声がけをすることで、すぐに解消されました」(田渕氏)。いまは常時、通話状態にして、相互に話している声を聞くことができる。
効果もすぐに現れた。これまではスキルの不足するスタッフが、入居者への対応で困る事態も少なくなかった。先輩スタッフが近くにいないので、アドバイスも求められなかった。それがボイスカムを導入したことにより、リーダーたち経験者が「現場の声」から状況を把握して、すぐにアドバイスできるようになった。
「リーダーが常にそばで見守ってくれているようで、安心できるようです。一方でリーダーからも、スタッフの技術レベルが向上できたと好評です」と、その効果を語る。田渕氏自身も、見廻り頻度を減らすことができ、業務効率が向上したという。さらに林氏は、「スタッフ同士のペアリングにも効果的で、シフト調整をしなくても教育やフォローができるのも大きなメリットです」と、管理者側の負荷軽減を語る。
長らく福祉業界は、組織としてのマネジメントの難しさや労働条件、離職率の高さなどが課題とされてきた。「根本的な原因はコミュニケーション不足です。その点、ボイスカムを使えば、今まで届かなかったところに声が届くし、実際にコミュニケーションも深まりました」(林氏)。
今後の展開
グループホームの拡大とともにボイスカムの利用も拡大
同法人は、グループホームの拡大とともにボイスカムの利用も拡大し、ニーズに照らしながら、対象施設、適用領域を拡大していくという。「当たり前の生活を障がい者にも届けたい」という同法人の夢の実現に、多拠点間を「声」で結ぶボイスカムが貢献する。こうしたメリットは、同業種である福祉施設をはじめ、コミュニケーションや働き方の改善に課題を抱える事業者にとって、大きな効果を生むだろう。
お客様プロフィール
設立 | 2016年(2006年3月にNPO法人として活動開始) |
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事業概要 | 社会福祉事業。白井市内に11の事業所を運営(2020年1月)。現在、一人での生活が困難な人が専門スタッフの援助を受けながら共同で生活するグループホームの運営に注力する。 |
URL | http://flat.or.jp/ |
※2020年3月現在