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みんなに愛される『CipherCraft/Mail 7』のつくり方(その1:概要篇)

UXデザイン手法を活用し、当社が提供しているシステムやサービスをどのようにして、お客様を想い、お客様から愛されるものにしたのか、実際の事例を題材に紹介していきます。第1回は「CipherCraft/Mail 7」の紹介です。

はじめまして。

HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト 井山貴弘です。

挨拶

 

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

突然ですが、みなさまはいつこの記事を読んでいらっしゃいますでしょうか?

 

その時間ごとに、ふさわしい挨拶があるように、「誰が?いつ?どこで?どう使いたいのか?」を明確にすることで、ふさわしいシステムやサービスを導き出すことができます。

 

冒頭では挨拶を例にしましたが、もう少しシステムやサービスの選択に近い、みなさまがレストランを選ぶときの話を例にしてみましょう。

 

相手を喜ばせるレストラン選び

日常生活でレストランを選ぶとき、行く相手、そしてその状況に合わせて、

 

どんな料理がいいのだろう?

どこにしたら喜ぶんだろう?

 

相手の笑顔を思い浮かべながら、いろいろと考えをめぐらすのではないでしょうか?

 

彼氏や彼女の記念日のデートで行くならば...

雰囲気のいい高級レストラン

高級レストラン

 

遊びたい盛りの子供と行くならば...

おもちゃ付のお子様ランチもあるにぎやかなファミリーレストラン

ファミリーレストラン

 

ナイフとフォークな苦手な両親の還暦祝いに行くならば...

個室があって箸が使える和風レストラン

和風レストラン

 

...といったように、相手を想い、相手が喜ぶ選択をしていることが多いかと思います。

 

仕事でも相手を喜ばせていますか?

では、仕事でなにか選択する場面でも、同じように相手を想い、相手が喜ぶ選択をされていますでしょうか?

名刺交換

 

おそらく当記事の読者のみなさまはIT業界の方が多いと思います。

 

システムを開発するとき、サービスを考えるとき、どれだけ、利用する相手のことを考え、喜ばせようとしているでしょうか?

 

『仕事の場合、納期や費用対効果の話があるから...』

という言葉もあるかと思います。

 

私も、その言葉に共感できる場面に数多く遭遇していますが、日常生活においても、自分の管理できる予算と期間の中で、できる限りのおもてなしをしようと考えているのではないでしょうか?

お小遣い

 

仕事の場合...という言葉を、もう少し和らげるために、視点を変えて、お店側の立場から考えてみましょう。

 

各店舗のサービス内容、食事へ加えられる付加価値により、同じ1回の食事であっても、その金額が変わってきます。

 

高級レストランを目指すのか?

ファミリーレストランを目指すのか?

和風レストランを目指すのか?

 

誰のためのレストランを目指したいのか?

 

そういった観点で、自分たちのシステム、サービス開発と向き合うと、

 

お客様のニーズにどう応えるのか?

どのような付加価値を提供するのか?

 

真摯に考えた上で提供すべき、する必要がある、と気付くことができると思います。

 

...と、話の展開がかなり強引になりましたが、

 

みなさまは、お客様を喜ばせるため、できる限りのおもてなしをしていますか?

 

お客様を知り、分析し、お客様が喜ぶ製品・サービスを提供する

このブログでは、UXデザイン手法を使って、当社が提供しているシステムやサービスを、どのようにして、お客様を想い、お客様から愛されるものにしたのか、実際の事例を題材に、紹介していきたいと思います。

 

今回から複数回に分けて、当社製品「CipherCraft/Mail(現「CipherCraft/Mail 7」)」を例に、UXデザイン手法による製品カイゼンについて、お話ししていきます。

 

初回の今回は、依頼時点の課題と目的・ゴールを、ご紹介します。

 

「CipherCraft/Mail」の課題

2016年春、以下2つの課題を抱えた製品担当より、私の所属するUXデザイン推進担当宛に製品カイゼンの依頼が届きました。

CCM画面

 

課題1:使いやすさと点検のバランス

CipherCraft/Mail」は、メール誤送信防止ソフトです。

メール送信前に点検画面が表示され、アドレスや本文、添付ファイルなど、各種項目の確認を促し、それらのチェックが全て完了すると、送信を行うことができます。

 

そのため、使いやすさだけを追求してしまうと点検が疎かになり、点検だけを追及してしまうと使いやすさが蔑ろになってしまう。

 

そういった条件下の中で、使いやすさと点検の、程よいバランスをとることが第1の課題となりました。

バランス

 

課題2:マンネリを招かない操作性と見た目

販売開始から約10年、これまで誤送信をゼロにするため、メール送信前の点検項目を増やす、点検画面を2重にするなど、点検強化に寄った機能追加を行ってきていました。

 

しかし、点検項目の増加、それに伴う点検時間の増大により、点検の形骸化、マンネリ化を招く弊害も招いており、点検重視の開発方針では限界に来ていた事実があります。

 

また見た目も10年前の開発当時のまま、Windows XPライクで、既存ユーザの方には、このクラシカルな画面も好まれていますが、特に初見の方には、メリハリがあまりないように見えるため、どの点検項目が重要なのかわかりづらく、宛先も本文も、全項目を同じ意識で点検を行わせてしまうリスクがありました。

 

マンネリを防ぎながら点検を徹底させ、かつ見た目の改善も行うことが、第2の課題となりました。

マンネリ

 

「CipherCraft/Mail」の目的とゴール

UXデザイン手法による調査と分析を始める前に、2つの課題を解消するための目的とゴールを設定しました。

2つ

 

1. 点検項目の見直しも含めた根本的なカイゼン

誤送信が本質的にゼロになるよう、UXの観点から点検項目の一新を図り、更に人間工学の要素を取り入れて、機能から検討し直すこと。

 

2. 日々の点検フローを考慮した見た目のカイゼン

見た目のデザインが古くメリハリもないため、今風なデザインの画面にし、どこが点検において重要項目なのか、明確にわかるようにすること。

 

次回予告

...ということで、今回は、UXデザイン手法と言われる部分は、まだ、ほとんど登場しておりません。

(製品レビュー後に明らかになった課題も少し追加していますが)

 

UXデザイン手法のひとつである、人間中心設計では、調査、分析、設計、構築という工程を、テストを重ねながら、進めていきます。

 

上記の課題を、どう進めてどう改善したのか?第2回は、調査の工程からお話ししたいと思います。ぜひお楽しみにお待ちください。

 

ちなみに、執筆時点で結婚式直後な私が、好きなレストラン、というか食事は...

調理

少し残念な出来映えでも、自宅での手料理、という回答が正しいと思われます。

 

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※Windows は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。
※「CipherCraft」はNTTテクノクロス株式会社の登録商標です。
※その他会社名、製品名などの固有名詞は、一般に該当する会社もしくは組織の商標または登録商標です。

連載シリーズ
(366)日のUXデザイン
著者プロフィール
井山 貴弘
井山 貴弘
2001年入社時より、Webシステムを中心にユーザ向け画面のデザインを担当。 2015年秋よりUXデザイン推進担当として、社内外にUXデザインを広める役割を担う。 2017年、HCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト資格取得。 結婚披露宴のお色直しで新婦と共に「ふたりの愛ランド」を歌いながら登場するなど、面白く楽しませることが好き。