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「何を感じるか」を検討~どのようにUXデザインを行うか~

当社こころを動かすICTデザイン室の大野健彦が、これまで三回にわたり、UXデザインについて述べてきた。最終回である今回は、そのユーザがサービスを利用する際に「何を感じるか」を検討することの重要性を示す。

「金融経済新聞 2019年06月24日 2面 TECH×HUMAN(9)」より転載

 

これまで三回にわたり、UXデザインについて述べてきた。

 

前回は「誰が」そのサービスを利用するかを検討することの重要性を述べた。

 

最終回である今回は、そのユーザがサービスを利用する際に「何を感じるか」を検討することの重要性を示す。

 

 

UXデザインとは人の心の動きをデザインすることである。

 

心をメモする

 

ユーザがサービスを利用する際に、極力ポジティブに感じてもらい、ネガティブに感じさせないように、サービスを慎重にデザインする必要がある。

 

そのためには開発者の気持ちのまま机上で考えていてもうまくいかない。

 

まず「誰が」に加え、「いつ」「どこで」「どのように」サービスを利用するかを明らかにしよう。

 

そしてサービスを使う場所に実際に行き、ユーザの気持ちになって、サービスを使ってみる。

 

その際、サービスを使い始める少し前から、使い終わるまでを細かく分割し、各段階で、想定ユーザになり切り、自分が何を感じたかを分析してみよう。

 

使い始めで、本当にそのサービスを使い続けたいと思うだろうか。

 

思わなければ、何が原因だろうか。

 

また使ってみてどこかでひっかかる感じがしたら、改善点が見つかったのかもしれない。

 

これらを注意深く記録し、サービスを洗練していくことが重要である。

 

可能であれば実際のユーザをその場に連れていき、サービスを使ってもらい、何を感じたかを詳細に語ってもらうとなお良い。

 

開発中のサービスで、まだ実体がなければ、例えばスマートフォンに手描きの画面を張り付けて、実際の場所で操作してもらうという方法もある。

 

極力、実際の利用シーンに近づけることで心の動きを再現できる。

 

 

このような検討を繰り返して洗練されたサービスは、心の動きを一度も検討しなかったサービスと比べて、遙かに使いたくなる。

 

また一度使えばまた使いたくなるサービスになっているはずだ。

 

 

UXデザインは奥が深い。

 

その第一歩を、本コラムを参考に、できるところから試していただければ、望外の喜びである。

 

転載を快諾いただいた金融経済新聞様に感謝します。

 

 

 


 

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連載シリーズ
(366)日のUXデザイン
著者プロフィール
大野 健彦
大野 健彦

NTTテクノクロス株式会社
こころを動かすICTデザイン室
シニアUXエキスパート

1994年、NTT入社。以来、研究所で人々が使いたくなるサービスのあるべき姿に関する研究開発に従事。2014年よりNTTアイティ(現・NTTテクノクロス)において研究成果を活用したUXデザインコンサルティングを開始。