カーボンニュートラルとIOWN 第3回 ~NTTグループ会社の環境への取組み~
今回はNTTの環境目標達成に向けた取組みとして, NTTグループ会社の取組みをご紹介したいと思います。
はじめに
今回はNTTの環境目標達成に向けた取組みとして, NTTグループ会社の取組みをご紹介したいと思います。
- ・NTTドコモの取組み
- ・NTTコミュニケーションズの取組み
- ・NTTデータの取組み
- ・NTT東日本の取組み
- ・NTT西日本の取組み
- ・NTT東日本/NTT西日本の提供する固定網設備に関連するNTTの技術紹介
- ・各社の取組みについての所感
NTTドコモの取組み
NTTドコモは「2030年カーボンニュートラル宣言」を掲げ様々なカーボンニュートラル実現に向けた取組みを実施しています。
具体的にはスマートフォン1台で年間88kgのCO2を排出する計算となり, 国内の携帯電話端末1億8000万台が排出するCO2は年間で自動車1000万台分と同等と想定されます。
そのため, 以下の3つの枠組みで自社のみならずお客さま・パートナー企業とともに社会全体のカーボンニュートラルに貢献することを目指しています。
1. お客さま・パートナー企業とともに社会全体の温室効果ガス排出量を削減する取組み
2. 自社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年までに実質ゼロにするための取組み
3. バリューチェーンの温室効果ガス排出量を削減する取組み
- ・再生可能エネルギーを利用したサービスなどの展開
- 例として以下の2つを紹介します。
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- ・グリーン5G
- モバイルネットワーク通信が消費する電力をグリーンにします。
ドコモの総電力消費量に占める実質再生可能エネルギーの比率が, ドコモの総契約数に占める5G契約数の比率よりも下回ることで, 温室効果ガスの排出をしない環境に配慮した5Gにします。 - (出典:NTT docomo)
- ・ドコモでんき
- 2022年3月に提供開始し, 電力事業に参入しています。
- 地域電力会社から調達した電力を主体に提供する「ドコモでんき Basic」とNTTアノードエナジーなどから調達した再生可能エネルギーを用いた「ドコモでんき Green」の2種類を提供しています。
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- ・ドコモでんき Green
- 太陽光発電や風力発電などの「CO2(二酸化炭素)を排出しない環境的な価値」を持っている非化石証書の仕組みを利用して実質的に再生可能エネルギー比率100%, CO2排出量ゼロを実現しています。
- ・環境に配慮したサービスなどの提供
- 例として以下の2つを紹介します。
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- ・d fashion
- サステナブルを取り入れるファッションを提案するファッション通販サービスです。
- リサイクル素材やオーガニックコットンなど製造過程で環境に配慮したアイテムを展開しています。
- 売上の一部を環境保全団体やNPOへ寄付される商品も展開しています。
- 梱包材にリサイクル素材を利用する, 商品サイズに合ったダンボールを利用する, 過剰包装を削減することで環境に配慮した商品配送を実施しています。
- 配送の際は主に自転車を利用し, 自転車が使用できないエリアにおいてもカーボン・オフセット・クレジットの購入によって排出される二酸化炭素を実質ゼロにしています。
- ・docomo buke share
- 環境負荷の低い自転車とモバイル技術を融合したシェアバイクサービスです。
- 会員登録しサイクルポートにある自転車にキー登録した交通系ICカードやスマートフォンをタッチすれば手軽に自転車を借りることができます。
- 人や物の移動に伴う二酸化炭素排出量削減はカーボンニュートラルの実現において重要課題に位置づけられています。
- シェアバイクサービスの提供を通して循環型社会の実現を目指しています。
- (出典:ドコモ・バイクシェア)
- ・カボニューの取組み
- NTTドコモではカーボンニュートラルに向けた取組みを「カボニュー」として以下の取組みを実施しています。
- 1. ネットワークの省電力化
- ネットワークの消費電力を削減する技術開発・設備導入の推進
- 2. 再生可能エネルギーの導入
- 事業活動で消費する電力の実質再生可能エネルギー比率を2030年までに100%にする
- 3. IOWNなどのイノベーションの開発
- 次世代ネットワーク/情報処理基盤を開発し, 通信の高速・省電力化を推進する
- 1. ドコモショップのグリーン電力化
- ドコモショップへの太陽光パネル設置などによりグリーン化を推進
