概要

フォルクスワーゲングループのファイナンス会社として車両購入に関するファイナンスプログラムを提供しているフォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパン株式会社。同社は、ローン申請機能などが実装された販売店向け支援システム「EVAS(イーバス)」を通じ、販売店の顧客管理や営業支援などを行っている。

そんなEVASに実装された機能を柔軟に活用するためのシングルサインオン(SSO)基盤として、NTTソフトウェアの認証連携ソリューション「TrustBind/Federation Manager」が採用されている。

課題

リニューアルプロジェクトで 管理者向けの機能追加が急遽発生

ドイツにあるフォルクスワーゲンファイナンシャルサービスAGの100%子会社で、「フォルクスワーゲン」「アウディ」「ベントレー」「ランボルギーニ」の4ブランドを購入する際に顧客が利用するローンをはじめとしたファイナンスプログラムを提供しているフォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパン株式会社。1990年に日本でのビジネスを開始して以来、「お客様第一主義」をモットーとした質の高い金融サービスを提供し、フォルクスワーゲングループの自動車販売活動に大きく貢献している。

そんな同社では、EVASのローンに関する見積機能や資金のシミュレーションなどにより、同ブランドを取り扱う約400の販売店の業務支援を2005年から行っていた。そして2011年、このEVASをiPadでも活用できる新システム「EVAS NEXT」に再構築するプロジェクトがスタート。その開発プロジェクトが進行する真っ只中の2012年8月、販売店の店長や上長などの管理者に向けて商談管理機能を実装させることが起案された。同社の業務の中枢を担うシステム構築プロジェクトが2つ並行し、ともに短期間で完成させることを余儀なくされた。

解決へのアプローチ

柔軟な外部連携と利便性を落とさないSSOが必要に

「およそ1年をかけ、EVASのリニューアルプロジェクトを進めているところに、管理者向けの商談管理機能の追加が決まり、時間的にも開発工数の面でも非常に厳しい状況に追い込まれました」とIT部 マネージャーである安生氏は当時を振り返る。同社は基本的にスクラッチでシステムを開発してきたという。
安生 浩 氏(左)と福元 雄介 氏(右)2人の写真

「リニューアルと並行して、半年足らずで商談管理の仕組みを実装する必要がありました。また、レポートの機能をWeb画面で提供するという私たちがこれまで手掛けてきた仕組みとは異なる技術が求められました。そこで総合的に判断した結果、利便性の高い外部サービスを利用することを決断。そこで選んだのが、CRM基盤をクラウドサービスとして提供するSalesforceです」と語るのは同部の福元 雄介氏だ。

「この新しい商談管理機能は、あくまでもEVASの一機能として外部サービスを販売店に提供する必要があり、EVASとシームレスに連携することが求められました。また、顧客や融資に関わる重要な情報を取り扱うため、閉じられたネットワークでのみ利用でき、インターネット経由ではSalesforceに直接アクセスできない環境作りも必要です。さらに、利便性の低下を防ぐため、EVASにログインするだけでSalesforceが利用できるSSOの仕組みも検討しました」(福元氏)。

このような厳しい要件の元、新しい仕組みづくりを検討した同社は、NTTソフトウェアの「TrustBind/Federation Manager」の導入を決定した。

「クラウドサービスとのSSOを実現するためには、既存のEVAS認証基盤との連携がポイントになります。この認証基盤の導入を担当したのが、NTTソフトウェアでした。そこでクラウドサービスとの連携について相談したところ、TrustBindをご紹介いただいたのです」(安生氏)。

TrustBindで大きく評価したポイントは、Salesforceとの連携実績だったという。「縁の下の力持ち的な機能となるため、何よりも実績を重視しました。認証部分はNTTソフトウェアにお任せしており、実績がしっかりあるものを選ぶことで“大船に乗りたい”という気持ちでした」と安生氏。予算的にも十分同社の求める範囲に収まったことで、クラウドSSOを実現する「TrustBind/Federation Manager」が採用されることになる。

ソリューションとその成果

販売店の業務支援に大きく貢献する「EVAS NEXT」がスタート

2013年1月より本稼働を迎えたEVAS NEXTに続いて、およそ5000ユーザが利用する認証基盤に対するSSOが1月末よりスタートし、現在もトラブルなく順調に稼働している。SSOはSAML2.0プロトコルを利用しており、EVASよりSalesforce自体をカスタマイズした「EVAS PLUS」にアクセスできるようになる。「Salesforce上で動かすアプリケーションの開発は我々で行いましたが、認証部分は完全にNTTソフトウェアにお任せしました」と福元氏。

「今回SSOの認証基盤を整備したおかげで、EVAS NEXTを経由した外部連携が容易になり、新たな仕組みとして、弊社で取り扱っているクレジットカードのポイントを管理するポイント管理システムを新規導入し、ポイント管理システムとEVASをSSOで連携させました。これにより、これまでポイントを利用するために都度クーポン券を発行していましたが、クーポン券を発行することなく、販売店側で直接ポイント処理ができるようになりました。販売店の業務負荷を軽減することでEVAS NEXTに対する利用者満足度も向上しています」と安生氏は評価する。

NTTソフトウェアに対する評価については、「カード会社との連携時には、先方がSAMLに対応していなかったため、実装に関する多くの問い合わせが寄せられることに。そんな時にも、きちんと対応いただけたことで無事に連携させることができました。また、iPad対応についても証明書のインストールなど認証部分の環境整備にご協力いただき、スムーズに稼働までこぎ着けました」と福元氏。

システム構成 概要図
【NTTソフトウェアを選んだポイント】

● 安定した認証基盤を提供してきた実績

● Salesforceとの接続実績があり安定性を重視

● IT全般にわたり豊富な手厚いサポート


実はタブレットに対応したことで、リニューアル直後はネットワークの帯域が大きく圧迫されてしまったこともあったという。そこでNTTソフトウェアにアドバイスを求めたところ、「既存の認証基盤(他社製品)にあるHTTP圧縮機能を活用するアイデアをご提案いただき、ことなきを得ました。IT全般にわたる豊富な知識をフル活用し手厚くサポートいただけたことに感謝しています」と安生氏はNTTソフトウェアのノウハウときめ細かな対応力を高く評価している。

今後の展開

重要なブランドの入り口を支える認証基盤として今後も活用

すでに同社と販売店を繋ぐ基幹システムとしてブランド化されているEVAS NEXTだが、ブランドの入り口を支える認証基盤として「TrustBind/Federation Manager」が大きな役割を果たしていると安生氏の評価も高い。

今後については、「構想段階としてはいろいろ出てきているものの、具体的な実装についてはこれからです。ただしSSOの認証基盤ができたことで、外部連携も含めた垣根は低くなっているのが実態です。時代や顧客の要求に応じて柔軟に仕組みが提供できる環境を整備できたことは大きい」と今回の意義を語っている。

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1990年9月5日
事業概要 (1)金銭貸付及び保証業務
(2)自動車、自動車販売業の店舗等のリース及び割賦販売斡旋業務
(3)自動車ならびにその付属品の販売業務 (4)損害保険代理業務
(5)不動産の売買・賃貸借・仲介・運営・管理等業務
(6)人材紹介及び労働者派遣業務 (7)レンタカー業務
(8)企業買収・合併・事業統合・連携に関する業務
(9)前各事業に関するコンサルティング (10)その他
所在地 東京都品川区北品川4-7-35
資本金 10.1億円
総資産 2,251億円
URL http://www.vfj.co.jp/

※2014年1月現在