情報畑でつかまえてロゴ
本サイトは NTTテクノクロスが旬の IT をキーワードに
IT 部門が今知っておきたい最新テクノロジーに関する情報をお届けするサイトです

ワークスタイル変革にもつながるIT環境の"大掃除" ~いつやるの?今でしょ!!~

「いつでも、どこでも仕事ができる環境づくり」を併せて考えることで、ワークスタイル変革をスムーズに進められるのではないでしょうか。

社内システムの構成要素の中には、これまでさまざまな理由で手をつけてこなかった、あるいは手をつけられなかったものの、情シスの本音としては、ずっと以前から「そろそろなくしたい」と感じていた対象があるのではないでしょうか。以前にも紹介したように、「攻めの情シス」への転換を図るためには、開発・保守を主な業務とする「守り」から自らを解放しておくことが必要です。そうした視点で考えると、いまだに「手のかかる」旧態依然とした構成要素が残されているとしたら、よりシンプルで洗練された新たな環境への移行を検討すべきだといえます。

しかも、注目したいのは、こうした取り組みの中には、ワークスタイル変革のための環境整備にもつながるものも多いということです。単にIT環境の再整備を検討するのではなく、「いつでも、どこでも仕事ができる環境づくり」を併せて考えることで、経営層や業務現場の理解も得やすく、スムーズに予算獲得や導入を進められるのではないでしょうか。

そろそろなくしたいもの(その1)ファイルサーバ

「社内からそろそろなくしたいもの」という言葉を聞くと、「ファイルサーバ」が真っ先に思い浮かぶ方は少なくないでしょう。ファイルサーバのオンプレミス運用においては、ハードウェアおよびソフトウェアの保守のみならず、BCP対策、情報漏洩対策、さらには定期的なデータバックアップや容量増設といった作業が発生しているはずです。そこでファイルサーバからクラウドストレージへと全面的に移行できれば、運用管理面に関してはほとんど手がかからなくなります。

クラウドストレージに関して、以前はセキュリティやパフォーマンス、あるいはデータ保全性に関する不安から導入を躊躇する企業も多かったかもしれません。そのため、まずはバックアップの2次保管先などとして、あくまでも試験的に導入を行うケースが目立っていました。しかし、昨今では事業者におけるサービス向上の取り組みなどによって、前述のような不安は解消されつつあります。特にセキュリティ面に関しては、米国司法省や英国政府機関などがファイル共有サービスを採用したことで、高いセキュリティレベルを実現しており安全だという認識も浸透してきているのではないでしょうか。

さらに、もう1つ、導入の決め手となっているのが、ほかならぬ「ワークスタイル変革への対応」というわけです。たとえば、企業向けファイル共有サービス「Box」では、強固なセキュリティに加え、強力なコラボレーション機能やモビリティ機能の実装を特長としています。これにより、自宅や外出先で仕事をしている社員はもちろん、社外のパートナーとファイルのやりとりや共同作業を行う際にも最適な環境が構築可能なのです。

残る問題は「コスト」と考えている方も多いでしょうが、なぜ、大企業を含む多くの企業や組織で企業向けファイル共有サービスの採用が進んでいるのでしょうか。それは、単純にファイルサーバの「ハードウェアやソフトウェアの導入費・保守費」と、企業向けファイル共有サービスの「利用料金」を比較するのではなく、前述のようなバックアップをはじめとする目に見えにくいコストまで含めて比較検討を行った結果、企業向けファイル共有サービスのほうが費用対効果が優れていると判断したからだと推察されます。

企業向けファイル共有サービス 「オンラインストレージ Box」

そろそろなくしたいもの(その2)有線ネットワーク

会議室や来客エリアなどで作業を行いたいといったニーズに応えるかたちで、多くの企業ではすでに無線ネットワークをなんらかのかたちで導入していることでしょう。しかし、依然として、無線ネットワークは部分的な導入であり、メインはあくまでも有線ネットワークという企業も多いかもしれません。ただ、そうした企業でも社内のレイアウト変更などにともなう配線作業、接続不良による障害発生への対応などに面倒を感じており、少なくともクライアントPCの接続などに関しては、そろそろ無線ネットワークのみへと集約できないかと考え始めているのではないでしょうか。もちろん、完全に有線ネットワークをなくすのはあまり現実的ではないかもしれませんが、もし無線ネットワークの全社展開をまだ果たしていないとしたら、そろそろ検討すべきでしょう。

