概要

株式会社スヴェンソン様

ドイツで発展した世界レベルの毛髪加工技術と日本の繊細で心のこもった接客サービスを融合させた毛髪製品の製造・販売・アフターケアなどを提供する『株式会社スヴェンソン』。
創業25周年という節目を迎えるこの時期を持続的な発展のための重要な通過点と捉え、現在、改めて顧客や社会のニーズ把握に力を注いでいる。

事業内容についても、多様化する消費者ニーズに応えるべく、創業時から主軸となっている男性用かつらの製造・販売をはじめ、女性用ウィッグやヘアケア商品のインターネット通販、さらに今年からは薄毛のためのヘアカット提案などへと拡大中だ。今回は、こうした事業内容に変化を余儀なくされる企業の悩みを解決すべく、社内運用がしやすい帳票づくりを活用した「見える化」の事例をご紹介したい。

課題

今回のシステム再構築プロジェクトは、既存のシステム導入から10年が経過し、これまで増築の繰り返しで混乱した基幹システムに今後の運用展望が見えなくなったことに端を発している。ちょうどその頃、社内の内部統制が厳しくなったこともあり、その点からも業務効率アップを実現する基幹システムをつくることの大きな動機付けとなった。


もともと増築を強いられた背景には事業形態の著しい変化というサービス業特有の状況がある。そのため、一番に解決すべき問題は、変化に対応しつつ使い勝手のいい帳票をどのようにつくっていくかにあった。
スヴェンソンは25周年を迎えたとはいえ、まだ若い企業で、かつ業界自体も成長期にあるため、常に市場のニーズに対応した的確なサービスや商品開発が求められている。そのため、新たな事業体が誕生したり、 販売形態が頻繁に変わるなど、従来の基幹システムのように大きなコストをかけて立派な帳票類をつくっても、1年も経たないうちに内容が合わなくなってしまうのが悩みの種であった。そこで、この点をクリアすることが、今回のシステム再構築の重要な課題となっている。

近年、目覚ましい伸びを示しているLady’s事業部。これも新たな部門の一つだったが、数年後には男性事業部に近 づく売上の伸びが期待される。

解決へのアプローチ

自由に使える帳票をつくるツールを探す

この課題をクリアするために必要なこと、それは「社内で自由に使える帳票をつくるツール」を探すことから始まった。いくつかの候補が挙げられる中で、重要視したのは「使い勝手」や「コスト」の点である。そこで内容を比較検討した上で、「運用コスト」「業務現場の活用」「経営指標データの見える化」などに力を発揮する高速集計エンジンDr.SumEAが導入されることとなった

中間テーブルを設けて、データ移行をスムーズに

また今回は、基幹システムからスムーズにデータを移行するために「中間テーブル」を設ける方法を採用している。見たいデータが頻繁に変わってしまう状態では、大きな基幹システムを何年もかけてブラッシュアップし構築するよりも、中間テーブルと『Dr.SumEA』の活用で、変化に対応できるしくみを構築することが有効と考えられたからだ。

社内で作るために、プロの知恵とノウハウを有効に活用する

Dr.SumEAはもちろん、基幹系からデータを移行するための中間テーブルについても、社内でつくり、変更できることが今回のソフト導入の大きなメリットである。そこで、「Dr.SumEAはどんなことができるのか」「中間テーブルはどんな風につくるのが有効か」などを理解し、設計に反映するために、NTTソフトウェアの担当者との打ち合わせやコンサルティングを約2ヶ月にわたり実施している。「実際のデータを使って、“何ができて、何ができないのか”などのイメージが体系として理解できたことが非常によかった。この作業がなかったら、今も社内の担当者は苦労していると思います」と鳥海氏からも高い評価をいただいている。


将来的には、各事業部に担当者を置いて必要な帳票を作成し、データベースだけをシステム部で対応する運用体制を目指し、現在は講習会への参加などを通じて、社内の人材育成に努めている。

