概要

多くの自動車ユーザーに「安心」と「安全」を提供するため、路上でのロードサービス活動をはじめ、安全啓発や地球環境保全活動、モータースポーツ振興など、幅広く活躍する一般社団法人 日本自動車連盟。JAFの愛称で、約1,733万名の会員から多くの信頼を得ている。そんなJAFが、サービス内容の向上や新しいサービスの開発と提供などを目的に、会員の最新の状況把握やJAFへの「声」を収集し、統合管理するためのアウトバウンドのコールセンターを開設した。そのセンターで利用されるシステムの企画・構築をNTTソフトウェアが担当。核となるソリューションには、JFEシステムズのアウトバウンドソリューション『J-SoftDialer@SaaS(ジェイソフトダイヤラーアットサース)』が採用された。

課題

約1,733万名の会員の詳細な情報収集と統合管理を目的にコールセンター開設を決定

JAFがアウトバウンドのコールセンター開設を決定した背景には、平成25年までに実施される法人格の移行がある。JAFは、これを大きな変革期と捉え、更なる収益性の向上やサービスの拡充、新事業の展開などを計画している。その実現を左右する重要な要素の1つが、会員のライフスタイル、ニーズや要望などを収集し、統合的に管理するためのシステム・インフラの構築である。

2012年3月末時点でのJAFの在籍会員数は、過去最高の1,733万1,711名。JAFは、この膨大な人数分の情報、マーケット・データを有している。しかし、それらは氏名や住所、家族構成といった簡単な内容に限られており、会員の趣味嗜好、ライフスタイル、JAFへの要望などの情報は収集されていなかった。既存サービスの拡充、新サービスや新事業の展開を目指す上で、より詳細な会員情報、もっと踏み込んだ会員の声は必要不可欠。そう判断したJAFは、今まで保有していなかった様々な会員情報を収集し、調査・分析する体制づくりに取り組むことになった。

解決へのアプローチ

検証トライアルがすぐにでき、低コストのクラウド型ソリューションが必須条件

2010年11月、第1回目のコールセンター新設に関する検討委員会が行われた。その会議で、会員の趣味嗜好や動向、ライフスタイルなどを調査し、JAFが将来進むべき方向を探ることを目的としたコールセンターを開設することが決定。
 ・どのような業務が必要か?
 ・システム化で効率化が図れるのか?
といったことが協議され、システム導入に向けての検討が繰り返された。こうしたシステムの選定時、重要視されたこととして、総合案内サービス部 総合案内サービス第二課の課長である鈴木氏はこう語っている。

「システム選定時、重要な条件に挙げられたのは、低コストで導入できること。そして、迅速かつ容易に利用を開始できることでした。既存サービスの質向上や新しいサービスの開発に役立つ様々な情報を会員から収集する業務に、すぐにでも着手したかったからです。そんな理由から、簡単・スピーディに導入でき、初期コストが抑えられることをシステム条件に、クラウド型のアウトバウンドソリューションに絞った製品の検討・選定を行いました。」(鈴木氏)

二人の写真

ソリューションとその成果

4社の提案を厳選し、自社の目標実現が確信できるNTTソフトウェアに決定

2011年5月、4社のベンダーによるシステム選定のコンペが行われた。うち1社は、自社製品をベースに必要機能の多くをカスタマイズによりシステム構築を提案するベンダーだったため、早い段階で選定から外したと総合案内サービス部 総合案内サービス第二課の主任である武田氏は当時を振り返る。

「理由の1つは、ベンダーへの依存度を避けるためです。1社のベンダーの製品や技術に依存すると、将来のシステム拡張や新サービスの導入の際に導入した製品が足枷となり、選択肢が狭まると考えたからです。」(武田氏)

JAFが選定条件に挙げていたクラウド型のソリューションを提案したベンダーは、NTTソフトウェアともう1社。しかも、両社ともJFEシステムズの『J-SoftDialer@SaaS』を利用した提案だったという。選定にあたり、JAFはA4用紙で2Pページほどの比較表を作り、各社のプレゼンテーションの内容を検討項目ごとに“採点”。その結果、ソフトウェアにJFEシステムズの『J-SoftDialer@SaaS』、システムの構築にはNTTソフトウェアを採用することになった。

「ベンダー選定の最大のポイントは、JAFがやろうとしていること・やりたい業務内容をNTTソフトウェアが汲み取り、実際の運用にまで踏み込んだ提案を行った点です。プレゼンテーションの際も各業務に落とした説明で、私たちのコールセンター業務に役立つことを実感できました。」(武田氏)

JAFの要望を汲み取り、実際の業務に即した『J-SoftDialer@SaaS』の活用提案がキメテ

新しいコールセンターで使用するシステムの構築をNTTソフトウェアに依頼することになった詳細について、武田氏はこう語った。

「コンペに参加した4社中3社のSIer企業が、自社が提案する製品やシステムの技術的な機能などを説明する中、NTTソフトウェアだけは違っていました。実は、私たちは“クラウド”の意味すら分からないほど、ITに関する専門的な知識を持っていませんでした。そんな私たちでも、『J-SoftDialer@SaaS』の機能的な利点が明確に分かり、コールセンターでの実際の業務イメージがつかめるプレゼンテーションだったことが、NTTソフトウェアに決めた最大のポイントでした。」(武田氏)

NTTソフトウェアでは、今回のコールセンターでJAFの方がどのような業務を、どんなフローで行うのか、どの部分をシステム化すれば良いのかなどを事前にヒアリングし、効率的な運用を見据えたコールセンターシステムを企画。システムの構築だけにとどまらず、コールセンター業務にまで踏み込んだシステムの活用に関する様々な提案を行ったという。

「いくら高機能でも、私たちのコールセンター業務にフィットし、スタッフが使いこなせるものでなければ、良いシステムとは言えませんから。NTTソフトウェアのシステム活用の提案は、本当に助かりました。」(鈴木氏)

今後の展開

会員の“声”を活かした新サービスや新事業の立案にもNTTソフトウェアの提案力が不可欠

NTTソフトウェアの最終プレゼンから3ヵ月足らずの2011年11月、JAFのアウトバウンド・コールセンターの業務がスタートした。クラウドだからこその速さだ。最後に、現状と将来の展望について鈴木氏に聞いてみた。

「現在は、JAF会員の現在の状況のヒアリングがメインです。約1,733万名が対象ですから、まだ時間はかかります。しかし今後は、会員を継続されている方と退会された方それぞれに、その理由、JAFへの“声”などの調査を行い、今後のサービス品質の向上や新サービスや新事業の立案に活用していく予定です。その際には新たな機能の追加、そして他システムとの連携も必要になってくるでしょう。機能拡張が容易な『J-SoftDialer@SaaS』、そしてJAFのコールセンター業務を熟知するNTTソフトウェアのノウハウや企画提案力に期待するところは大きです。」(鈴木氏)

システム構成概要図

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1962年10月
事業概要 健全な自動車社会の発展を促進。ロードサービス、交通安全推進活動、モータースポーツイベントの公認など
URL http://www.jaf.or.jp/
所在地 東京都港区芝大門1-1-30
会員数 1,733万名(2012年3月末時点)

※2013年5月時点現在