『共創』の可能性~「ともに育むサービスラボ」の事例~
当社こころを動かすICTデザイン室が提供している主要サービスのひとつ、リビングラボ「ともに育むサービスラボ」を2回にわたってお伝えします。第2回は「『共創』の可能性~「ともに育むサービスラボ」の事例~」です。
(366)日のUXデザイン 第13回
- 2019年03月28日公開
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト 井山貴弘です。
前回は、こころを動かずICTデザイン室の濱口菜々さんからいただいた情報をもとに、デザイン室が立ち上げたリビングラボ「ともに育むサービスラボ(はぐラボ)」の成り立ちと概要紹介をしました。
今回も濱口さんからいただいた情報をもとに、はぐラボの事例紹介と、はぐラボから見えた『共創』の可能性を、以下2点を軸にお伝えしたいと思います。
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『共創』って、従来の方法と何が違うの?
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『共創』すると、どんな良いことがあるの?
『共創』の可能性~「ともに育むサービスラボ」の事例~
はぐラボは、2017年5月以来、月1回のペースで定期開催してきました。まずはこれまでに行った中で代表的な事例である、新サービス検討会を紹介します。これは数回にわたってアイデアを発想・具体化し、最後に企業を呼んで事業化を検討する取り組みになります。
新サービス検討会~日々の生活に対するニーズを探る~
第1回は、雑誌の写真を材料に理想的な過ごし方をイメージしてもらい、ニーズを探りました。
新サービス検討会~ステークホルダーを対象にした新事業検討会~
第1回で得たニーズやその後に生まれたママパパ発のアイデアについて、複数の企業、行政、NPO等、多様なメンバーが集まって事業化を検討しました。
この新サービス検討会のようなイベントも含めて、約2年はぐラボで多くの共創プロジェクトに取り組んできて、これまでのコンサルにはない新たな可能性を感じています。
それは、自分たちだけでは思いつかない、新しい視点のビジネスが生まれる...予感。わくわく感です。
B2B2Xビジネスの現状?
現状のB2B2Xビジネスについて、既存顧客に課題を聞いて自社サービスをSIして提案・提供する例が多いのではないでしょうか?
これは前回紹介した提案型コンサルティングに似ており、開発元とエンドユーザとの距離が離れていること、つまりエンドユーザーの声が届いていないことが課題になります。
はぐラボのような共創型、つまり顧客をパートナーとしてユーザーと共にサービスを共創する方法を採用することで、この課題を解消しB2B2Xビジネスにも新しい可能性が見えてくる!と考えています。
はぐラボで新しい可能性を感じた場面
はぐラボで新しい可能性を感じた場面を2つ紹介します。
ケース1:子供の創造性を育てるメディアアートをデザインする
グループに分かれて以下の3つを10分ずつ体験してもらった後、子供が夢中で遊べるようにするにはどうすれば良いか、対話しました。
技術者の目の前でユーザーに実物を体験してもらい、反応を肌で感じてもらいました。
すると...
技術者が、非常に短いスパンで改善とテストを繰り返してくれました!
すると...
技術者だけでなく我々も、なんだかわくわくしました。
自分たちのやろうとしていることは意味があることだ!いいもの作ってやろう!と元気づけられました!
当日の動画もぜひ併せてご覧ください。わくわくが伝わるかと思います!
ケース2:A社が検討中のサービスアイデアをブラッシュアップ
A社よりいただいた機能ベースのアイデアリストを、はぐラボで評価できるよう、ユーザーの生活視点で捉え直してストーリーボードにし、A社に共有しました。
すると...
A社の技術者が自発的にストーリーを具体化(機能を詳細化)してきました!
はぐラボで、生活者と車座になって直接対話していただきました
すると...
振り返り会で、ユーザーの意見をもとにサービスをブラッシュアップしようとする姿勢が見られました!
思ったことを一人ずつ発言!他の人の意見への同意やコメントも出てきました!
はぐラボで共創を行った顧客の中に、何が起こったのか?
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プロジェクトを一緒に検討する過程で、顧客はこうした一連の「体験」をすることができる!
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自発的に検討したので、アウトプットにも責任を持つことができる!
うまくいかないプロジェクトでは、何が起きているのか?
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顧客はアウトプットを待っているだけで、検討に参加していない
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共創を体験していないので、アウトプットに責任を持とうと思えない
B2B2Xビジネスの創出でも、検討の過程を大事に
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アウトプットに注目しがちだが、検討の過程を重視することが大事!
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顧客を巻き込んで、共創の体験をさせるようにしてみましょう!
B2B2Xビジネスの場で、顧客を巻き込んで一緒に検討する方法
顧客を巻き込んで一緒に検討する方法は、大きく分けて4つあると考えています。
これらの中から、顧客のやる気、予算、時間に応じて選択するといいと思います。
難易度 | 施策 | 解説 |
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高 | リビングラボを立ち上げる! | 色んなスキルが必要。 時間とコストもかかるので、現実的ではない。 |
やや高 | 既存のリビングラボを活用する! | ターゲットユーザーや目的に合致するラボが近所にあるなら、一番現実的。 |
やや低 | 顧客やユーザーを適宜検討の場に呼び、 一緒に検討する時間を設ける |
議論や発想を促すツールやファシリテーションのスキルを活用してWSを実施。 一時的に盛り上がる。 |
低 | ユーザー調査やユーザーテストの場を 顧客に見学してもらう |
ハーフミラーごしに見学してもらう。 完全な共創ではないが、やらないよりは断然良い。 |
おわりに
顧客を巻き込んでサービスを共創するという、B2B2Xビジネス創出の挑戦を進めていきませんか?
アウトプットも大事ですが、検討の過程を重視してプロジェクトを進めてみましょう。まずはできるところから...!
ということで、2回に渡って当社リビングラボ「ともに育むサービスラボ」の紹介を行ってまいりました。
生活者発でサービスを検討したい企業のみなさまはもちろん、自分の想いからサービスをつくれるかも、という可能性を生活者のみなさまも感じていただけたら幸いです。
リビングラボ「ともに育むサービスラボ」に興味がある方、質問がある方、そして見学や参加したい方は、以下バナーの遷移先にあるお問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
※会社名、製品名などの固有名詞は、一般に該当する会社もしくは組織の商標または登録商標です。
2001年入社時より、Webシステムを中心にユーザ向け画面のデザインを担当。 2015年秋よりUXデザイン推進担当として、社内外にUXデザインを広める役割を担う。 2017年、HCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト資格取得。 結婚披露宴のお色直しで新婦と共に「ふたりの愛ランド」を歌いながら登場するなど、面白く楽しませることが好き。