開発担当がUXデザインをOJTで学んでみた(後編)
それまでの業務の割合は「開発:デザイン=99:1」。デザイン業務は初心者の中の初心者が、「UXデザインをOJTで学んでみた」経験をお話ししていきます。今回は後編です。
(366)日のUXデザイン 第20回
- 2021年05月12日公開
おはようございます。こんにちは。こんばんは。流杉です。
私の業務の割合としては「開発:デザイン=99:1」。
つまり、デザイン業務は初心者の中の初心者です。
そんな私が「UXデザインをOJTで学んでみた」経験をお話ししていきます。
UXデザイン手法を解説するのではなく、実践したときの感想がメインとなります。
開発担当が、UXデザインに取り組んだ中で得た「気づき」を記しております。
同じ状況にある方の参考になればと思います。
実施したデザイン工程は、当社グラフィックレコーディング(グラレコ)チーム『TXフェニックス』にまとめていただきました。以下をご覧ください。
前編では「施策のキックオフ」と、グラレコ中にも記載のある「ユーザーインタビュー」「インタビュー分析」についてお話させていただきました。
後編となる今回は「既存社内報分析」「ジャーニーマップ」「アイデア創出」についてお話していきたいと思います。
4.既存社内報分析で思ったこと「どこまで調べるべきなのか?」「画像検索って素晴らしい」
既存社内報分析は、ネットで検索できる既存の社内報関連サービスを収集、分析し、優れている点を明確化するフェーズとなります。
本フェーズの中で、そもそも「社内報とはなんだろう?」と調べたり、アイデア創出に繋がりそうな情報(アンケート調査データや成功例など)を思いついた限り収集、ピックアップを行いました。
どこまで調べるべきなのか?
依頼者、OJT指導者より不足している旨の話を頂いてはいないのですが、自分の中では「本当に足りているのか?」「どこまで調べるべきなのか?」という判断ポイントが未だに分かってません。汗
分かったことは、ゴール(目標)に向けて依頼者と協創していくということです。
依頼者が求めているものが何か、どのくらいの情報量が必要なのか、という部分をしっかり確認、共有してから進めることで、成功に近づけるのでは、と感じました。
画像検索って素晴らしい
思ったことの2つ目として「画像検索って素晴らしい」ということ。
今までGoogle検索を利用した際、キーワードを元に「すべて」で検索をかけてざざっと文章を読んで、良さげなものをピックアップして、また戻って...と、もの凄く手間がかかっていました。
今案件では画面デザインの検討もあったため、キーワードを「画像」で検索し、良さげな見た目からピックアップすることで、文章だけのときのようなページ内容の相違もなく、とても調べやすくなり、情報収集のスピードが上がったと感じています。まさに目から鱗です。笑
5.ジャーニーマップ作成のポイント「まずは手書き!」「端折らない&割愛しない」「前提の共有をしっかり」
本フェーズでは、ユーザの一日の行動において壁新聞電子版が関係する可能性のある接点を抽出します。
ジャーニーマップとは?
ユーザとプロダクト・サービスの接点を網羅的に考え、優れたUXをデザインするための手法。
ユーザの一日の行動に関するジャーニーマップを描き、そこにおいてシステムが関係する可能性のあるタッチポイントを数多く抽出、その作業における課題やニーズ、感情を明らかにする。
当初は関係者を集め、「ユーザニーズ分析結果(インタビュー分析結果)」を元に、サービス利用の流れに沿って、ユーザの一日の「行動」「考えていること」「感じていること」を時系列で、それぞれ記載、共有しながら進めていく予定でした。
しかし日程的に厳しい状況であったため、今回は自身で叩き台となるジャーニーマップを作成し、その後、関係者と共有を行い、追加するものがないか確認するといった流れで実施していきました。
まずは手書き!