ネットワーク体系図

※なお、基幹系システム開発は日本NCRビジネスソリューション株式会社様により構築されています。

ソリューションとその成果

では次に、Dr.SumEAを活用した『InfoCabina』導入により実現した「見える化」ソリューションの成果と、これからのデータ活用の展望などをご紹介したい。

(1)帳票の振り分けで、効率化と機能性を両立

出力系の帳票については大半を『Dr.SumEA』でつくるようにしている。しかしながら、帳票の中には、リアルタイムや継続的に情報を把握したいものもあるため、その部分については基幹系に残すことにした。このように、データの活用目的や方法を見極め、計画段階で帳票を振り分けたことで、業務の効率化と機能性を高めることを両立させ、事業内容に合わせた使い勝手のいい帳票システムのしくみを構築している。

(2)店舗ごとに最適な体裁に変更できる

全国規模で多店舗展開する企業では地域ごとに異なる営業環境に柔軟に対応していくことが求められる。したがって、同じ帳票でも見たい情報が異なってくるため、画一的なフォーマットでは全店舗の要求は満たすことができず、使いにくい部分があった。その点でも今回の『Dr.SumEA』の導入は有効に機能している。各店舗に配信されるさまざまな帳票は、Excelベースのインターフェースで活用できるため、店舗ごとの状況に合わせた帳票の体裁のつくり替えが可能となった。本社からは最大公約数的な帳票を配信し、店舗側で誰でも簡単に扱えるExcelで加工できる状況が生まれたことにより、現場でのデータ活用の幅が広がり、その重要性も高まっている。

(3)作業効率の向上・コストダウン・リスクの減少へ

現場(各事業部や店舗)での作業効率アップもさることながら、システム部での作業効率も格段に向上している。これまでは、必要に応じてつくっていた帳票なども、1度フォーマットをつくっておけば、以後は自動的に帳票化できるため、作業の手離れが非常によくなったと評価されている。また、開発会社で作成していたものについても、『Dr.SumEA』の機能で置き換えられるようになったため、コストダウンにもつながっている。さらに、以前はマネージャーなどの担当者が生データを加工して会議資料等を作成していたが、今回のしくみで個別にデータを保持しなくてはならないというリスクも回避することができた

(4)いろいろなバケツ(DB)からかき集めることが可能

今後は、『Dr.SumEA』の大きなメリットの一つである「取り込み機能」を有効活用し、企業内に多く存在しているさまざまなデータを柔軟かつ迅速にかき集め、切り口の違うアウトプット(帳票)をつくっていきたいと考えている。

(5)経営判断材料としてのデータ活用へ

現状の顧客管理や販売管理に加えて、将来的には社内ワークフローも取り込み、データ化したいと考えている。わざわざデータベースを特別につくり込むことなく、『Dr.SumEA』のデータをかき集める機能を有効に活用すれば、販売促進、人事、財務など、あらゆる側面から総合的に情報把握が可能になり、経営指標としても非常にバランスのよいものができそうだと期待が高まっている。

今後の展開

株式会社スヴェンソン様

今回、パッケージソフトを上手に活用したことで、コスト面でのメリットが非常に大きい。開発コストはもとより、運用上のメンテナンスコストも考えればそのメリットはさらに大きくなる。また、データ管理のしくみに業務内容を無理矢理当てはめるのではなく、業務に合わせて帳票を変更させていく。このことから生まれる企業メリットは計り知れない。

NTTソフトウェアは、今回はユーザの支援としてデータベーステーブルの構築や画面定義のノウハウを提供し、BIで実現する部分はユーザ側で作業ができることを第一目標に掲げ、実現させた。NTTソフトウェアの経験と知識をもとに柔軟かつ迅速に対応できたことで、結果的にお客様が求める最適なシステムのスタイルを見い出した事例といえる。

お客様プロフィール

株式会社スヴェンソン 様

創業 1984年(昭和59年2月3日)
事業概要 ヘアウィービングシステム(R)( 編み込み式増毛法)を活用した男性向けかつらの製造、販売、アフターフォロー/女性向けウィッグの製造、販売、アフターサポート/ヘアケア商品のインターネット通販など
資本金 9,140万円
従業員数 513名(平成21年3月31日現在)
URL http://www.svenson.co.jp/

※2009年9月現在