概要

多くの手続きをスマホで完結できる、新たな自動車保険を提供開始したイーデザイン損保。
その"エフォートレス"なサービスを支えるのが、クラウドベースで構築した新コンタクトセンターシステムだ。
オムニチャネル対応、在宅運用も容易という特徴を活かし、快適かつスピーディな顧客体験を実現する。

課題

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、新たな顧客体験を追求するイーデザイン損保は、2021年11月、契約や保全、事故対応などあらゆる手続きをスマートフォン(以下スマホ)で完結できる自動車保険「&e(アンディー)」を提供開始した。IoTセンサーが自動で衝撃を検知し、スマホから1タップで事故連絡できるなど、エフォートレスを追求したサービスが特徴だ。

同社は、この新商品に関する問い合わせに対応するコンタクトセンターをクラウドベースで新規に構築した。お客さまサポート部 業務グループ 兼 IT企画部 アシスタントマネージャーの勝呂一晶氏は、「『&e』を提供するプロセスはフルクラウドのソリューションを利用しています。そこで電話基盤についてもクラウドを検討、Amazon Connectを採用しました」と説明する。

構築は、Amazon Connectをはじめとしたコンタクトセンターシステム構築の豊富な導入実績と、CTI連携に関する知識が豊富なNTTテクノクロスに依頼した。「Amazon Connectの豊富な導入実績に基づく知見と、あらゆるニーズに応える開発品質の高さが決め手となった」(勝呂氏)という。

解決へのアプローチ

マルチベンダーをファシリテート スピーディなシステム構築を実現

システム構築は、2020年6月に着手した。パンデミックと重なったが、リモートでの打ち合わせを重ね、迅速かつ柔軟な体制を維持、開発スピードを落とすことなく構築が進んだ。

通信インフラシステムの構築は、CRMシステムとのCTI連携も必要なため、複数ベンダーとの情報連携や合意形成が欠かせない。NTTテクノクロスは、各社の意思疎通を図りつつ、役割分担を明確化するなど、中心となってプロジェクトを推進した。
新センター構築と同時進行で、既存商品のコンタクトセンターの移転とシステムリプレースも進めた。在宅シフトのニーズが高まったことを受け、こちらもAmazon Connectの導入を決定。わずか4カ月でリプレースを完了し、移転計画の前倒しにも対応できた。

お客さまサポート部長の俣野秀樹氏は、「リプレースは特にスピードを優先しました。結果、ほぼカスタマイズすることなく、在宅運用にも対応できる、Amazon Connectの導入に踏み切りました。新センターと同じシステムを導入した結果、双方の課題を共有することによる迅速な解決、トラブル防止などにもつながっています」と笑顔を見せる。

在宅シフトにあたり、同社の厳しいセキュリティ基準のほか、実業務運用を意識した提案・設計、さらに在宅ワークを行う上での弊害やリスクなど、さまざまな課題が生じたが、NTTテクノクロスは一つ一つの課題を可視化し、スピード感を持って解決策を提示。リプレース後は、常時、数名が在宅勤務を行い運用することで、接続品質の安定につながっている。

図1 Amazon Connectを活用した次世代型コンタクトセンターのシステム概要

図1 Amazon Connectを活用した次世代型コンタクトセンターのシステム概要

ソリューションとその成果

緊急度や優先度に合わせた有人対応のノンボイス化を目指す

イーデザイン損保が「&e」のお客さま体験で目指すのは、「究極の快適性、究極の安心・安全、究極の先回り、究極のFor Me」(お客さまサポート部 業務グループリーダーの鈴木雅博氏)だ。例えば、事故対応については、IoTセンサーによって速度や衝撃、損傷などのデータを自動で取得。オペレータはそれらの情報をもとに、顧客に寄り添った応対と早期解決を図っている。
シームレスなオムニチャネル対応を実現する新システムは、同社が目指す、快適かつ迅速な顧客対応を強力に支援する。

「&e」の通常の顧客対応はチャットが中心だが、必要に応じてアウトバウンドコールを行うほか、夜間の問い合わせはメールで受け付けている。 どのチャネルの応対履歴も一元管理され、オペレータは1つの管理画面で把握できる。これにより、「昨日、メールで問い合わせた件」というチャットの問い合わせにも、スムーズな応対が可能だ。

クラウドベースのAmazon Connectは、定期的なバージョンアップによる機能追加が行われる。イーデザイン損保は、追加機能の活用を積極的に検討し、新たなサービスの開発、提供につなげていく方針だ。

また、Amazon Connectと連携する、サードパーティー製の各種ソリューションの導入も視野に入れている。NTTテクノクロスは、AmazonConnectと連携するコンタクトセンターソリューションを多数保有しており、さらなる業務効率化やCX向上を図る解決策の提案に、今後も大いに期待しているという。

図2 Amazon Connectで既存PBX からのリプレース─既存センターのシステム概要

図2 Amazon Connectで既存PBX からのリプレース─既存センターのシステム概要

今後の展開

写真左から 俣野 秀樹 氏、鈴木 雅博 氏、勝呂 一晶 氏

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 2009 年1月26日(イーデザイン損保設立準備株式会社として設立)
事業概要 損害保険業
URL http://www.edsp.co.jp/