足立区 様
ヒューマンエラーを起こしやすいシステムにデジタルアダプション(UI改善ツール)を活用。
DXを推進し業務環境を改善。
概要
足立区で保育施設の入所などに関する業務を所管する「保育・入園課」では、4月の入園(入所)申請だけで2,000件以上もの受付件数に対応している。システムへの入力作業量が多く、入力内容も複雑。ミス防止のための入念なチェックに時間と労力を要し、職員のシステム研修にも多くのコストが必要なことが課題となっていた。これらの課題を解決したのが、NTTテクノクロスのデジタルアダプション(UI改善ツール)「BizFront/SmartUI」だ。今回、実際にツールの導入を担当した足立区の長谷部泰人氏に導入の背景と成果について聞いた。
課題
【課題】入力ミスを減らし、業務を効率化したい。システム習熟研修の負荷も軽減したい
自治体として比較的早くからデジタル・トランスフォーメーション(DX)に取り組んでいることで知られる足立区。推進役を担うのが「政策経営部 ICT戦略推進担当課」だ。ICT戦略推進担当係長の長谷部泰人氏は、「当課では『区民サービスの向上』『職員の業務効率化の実現』の2つを柱に、高い目的意識をもってDXに取り組んでいます」と語る。
そんなデジタル化に積極的な同区の重要な行政サービスの一つが、育児関連のサポートだ。足立区はファミリー層に人気の地域で、保育施設への入園申請も多い。しかし、保育施設に関する業務を所管する「保育・入園課」では、入園申請業務に関連していくつかの課題を抱えていた。長谷部氏は、「BizFront/SmartUI」導入前の課題について次のように語る。
「『保育・入園課』では、保育施設入園申し込みにオンライン申請を導入したり、紙に記入して申請いただいた内容の一部をRPAで自動入力したりするなど、住民からの申請や職員の業務のデジタル化を推進してきました。ただ、これらの申請データは、最終的には、マイナンバー系ネットワーク業務システムに入力し直す必要があります。申請データは項目数が多く複雑な上、入園に向けた申し込みは、4月入所申請分だけで2,000件以上にのぼります。入力ミスに注意しながら作業をし、その上で申請内容をチェックすることに相応の時間と労力がかかっていました。また、人事異動などで新しくシステム操作を担当することになった職員に毎回研修を行う負担も大きかったです。課題解決のためには、業務システムをより入力しやすく、使いやすいものにする必要があると考えました」
足立区 政策経営部ICT戦略推進担当課 ICT戦略推進担当係長 長谷部泰人氏
解決へのアプローチ
【導入】既存の業務システムへの改修が不要で、ルールシナリオ作成も簡単な「BizFront/SmartUI」を採用
課題を踏まえ、業務システムをより使いやすいものにするために、ICT戦略推進担当課では、まずは既存の業務システムの改修を検討したが、改修は容易ではなく、改修できたとしても相当な時間とコストがかかることが分かった。そこで、大規模な改修なしで導入できるUI改善・拡張ツールやサービスがないかを検討しはじめ、最終的に選定されたのが、NTTテクノクロスの「BizFront/SmartUI」だ。長谷部氏は選定の決め手を2つ挙げる。
「一つは、既存の業務システムを改修することなく、UIを改善・拡張できること。既存システムと併用できるUI改善・拡張ツールは他にもありましたが、システムそのものに何も手を加えないで、画面上にユーザーを補助するガイドやナビゲーションを追加表示させることで、使い勝手を向上できるのは『BizFront/SmartUI』だけでした。もう一つは、画面表示ルールを簡単に作成できることです。専門的な知識は不要で、ノーコード編集ツールを使ってパズル感覚でルールを作成できるのは大きな魅力でした。実際にシナリオ作成を担当した私自身もプログラミングの知識やスキルはありませんでしたが、トライアル期間に編集ツールを触ってみたところ、これなら何とかできそうだ、という感触を得ました」
導入したのは9月初旬。その後、「保育・入園課」の職員に「実際どの操作や確認作業に時間がかかっているのか」「どんなガイドやナビゲーションがあると入力ミスが防げるのか」をヒアリング。その現場の声を表示ルールのシナリオ作成に反映、という試行錯誤を繰り返し、最終的なUIの改善・拡張の内容を決定した。そして新年度である2024年4月入園の申し込みが始まる2023年11月中旬頃から、本番環境で、実際の運用をスタートさせることができた。
ソリューションとその成果
【成果】ガイド機能を画面表示して入力をナビゲート。スムーズ、かつ正確な入力をアシストし、職員の負担を軽減
こうして「BizFront/SmartUI」によって、業務システムの画面上に「既存のマニュアルの内容や注意すべきポイントを表示させる機能」「入力手順を案内するナビゲーション機能」の主に2つの機能が新たに付加された。長谷部氏は、その効果について次のように語る。
「人事異動で新たに課に配属されたシステム操作に不慣れな職員でも、どの欄にどういった項目を入力するか、ナビゲーションが表示されるため、その指示に従って入力ができるようになり、別の職員が一から入力手順についてレクチャーする必要がなくなりました。また、これまでは大量のマニュアルを、チェックすべき項目ごとに該当ページを探しながら、ダブルチェックしていましたが、画面上にマニュアルの記載されている内容が直接表示されるようになり、正しく入力できているかの確認がスムーズにできるようになりました」
【図1】導入後の業務画面:マニュアルの内容や注意点を画面へ表示
【図2】導入後の業務画面:入力手順を案内するナビゲーションを画面へ表示
対象者情報:氏名、住所、連絡先など申請対象者に関する情報を入力します
保育関連情報:保育の必要性など、保育に関連する情報を入力します
今後の展開
【今後の展開】住民サービス向上を追求できる業務環境づくりのために。デジタルアダプションツールを使った業務効率化を多方面で推進
長谷部氏は「今後もシステム画面上の表示をさらにブラッシュアップしていき、より現場で使いやすいものにしていきたい」と話す。機能を随時追加し、実際に使うユーザーに沿った形で改善・改良し続けられるのも、既存システムを改修することなく、表示ルールの作成が可能な「BizFront/SmartUI」の利点と言えるだろう。最後に、足立区としてのDX推進への展望を、長谷部氏は次のように語る。
「『BizFront/SmartUI』のさらなるルール作成を進めていきたいと思います。業務が効率化して、職員一人ひとりの負担が減れば、真の目的である住民サービス向上により注力できる自治体になってゆけます。引き続き『区民サービスの向上』『職員の業務効率化の実現』のためのDXを推進していきます」
お客様プロフィール
事業概要 | 東京都23区の一つで都の北東部に位置する。荒川や隅田川に囲まれ、自然豊かで公園が多く、伝統行事や地元文化が息づく地域。近年は北千住や西新井を中心に再開発が進み、商業施設や教育機関が充実して、若者やファミリー層に人気のエリアとなっている。人口約69万人。 |
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※2024年10月現在
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