ただ、すでに有線ネットワークが整備されているにもかかわらず、わざわざ無線ネットワークを全社展開するのには、それなりの理由が必要かもしれません。それが「ワークスタイル変革への対応」というわけです。無線ネットワークを全社展開することで、まずは社内のどこでも仕事をできる環境を整備できますし、スマートデバイスなども容易に導入可能となるため、「だれでも、いつでも、どこでも作業を行える」環境づくりをスムーズに進められるのではないでしょうか。さらに、無線ネットワークの全社展開は、社内コミュニケーション基盤の再編にもつながる可能性があります。無線ネットワークが整備されていれば、スマートフォンを内線化するソリューションなどを導入して、机上のビジネスフォンをなくすことも可能となり、社内のどこにいても、さらには社外にいても、会社にかかってきた電話を受けたり、同僚や上司と内線通話できたりするようになります。

そろそろなくしたいもの(その3)重厚長大な基幹系システム

実際に可能かどうかは別として、クラウドへ全面移行することで、オンプレミス環境から基幹系システムをなくしてしまえないかと、一度は考えてみたことがあるのではないでしょうか。そして、当然ながら、業務に必要なシステムのクラウド移行は、「だれでも、いつでも、どこでも仕事ができる」というワークスタイル変革のための環境づくりにもつながってきます。もちろん、すべてをクラウド移行することは難しいという企業は少なくないでしょうが、営業支援システムをパブリッククラウドのサービス利用へと切り替えたり、一部の社内システムをパブリッククラウドのIaaS/PaaS上で構築したりと、徐々にクラウド移行は進んでいるのではないでしょうか。

クラウドで使えるものは積極的に有効活用することで、「守り」の負担を減らすという姿勢は、「攻め」への転換を目指す情シスにとって欠かせないものといえます。ただ、悩ましいのは、こうしたクラウドとオンプレミスが混在した環境の運用管理は非常に難しいということです。この点が足かせになってしまい、かえって情シスの負担が増えるようでは本末転倒といえます。たとえば、クラウドシステムのデータを社内システムに反映させるために手作業が発生してしまったり、従来のセキュリティ運用ルールがクラウドでは適用できずに、不正な情報持ち出しに対する検知や防御に多大な労力を要してしまったりという問題が生じる可能性があります。

そのため、複数のクラウドサービスやオンプレミスのシステムをまたがって、システム連携やデータ連携を容易に実現可能なサービス、あるいは、クラウドサービスをよりセキュアに利用するための「クラウドアクセスセキュリティブローカ(CASB※)」などの利用も検討することで、効率的に基幹系システムのクラウド移行を進めていくべきだといえるでしょう。

※企業が利用する複数のクラウドサービスに対して、認証/シングルサインオンやアクセス制御、データ暗号化、ログ取得、マルウェア対策などの一貫したポリシーを提供するサービス。

クラウド型データ連携サービス 「DataSpider Cloud」

クラウドセキュリティ 「TrustBind」

なくしたいけど、やっぱりなくせないものも...そこはどう変革する?

運用管理の負担という面では、(物理的な)クライアントも「そろそろなくしたい」と考えている情シスは多いはずです。ワークスタイル変革を語る際にも、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)サーバと仮想デスクトップを導入し、物理的なマシンと作業環境を切り離すことで、自席のクライアントをなくしたほうがいいという話題が主体になることも少なくありません。実際にワークスタイル変革を機に、VDI移行に取り組む企業も見受けられます。しかし、一挙に既存のクライアント環境からVDI環境へと移行するのは、さまざまな理由から難しいと考える方も多いはずです。その場合には別の手段として、自席PCへのリモートアクセスを実現するソリューションなどを導入する手もあります。

リモートアクセス 「MagicConnect」

少し意外なところとしては、社内システムの操作マニュアルなどもその1つといえるかもしれません。紙ベースのままでは効率が悪いのはいうまでもなく、ただ電子化すればいいというわけではありません。ワークスタイル変革においては、決してリモートワークの実現が主体というわけではなく、さまざまな環境や場面における社員の作業効率化を図ることが基本だといえます。そうした視点で考えれば、マニュアルの電子化からもう一歩踏み込んで、たとえば、操作画面上でいつでも説明を確認できたり、手順や注意点を自動表示させたりするなど、そもそも問い合わせが少ないシステム作りによって、マニュアルをなくすという取り組みこそが、より理想的だといえるでしょう。

かんたん 入力ミス・操作ミス対策 「BizFront/アノテーション」

そのほかにも、社内からなくすことで、ワークスタイル変革に向けた環境整備につながるものはいろいろと存在するはずです。貴社でもそのような視点でIT環境の大掃除に取り組む、あるいは今後に向けて検討を行ってみてはいかがでしょうか。

連載シリーズ
特集記事
著者プロフィール
NTT-TX
NTT-TX