心のメカニズムに連動~鍵握るUXデザイン~
当社こころを動かすICTデザイン室の大野健彦が、優れたUXデザインを実現するための注意点、ならびにUXデザインに取り組む上で知っておくべき、人々の心のメカニズムについて解説する。
(366)日のUXデザイン 第14回
- 2019年09月30日公開
「金融経済新聞 2019年03月25日 2面 TECH×HUMAN(6)」より転載
近年、我々の身近に、様々な金融サービスが登場し、日常生活を便利にしている。
例えば、お金の出入りを自動的に記録する家計簿サービス、スマホをかざせばすぐに決済できる決済サービスなど、まさにフィンテック(情報通信技術を活用した革新的金融サービス)時代到来である。
皆様は、これらの新サービスが成功する重要な鍵が、UX(ユーザエクスペリエンス)デザインという考え方であることをご存じだろうか。
UXとは、ユーザがサービスの利用を通じて得られる一連の体験、つまりサービスを使う際に感じる、人々の一瞬一瞬の心の動きと、その結果として残る記憶や印象のことを指す。
例えば、私がコンビニで買い物をする際、スマホで支払いをすることが多い。その際、店員にスマホで支払う旨を伝え、ICチップの読み取り装置にスマホをかざし、支払い完了の音がするまで待つ。
その間、スマホで支払えるかを確認するためにサービスのステッカーを探す、店員に何と言えば通じるかを考える、読み取り装置を見つける、読み取り装置にスマホをどのような向きでかざせば良いかを考える、ぴぴっと音が鳴るまで待つ(時には2回鳴るまで待たなくてはいけない読み取り装置もある)など、実に様々なことを考え、行動している。
そしてこれらがすべて成功しないと、うまくサービスを使えないのである。
時にはどこかで引っかかり、店員に注意されて気まずく感じることもある。後ろに人が並んでいるときなど、その人たちの舌打ちが聞こえてきそうな気持ちになる。
UXデザインとは、人々がどのようにサービスを利用し、何を見て、何を考えたり感じて、その結果、どのように行動するかを徹底的に考え、そこからサービスを組み立てていく考え方である。
ユーザにとってサービスが便利そうに感じ、実際に使ってみるとイライラせずに便利に使えた、そのようなサービスを実現するのがUXデザインなのである。
次回以降、優れたUXデザインを実現するための注意点、ならびにUXデザインに取り組む上で知っておくべき、人々の心のメカニズムについて解説する。
転載を快諾いただいた金融経済新聞様に感謝します。
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心のメカニズムに連動~鍵握るUXデザイン~(今回)
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NTTテクノクロス株式会社
こころを動かすICTデザイン室
シニアUXエキスパート
1994年、NTT入社。以来、研究所で人々が使いたくなるサービスのあるべき姿に関する研究開発に従事。2014年よりNTTアイティ(現・NTTテクノクロス)において研究成果を活用したUXデザインコンサルティングを開始。