- 2. サプライチェーンの温室効果ガス排出量を削減
- 携帯電話や通信設備などのサプライヤーから環境に配慮した製品などの導入を推進
- ・5G Evolution & 6G powered by IOWN
- NTTドコモでは今後あらゆるものがつながるデータ駆動社会の実現に向け超高速大容量ネットワークの構築を目指しています。
- 現行の5Gの高度化と6Gの技術検討として以下の8つの技術検討領域を掲げています。
- (出典:NTT docomo)
- 上記のような6Gの技術検討領域もIOWNも2030年代に向けた通信・情報処理基盤であり, 超大容量・超低遅延・超低消費電力など目指す方向は同じです。
- 5G Evolution & 6GとIOWNの関係を「5G Evolution & 6G powered by IOWN」と称してNTT研究所と連携して研究開発を推進しています。
- (出典:NTT docomo)
- ・6G・IOWN時代のデバイス実現に向けた提供体験およびデバイス技術の進化
- NTTグループの掲げる6G・IOWN構想が実現される時代において, あらゆるサービスをユーザに届ける重要な顧客接点となっているスマートフォンの新たな価値創出が期待されています。
- NTTドコモは光電融合技術の半導体への搭載による低消費電力化や, 次世代の給電技術などをデバイスに適用することでカーボンニュートラルの達成に貢献する「充電ストレスフリー・カーボンフリーデバイス」の実現を目指しています。
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- ・6G・IOWN技術の活用により実現が期待されるデバイス
- スマートフォン等現在のデバイスは高機能化による消費電力増や長時間利用ニーズによる内蔵電池の肥大化傾向があります。
- 6G・IOWN構想における光電融合技術などによりデバイスの低消費電力化は大きく進展する可能性があり, また超低消費電力化は内蔵電池の極小化や長距離無線給電技術やエネルギーハーベスティング技術で消費電力を賄うことを可能とします。
- ・デバイス低消費電力化技術
- デバイスの低消費電力に大きく関係するのは半導体の集積回路の集積度であり, NTTドコモでは研究を進めタイムリーに高性能・低消費電力のスマートフォンを提供してきました。
- 今後NTTドコモは光電融合技術を含めた低消費電力技術の検証を進めデバイスの低消費電力化を進めていきます。
- ・長距離無線給電技術
- 長距離無線給電技術は送電装置から対象デバイスが数メートル離れていても給電を可能とする技術で, Qi等の近距離無線給電とは異なります。
- 主な方式である光レーザー方式, マイクロ波方式と既存給電方式の比較を下表に示します。
- 充電ストレスフリーを実現するには長距離無線給電技術に優位性があるため, デバイス利用シーンごとに最適な方式を活用しデバイスへの実用化を目指しています。
- (出典:NTT docomo)
- ・エネルギーハーベスティング技術
- NTTドコモの「2030年カーボンニュートラル宣言」よりスマートフォンの消費電力低減が望まれています。
- 環境配慮の観点で身の回りにある活用されていないエネルギーを集め活用するエネルギーハーベスティング技術が注目されています。
- そのため, NTTドコモは無駄になっている照明エネルギーを蓄える室内光発電パネルや発電した電力のみで動作するデバイスとしての電子ペーパーデバイスを制作しました。
- 今後は発電効率の向上やデバイスへの搭載を目指しています。
- (出典:NTT docomo)
※ 参考
NTTドコモの環境目標や取組みは以下のページが参考になります。
・2030年カーボンニュートラル宣言
・グリーン5G
・ドコモでんき Green
・d fashion
・docomo buke share
・カボニュー・コミュニティサイト
・カボニューレコード
・5G Evolution & 6G powered by IOWN
・6G・IOWN時代のデバイス実現に向けた提供体験およびデバイス技術の進化
NTTコミュニケーションズの取組み
NTTコミュニケーションズは「環境目標2030」を設定し「2030年度カーボンニュートラル」(排出量実質ゼロ)を目指すことを宣言しております。
- ・電力消費の効率化による省エネ
- データセンタにおける大量の電力消費はサーバ稼働だけでなく機器冷却も影響しています。
- 多くの空調機からの冷気と機器からの排熱を完全に分離して効率的なエアフローを実現する「アイルキャッピング」を採用しています。
- また, 新設したデータセンタでは外気条件に応じて最適な冷却モードに自動で切り替わることで従来より約60%も省エネになる「間接蒸発冷却空調」を導入しています。
- 専用のサーバを直接冷却液に浸すことで超高発熱であっても効率的に冷却できる先進の「液浸冷却方式」も利用可能です。
