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心の仕組み、記憶と行動を左右~UXデザインを考える上で~

当社こころを動かすICTデザイン室の大野健彦が、UXデザインを考える上で知っておくべき心の仕組みとして、記憶と行動についてご紹介する。

「金融経済新聞 2019年04月22日 2面 TECH×HUMAN(7)」より転載

 

第一回ではUXデザインの概念と重要性について、コンビニにおける買い物行動を題材として述べた。

 

第二回はUXデザインを考える上で知っておくべき心の仕組みとして、記憶と行動についてご紹介する。

 

 

まず記憶について、人の記憶はコンピュータとは大きく異なり非常に柔軟ではあるが、何もかも正確に記憶することはできない。

 

これがUXデザインにおいてとても重要である。

 

作業がうまくいっているときは、その出来事を記憶することはほとんどない。スマホを無意識に操作していた、ということはよくあるだろう。

 

しかし、作業に失敗したり、時間がかかると、その出来事は強く記憶される。また作業が快適でない、例えばアプリの反応が少し遅いという違和感も記憶に残る。

 

つまり作業でネガティブな要因が発生すると、それは心に強く刻まれる。

 

そこでUXデザインでは、人がサービスを利用するあらゆる接点で、ネガティブに感じさせない必要がある。

 

一方、何か予期せぬ良いことがあると、それはとても印象に残る。

 

しかしながら、人はすぐ慣れてしまう。最初は印象が強くても、同じことが繰り返されるとすぐに何も感じなくなる。

 

これも人ならではの心の特徴である。

 

つまり人に継続的にポジティブな印象を持ってもらうには、同じことを繰り返すだけでは不十分で、少しずつ内容をアップデートしていく必要がある。

 

多くのスマートフォンアプリが頻繁に行うバージョンアップには、ポジティブな印象を継続的に与える効果がある。

 

スマートフォン操作

 

次に行動について、人は合理的に考えて、その通り実行すると考えられがちである。

 

しかし実際は大きく異なる。我々の調査によると、その時々の状況、例えば誰とどのような場所にいるか、サービスがすぐに使えるか、他にどのようなサービスがあるかなど多種多様な要因によりサービスの使い方が大きく変化する。

 

そのため、サービスが実際に使われる場所や使われ方を十分に想定し、そこで快適に使われる条件を明らかにする必要がある。

 

 

次回からは、いよいよこの複雑な心の仕組みに対して、どの様にUXデザインを行うべきかを述べる。

 

転載を快諾いただいた金融経済新聞様に感謝します。

 

 

 


 

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(366)日のUXデザイン
著者プロフィール
大野 健彦
大野 健彦

NTTテクノクロス株式会社
こころを動かすICTデザイン室
シニアUXエキスパート

1994年、NTT入社。以来、研究所で人々が使いたくなるサービスのあるべき姿に関する研究開発に従事。2014年よりNTTアイティ(現・NTTテクノクロス)において研究成果を活用したUXデザインコンサルティングを開始。