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『技能継承』の取り組みが持つ可能性

当社こころを動かすICTデザイン室が提供している主要サービスのひとつ、『技能継承』の取り組みを4回にわたってお伝えします。第4回は「『技能継承』の取り組みが持つ可能性」です。

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト 井山貴弘です。

 

前回は、こころを動かすICTデザイン室大野健彦さんに「『技能継承』の取り組みから得たノウハウ」のお話を伺いました。最終回となる今回は「『技能継承』の取り組みが持つ可能性」を伺っていきたいと思います。

 

 

『技能継承』の取り組みが持つ可能性

 

質問者:井山井山

回答者:大野さんこころを動かすICTデザイン室 大野健彦さん

 

井山
大野さん、今回もよろしくお願いします。

 

大野さん
よろしくお願いします。

 

井山
『技能継承』という言葉から受ける印象として、できることはいわゆる職人的な技術を必要とする業務のドキュメント化に限定されそうな気がするのですが、そんなことはないのでしょうか?

 

大野さん
そんなことはありません。『技能継承』はいろいろと使えます!」

 

井山
いろいろと言いますと?

 

大野さん
『技能継承』の取り組みで行っていることを大きく3つに分類すると、
  • 暗黙知の形式知化

  • 経験をストーリーで語る

  • ベテランと若手の対話

となります。これらは職人だけではなく、組織を形成する大事な要素としてどこでも使えるものだと考えます。

 

井山
確かに「技能」という言葉から特殊な技術を思い浮かべてしまいましたが、この3つは汎用的かつ普遍的な項目ですね。

 

技能継承から、学習する組織へ

 

大野さん
はい。どのような組織でも『技能継承』に取り組むことで、学習する組織へ変貌することが可能です。

 

井山
学習する組織ですか。

 

大野さん
私たちの行う『技能継承』のよりどころとして、SECIモデル [野中,1996]があります。

 

SECIモデル

 

井山
SECIモデル、ですか。

 

大野さん
はい。SECIモデルの特長として、絶えず行い続けるということがあります。
暗黙知をドキュメント化して形式知になりましたで終わりではなく、そのドキュメントを使って新たな形式知を生み出し、そしてその中に生まれた暗黙知をまた形式知にする、という円を描き続けます。

 

井山
一度きりではなく、拡大再生産し続ける、と。

 

大野さん
こうして円を描こうにも、社員ひとりひとりがなにをしているかわからなかったらできません。個人の経験・価値観を外在化・構造化することが大事になります。

 

個人の経験・価値観を外在化・構造化

 

井山
組織としての学習・価値観ですか。

 

大野さん
はい。ひとりひとりの経験や価値観を統合して、組織としての学習・価値観をつくります。
社員が新たな成功体験をしたらどのように行ったかを明らかにして、組織として取り組んで、更なる成功のための手法を考えていく。
そのように構造化して、改善の円を描き続けることが学習する組織を生んでいくんです。

 

井山
なるほど。学習する組織になることは、組織自体の強化にも繋がりそうですね。

 

組織を強くするには...?

 

大野さん
はい。組織を強くするための手段として、会社員、特に理系のみなさんが好きなのは、とにかく分析、分析、分析!と分析を重ねることではないでしょうか。

 

井山
確かに、まずは分析から、となりがちですね。

 

大野さん
分析自体は悪くないんです。でも分析とは作業の手順を列挙して、それを細かく分解して、業務をプロセス化、シンプル化していくことですよね。

 

業務を分解

 

井山
はい、あると思います。そこで業務を先端化して効率を高める的な。

 

大野さん
デカルトの言葉で『分解し、網羅的に調べ、後に統合する』というのがありますが、私はこういった考え方を『西洋的合理主義』と呼んでいます。
私の経験では、業務を細かく分解していくと、だんだんそこから、「ベテランのコツ」が消えていってしまいます。私も以前は技能を抽出するために、このような分析をしていたですが、どうもうまくいきませんでした。

 

井山
西洋的ということは、日本では違うんですか?

 

大野さん
日本の文化を遡ると、簡単に分解できるものではないことがわかると思います。たとえば『魑魅魍魎 (山川の化け物、妖怪) 』、『八百万神 (やおろずのかみ) 』と、神社もお寺も一緒に扱ったり、いろんなことがまぜこぜになってますよね。

 

井山
確かにひとつにまとまってないですね。

 

大野さん
これを私は『日本的混沌主義』と呼んでいます。ベテランの技能とは、こういう中にあるのではないかと思っています。仕事に当てはめて言うと、
  • 業務を極端にシンプルにしない

  • 現場の創意工夫を重視、ある意味、好きにやる

これが日本企業の強み...だったと過去形になっている会社も多いかと思います。

 

井山
確かに。職人任せという、いい意味でのゆるさで工夫を重ねて優れたものがつくれていたのが、今はきつく管理されてしまって自由に創意工夫ができないという。いわゆる大企業病的な。

 

大野さん
今、世界的に潮目は変わってきています。西洋が『日本的混沌主義』の動きを見せていて、個人の暗黙知に注目し、学習する組織をつくっています。

 

井山
日本の方が遅れてしまったと。

 

大野さん
遅れたというより変わらないが正しいかもしれません。幹部がスローガンだけつくって、どうするかの内容は担当で考えて、で終わってしまう。
組織を強くするには、ひたすら分析、ではなく、自由闊達な取り組みの中から技能をうまく表出化・連結化する仕組みがあるとよいなと思います。

 

井山
その仕組みこそがSECIモデルをよりどころにした『技能継承』ということでしょうか。

 

SECIモデル

 

大野さん
はい。『技能継承』には強制的に表出化・連結化する仕組みがあります。
  • ワークショップ(優れた設計とファシリテーション)

  • インタビュー(深く切り込む )

  • 構造化・ドキュメント化(残すことが重要!)

  • 成果の日々の業務で活用

これらを自律的におこなう、「学習する組織」になることが、これからのビジネスを生き抜くには大事です。
機械やAIだけでは到達できない、人だからこそ技能の領域をいかに高めていくか。そのお手伝いをNTTテクノクロスが行います。

 

井山
なるほど。『技能継承』には底知れぬ可能性がありますね。

 

大野さん
そうですね。仕事の数だけ技能はありますから、底はないと思います。

 

井山
今回は貴重なお話、ありがとうございました。

 

大野さん
ありがとうございました。

 

最終回である今回は、『技能継承』の取り組みが持つ可能性をテーマにお話を伺ってまいりました。『技能継承』の取り組みが、ここまで深く広がりのあるものであったとは、同じ社内にいながら驚きがありました。この取り組みが今後、新たな分野にも活用されて、日本を超えて世界まで羽ばたいていくことを期待したくなりました。

 

可能性

 

これからも、このような人間を中心にした施策を多数行っている、当社「こころを動かすICTデザイン室」の取り組みをご紹介できたらと思います。

 

『技能継承』の取り組みに興味がある方、質問がある方は、以下バナーの遷移先にあるお問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。

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(366)日のUXデザイン
著者プロフィール
大野健彦&井山貴弘
大野健彦&井山貴弘


(左)大野健彦
戦略ビジネス特区 こころを動かすICTデザイン室

(右)井山貴弘
営業推進部 UXデザイン推進担当