- ・再生可能エネルギーの利用促進
- 対象データセンタでは要望に応じて太陽光, 地熱, バイオマス発電といった再生可能エネルギーの種類が選択できるメニューを用意しています。
- ユーザは経済産業省が発行する「非化石証書」に基づく「環境価値報告書」を受け取る事ができます。
- 脱炭素を実現する上で価格を抑えたい, 再生可能エネルギーの種類にこだわるといった多種多様のニーズに応えることを目的とします。
- ・SDPFクラウド/サーバにおけるカーボンニュートラルに向けた取り組み
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- ・CO2排出量を可視化するダッシュボード機能
- (出典:NTTコミュニケーションズ)
- SDPF クラウド/サーバのCO2排出量・CO2排出削減量を可視化するダッシュボード機能を無料で提供しています。
- カーボンフットプリントダッシュボードで提供されるグラフは以下の通りです。
- ・CO2排出量・再生可能エネルギーの利用による削減効果の推移
- ・年度別のCO2排出量
- ・ワークスペース別のCO2排出量
- ・メニュー別のCO2排出量
- ・CO2排出量を予測するシミュレーション機能
- (出典:NTTコミュニケーションズ)
- SDPF Knowledge Centerにて利用可能なシミュレーターを提供しています。
- オンプレミス環境からSDPFクラウド/サーバに移行した場合にどれくらいのCO2排出量を削減することが出来るかを簡易的に算出することが可能です。
- ・Cradio®(クレイディオ)開発
- IOWNのコグニティブ・ファウンデーション(CF)・マルチオーケストレーター機能郡の中の「インテリジェント機能郡」で使用する技術としてNTT研究所が研究開発としている「Cradio®」を基にして無線環境の調査/設計/維持の最適化に関するサービス高度化を進めています。
- Cradio®技術により無線アクセスポイント設計/導入後の設備レイアウト変更による無線品質影響の事前シミュレートが可能となります。
- (出典:NTTコミュニケーションズ)
- ・APN検証
- IOWNのオールフォトニクス・ネットワーク(APN)の実験/検証としてNTTコミュニケーションズではオフィス/データセンターなど複数拠点を光ファイバーで接続した検証環境を構築し, 非圧縮8K映像伝送などのユースケース検証, APN制御ソフトウェアやWhitebox Transponderの検証をNTT研究所と連携して実施しています。
- (出典:NTTコミュニケーションズ)
- ・Whiteboxデバイス技術開発
- Whiteboxデバイスとはハードウェア/NOS(Network Operating System)を自由に組合せられるデバイスであり, APNの実現に必要な技術要素の1つでです。
- NTTコミュニケーションズはテレコムインフラのオープン化コミュニティであるTelecom Infra Projectに参画し, 伝送領域のWhitebox Transponderの技術開発を進めています。
- ・セキュア光トランスポートネットワーク
- APN上に流れるデータを量子鍵配送(QKD)装置の2拠点間で共有した共通鍵, 耐量子計算機暗号(PQC)装置の2拠点間で公開鍵を用いて生成した共通鍵を用いて暗号化し, 量子コンピュータに対しても安全な拠点間通信/伝送を実現するものです。
- またQKD装置/PQC装置から光伝送装置区間の鍵配送もPQCによる共通鍵の秘匿化を行うことでEnd-Endで安全な通信を実現しています。
- NTTコミュニケーションズではOPEN HUB Parkとの連携によるIOWN構想実現に向けた取組みとして, NTT研究所/東芝デジタルソリューションズ株式会社と連携してセキュア光トランスポートネットワークを活用した非圧縮8K映像伝送技術の実証を実施しています。
- IOWN構想による量子コンピュータ時代の安全性に対する課題解決の提供を目指しています。
- (出典:NTTコミュニケーションズ)
NTTコミュニケーションズの環境目標や取組みは以下のページが参考になります。
・環境
・カーボンニュートラル達成に向けて。NTT Comが取り組むGX
・カーボンニュートラルの取組み
・SDPFカーボンニュートラルへの取り組み
・NTT Comの技術戦略とIOWN構想の概要
NTTデータの取組み
NTTデータは「NTT DATA Carbon-neutral Vision2050」を策定し, 2050年のカーボンニュートラルに向けたお客さま・社会のグリーン化への貢献、自社のサプライチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減を推進しています。
- ・自社排出削減(Scope1、Scope2)とICT業界のカーボンニュートラル推進