まずは「ユーザニーズ分析結果(インタビュー分析結果)」を読み込み、PC上で既存のジャーニーマップフォーマットの記載を開始したのですが、インプットデータ量が多いこともあり、どこに何を書いたのか、PC上のモニターに収まりきらず全体が見渡せず、全体を表示すると文字が小さすぎて読めず...ものすごく作成しにくいことに気づかされました。
そこで、A3用紙を用意し、まずは手書きでジャーニーマップ全体を作成していき、漏れがないかを確認。その後、PC上のフォーマットに転記していく方法をとったことでスムーズに作業が進めることが出来ました。これが1つ目の気づきとなります。
端折らない&割愛しない
2つ目の気づきとして「端折らない&割愛しない」ことが大切と感じました。
ジャーニーマップ作成に限らずですが、「同じニュアンスだからここは端折っても良いか」「午前と午後の行動って同じだから午後は割愛してもいいか」と考えてしまったことで、OJT指導者より見事に指摘を受けてしまいました。
端折ったり、割愛してしまうことで、ユーザの一日の「行動」「考えていること」「感じていること」に穴が開いてしまいます。きちんと事実に基づき、1つ1つを確実に記載する必要があると身に染みて感じました。
新規メンバーが途中参入した場合は、前提の共有をしっかりしてから本題へ
またジャーニーマップ作成とは異なりますが、本フェーズで気づいたことがあります。
本フェーズより依頼者の他にUI構築を行う関係者(新規メンバー)も同席していただきました。
そのため、作成したジャーニーマップを共有した際、様々な視点からのコメントを頂くことになってしまい、本来のジャーニーマップの共有が滞ってしまう事態となりました。
原因としては本フェーズから参加いただいた関係者に前提となる本施策のゴール、ターゲット、UXデザイン手法等の共有が事前に行えていなかったこと、また共有を行う際、前提を口頭でさらっとお話した程度であったことと考えています。
新規メンバーが途中参加した場合には、前提の共有を行うため、資料には本題(本件ではジャーニーマップの共有)の内容だけでなく、前提についても記載を行い、しっかり共有した上で本題に入ることが大切と感じました。
6.アイデア創出で感じたこと「ユーザのニーズを明文化&共有が大事」
本フェーズのアイデア創出では、ユーザ分析、他サービス調査、ジャーニーマップなどから、ユーザのニーズを満たす/ユーザの課題を解決するための壁新聞電子版のアイデアを考えました。
今回、アイデア創出ではリモートでのアイデア創出ということで、文字だけで表現する「アイデアシート」を利用して実施しました。
アイデアシートとは?
1アイデア1項目として箇条書きで、とにかく多くのアイデアを記載する。伝わりやすいよう簡潔に「満たすニーズ」「アイデア」「いつ」「どこで」などを記載する。
今回の案件、壁新聞電子版検討ということで「見た目」の話のように感じられます。しかし、アイデア創出のポイントとして、「見た目」に対するアイデアだけではなく「目に触れる」「読み込んでもらう」「共有してもらう」など、ユーザの視点でひとつのアウトプットにこだわらない、多種多様なアイデアを考えることが重要になります。その中で実現性まで深く考えない突拍子もないアイデアも歓迎することも重要なポイントとして挙げられます。
これらのポイントを参加者全員に共有し、アイデア検討を進めたことで、本フェーズから参加したメンバからもユーザのニーズに合った多種多様なアイデアを出してもらうことができました。
成功の要因は、これまでのフェーズ(特にインタビュー分析結果、ジャーニーマップ)でユーザのニーズを明文化し、参加者が全員が理解するまで共有してから進めていたことだと考えています。
終わりに
一連の作業を終えて感じたことが3点あります。
1つ目は、依頼者の要望や状況を「常に共有しながら進める」ことで一歩一歩確実に、手戻りなく進められることを実感しました。
2つ目に、インタビュー結果からのユーザ分析、またユーザ分析からのジャーニーマップ作成など端折ったり割愛せず、自身のバイアスを排除し、「事実に基づいて進める」ことで正確なアウトプットが導き出されることを実感することができました。
そして3つ目、なにより「体験って本当に大事」ということを感じました。
デザイン業務の各工程について、極一部分の依頼された作業や研修、書籍による学習が中心であったため、自らが主体となって失敗や反省をしながら一連の工程を体験しできたことはまさに「まず挑戦せよ 失敗は現状維持より尊い」だと実感しました。
今回の経験、反省を踏まえてさらなる実践を積み上げていきたいと思います!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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