- ・2022年4月より提供主要サービスANSER®, CAFIS®, OpenCanvas®の運用で使用する全電力を100%再生可能エネルギー化
- ・2030年までに自社データセンター使用電力の100%再生可能エネルギー化
- ・ソフトウェア観点での効率的電力利用やハードウェア集約等による電力利用削減
- ・サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出削減(Scope3)
- ・2022年4月より日本で初めて国際環境NGOであるCDPによるCDPサプライチェーンプログラムにプレミアムメンバーとして参加し, サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの推進
- ・2022年4月に14のグローバル関連企業・団体・学術機関とともに非営利団体「ESTAINIUM協会」を設立し, サプライチェーン上の企業間で温室効果ガス排出量データをセキュアにやり取りする基盤の構築
- ・その他、温室効果ガス排出削減の取組み
- ・政府や企業と連携し国内外で森林由来のクレジット制度を活用したカーボン吸収の推進
- ・2022年2月から3月にかけて海洋生態系が吸収する炭素「ブルーカーボン」によるCO2削減の実証実験の実施
- ・環境分析/戦略策定
- 自組織の温室効果ガス排出量の分析を踏まえて, 脱酸素戦略・省エネ計画などの戦略策定を行います。
- ・実行支援
- デジタル技術を活用した排出量の可視化を始め, 省エネや再エネ導入などの排出量削減支援, 電力消費の最適化などのソリューション提供, 特定領域における施策実行まで幅広く支援します。
- ・温室効果ガス排出量の可視化
- 現在多くの企業において温室効果ガス排出量の可視化は排出原単位に基づき算定されるレベル0~1に留まり個別の削減努力が反映されない課題が残っています。
- NTTデータは削減アクションにつながる可視化レベル2への到達まで支援します。
- (出典:NTT DATA)
※Scope1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
- ・多くの実績をもとに最適なロジックを算出
- Scope3では自社のサプライチェーン上の他社の排出活動を算定する必要があります。
- 活動量をどう取得するか, 取得した活動量をもとにどのように算出するか, 取得できない場合はどうするか等, 企業に合わせて適切な算出ロジックをご提案します。
- ・クラウドサービスによる一元管理
- クラウドサービス上でグループ会社や拠点ごとの情報を保持, 一元管理できます。
- 組織内の情報収集や管理が容易になります。
- ダッシュボードで算定結果を可視化しGHG排出量が特に多いホットスポットを分析できます。
- ・削減可能なScope3算定式
- Scope3の算定において「総排出量配分方式」を採用しています。
- サプライヤーの排出量の実測値(一次データ)を活用し, サプライヤーの削減努力を自社排出量に取り込むことができます。
- サプライヤーの排出量の可視化状況が明確になり, サプライヤーに対する算定・削減の推進が可能となります。
- ・IOWN Global Promotion Office
- NTTデータグループは2023年10月に北米とEMEALに「IOWN Global Promotion Office」を設立しました。
- IOWNを活用したビジネス事例創出と, 2025年度末までのグローバルで600名のIOWN技術者育成とIOWN社会実装を通じたスマートな社会実現を目指しています。
- (出典:NTT DATA)
- 主な活動は以下の3点です。
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- ・海外市場におけるIOWN構想の認知度向上
- 海外イベントやセミナー等でIOWN構想や関連技術紹介を実施し海外でのIOWN構想認知度向上を目指します。
- ・IOWN構想および技術に対するお客さまニーズの把握
- 海外でのIOWN構想紹介を通じて, お客様/パートナーとともに新たな社会の姿を描きその実現に必要な技術ニーズと追加技術を確認してます。
- ・IOWNユースケースの創出およびビジネス事例の構築
- 海外のお客様やNTTデータが展開するソリューションにIOWN技術を適用することでお客様への提供価値を向上するユースケースを創出します。
- また, 距離が離れた複数データセンタをAPNで接続しあたかも単一データセンタと同等の情報処理を行えるかの実証を予定しています。
- ・ソサエティDX
- NTTデータのデジタルツインコンピューティング(DTC)は一般的な現実空間のデータ収集からサイバー空間を作り上げるデジタルツインと異なり, 理想的な世界観や要求条件をビジョンとしてサイバー空間に組上げシミュレートを繰り返し現実空間に反映する「サイバーファースト」という考え方を持っています。
- 社会全体のデジタルツインコンピューティング化とそれに通じた社会全体のDXとして「ソサエティDX」を目指しています。
- 社会全体のデジタルツインコンピューティング化実現には超大規模化とオーナシップの異なる複数のデジタルツインの最適化という課題があり, これらを解決するために「データ連携基盤技術」と「DTCフレームワーク技術」を開発しています。
- (出典:NTT DATA)
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- ・データ連携基盤技術
- データの二次流通や目的外利用を防止するセキュリティ機能を有したデータ連携技術であり, IOWNで開発しているAPNと次世代データハブ技術を活用して実現していきます。
- 次世代データハブ技術はAPNを活用した「仮想データレイク」を実現するものであり, 広く分散するデータを1箇所にあるかのようにアクセスさせるものです。
- ・DTCフレームワーク技術
- IOWNのデジタルツインコンピューティング技術を活用した複数のデジタルツイン間のデータ自動構造化や融合を可能とするものです。
- ・City Scope
- NTTデータはMIT Media Labと研究開発のパートナーシップを締結しており, MIT Media Labで開発しているCity Scopeというデジタルツイン技術の応用システムをローマの都市開発に提供する実証実験を行っています。
- City Scopeはインタラクティブな都市設計と合意形成を可能にするデータ駆動の意思決定支援プラットフォームです。
- (出典:NTT DATA)
- その他にもSDGsに寄与するCO2排出削減施策効果の可視化プラットフォームといった様々なソリューションのプロトタイプ・モデルのシミュレーションに着手しています。
- (出典:NTT DATA)
NTTデータの環境目標や取組みは以下のページが参考になります。
・気候変動対応新ビジョンで2050年までに温室効果ガス排出量を「ネットゼロ」へ
・カーボンニュートラル
・グリーンコンサルティングサービスを提供開始
・C-Turtle®
・北米およびEMEALに「IOWN Global Promotion Office」を設立
・IOWNから始まるデジタルツインが変える未来
NTT東日本の取組み
NTT東日本は東日本地域における地域電気通信業務, 及びこれに附帯する業務, 目的達成業務, 活用業務を提供するNTTのグループ企業です。
NTT東日本はNTTグループで策定した「環境エネルギービジョン」に基づき温室効果ガス排出量の主要因である電力のグリーン化を進めています。
また, NTT東日本は2017年度より「環境⽬標2030」として4つの⾏動⽬標を掲げて取り組んでいます。
- ・低炭素化している未来
- 私たちは、社会のCO2削減貢献量を⾃社排出量の10倍以上にします。
- 私たちは、気候変動への“適応”に幅広く取り組みます。
- ・資源が循環している未来
- 私たちは、廃棄物の最終処分率1%以下を継続します。
- ⾃然と共⽣している未来 私たちは、⽣態系保全活動に積極的に取り組みます。
- ・オフィスビルの省エネ
- 通信設備/空調/照明の効率化など。
- ・通信設備
- ネットワーク設備の更改/台数適正化, 空調設備の更改/適正化など。
- ネットワーク設備のシンプル化, 省エネルギー技術の導入など。
- ・データセンタ
- アイルキャッピング/太陽光発電の導入, 遮熱/断熱など。
- ・再生可能エネルギーの導入
- 自社ビルへ太陽光発電設備の導入, 再生可能エネルギー利用の拡大など。
- ・車両
- 一般車両のEV化, 車両配備の見直し, エコドライブ推進など。
また, 「長時間労働・担い手の不足」「ふん尿処理負担の増加」「悪臭・水質汚染」といった課題も存在しています。
自然災害による停電対策だけでなく再生可能エネルギー利用によるカーボンニュートラル促進も課題となっています。
- ・「株式会社ビオストック」設立
- 畜産・酪農家の課題解決策としてNTT東日本はバイオマス発電の専門家であるバイオマスリサーチ株式会社と「株式会社ビオストック」を設立しています。
- 「長時間労働・担い手の不足」「ふん尿処理負担の増加」「悪臭・水質汚染」の解決のためバイオガスプラントの提供, IoT・AIを駆使したバイオガスプラントの運用・保守を提供しています。
- バイオガスプラントを活用し, 自治体やJA、畜産・酪農家・地域企業と連携した地域循環型エコシステムを構築することにより, 資源・エネルギーの地産地消を実現しています。
NTT東日本の環境目標や取組みは以下のページが参考になります。
・SUSTAINABILITY REPORT 2022
・バイオガスプラントやICTを活用した地域の課題解決、持続可能な畜産・酪農業の実現
NTT西日本の取組み
NTT西日本は西日本地域における地域電気通信業務, 地域電気通信業務に附帯する業務などを提供するNTTのグループ企業です。
NTT西日本はNTTグループの環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」に基づき、2040年度までにカーボンニュートラル達成に向けて再生可能エネルギーの利用拡大や最先端の技術の活用などに取組んでいきます。
- ・温室効果ガス排出量の削減:カーボンニュートラル(2040年度)
- ・社用車のEV化率:100%(2030年度)
- ・オフィス・通信設備データセンタでの省エネ
- 増大する通信設備の増加抑制, 建物撤去, 空調の更改/最適化など。
- ・再生可能エネルギーの導入推進
- 自社ビルの再生可能エネルギーへの切り替え。(2022年度までに延べ325棟のビルの電力, 5.8億kWh)
- 各支店での太陽光パネルの設置。
- ・EV導入によるCO2排出量削減
- 保有している社用車を2030年までに100%EV化。
- ・インターナルカーボンプライシング制度の導入
- 社内炭素価格:6,500円/t-CO2
- 適用範囲・方法:「脱炭素に係わるプロジェクト判断」, および「調達(製品選定等)」におけるCO2排出コストを考慮した意思決定
NTT西日本の環境目標や取組みは以下のページが参考になります。
・「自然(地球)」との共生 社会が脱炭素化している未来へ
・スマートシティのパイオニアNTT西日本グループと、自動運転EVバスで世界をリードするマクニカが、次世代の地域交通システムで提携
NTT東日本/NTT西日本の提供する固定網設備に関連するNTTの技術紹介
- ・APN IOWN1.0のユースケース
- APN IOWN1.0が提供する超低遅延はeスポーツ, 手術支援ロボットや工場設備の遠隔操作, 映像のリアルタイム伝送といったこれまでのネットワークでは実現困難であったユースケースを実現可能とします。
- (出典:NTT技術ジャーナル)
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- ・手術支援ロボットを使った遠隔医療
- 地方の外科医不足や専門医/指導医の都市部偏在といった課題解決として, 遠隔医療分野の期待が高まっています。
- 手術支援ロボットと遠隔地操作者をAPNで接続することにより低遅延かつ揺らぎなく情報伝送が可能となり高品質な遠隔手術支援が可能となります。
- ・スマートファクトリ
- 化学プラントや精密機器製造工場などの広大かつ多岐にわたる作業/メンテナンスについても低遅延かつ揺らぎのないAPNを活用することで, スキル者への遠隔作業集約や危険度の高い作業の安全性確保が可能となります。
- また複数拠点間をAPNで接続し連携することで, 遠隔でも一元的な製造/検品の自動化が可能となります。
- ・リモートプロダクション
- 放送業界では中継現場から撮影映像をリアルタイムで伝送し遠隔地で番組制作を行うリモートプロダクションが注目されています。
- 大容量・低遅延のAPNを用いることで番組素材の非圧縮伝送が可能となります。
- また, リモートプロダクションを活用することで中継現場への機材や人員の遠隔配備を抑制することにも繋がります。
- ・APN IOWN1.0の概要
- 通信ネットワークの全区間で光波長を専有し, 光伝送網の多重収容を実現するOTU4を採用することで高速・大容量, 低遅延・揺らぎゼロを実現しています。
- また, APN端末装置である「OTN Anywhere」と組み合わせることで遅延の可視化・調整を実現しています。
APN IOWN1.0については以下のページが参考になります。
○ネットワーク制御基盤技術
NTT東日本/NTT西日本の提供する固定網設備の低消費電力化に関連する技術としてNTTの「ネットワーク運用の高度化に向けたネットワークコントロールシステム構成技術」を紹介いたします。
- ・リソースプール化による加入者高収容化
- 従来, 広い地域に展開しているネットワーク加入者を効率的に管理し収容することに課題があり, 高価な収容装置の利用効率が低水準でした。
- 各収容装置のリソースをプール化して一元管理を行い広範囲のユーザを効率的に収容することを可能としました。
- ・迅速なサービス復旧
- 従来収容装置は冗長構成をとれない, 冗長構成の配置に物理的な距離制約があるなど大規模障害時のサービス提供停止に課題がありました。
- 災害時のサービス提供可能なリソースプール内の別リソースへの収容替え制御によって迅速なサービス再開を可能としました。
- ・多様な装置への制御の容易化
- 従来, 機種ごとに収容装置のインターフェースやコンフィグレーションに差分があり, マルチベンダでの加入者収容に課題がありました。
- 各装置のコンフィグレーションをプラグインモジュール化することや収容識別情報の変換ロジックを柔軟化することで多様な装置への制御を容易にしました。
それだけでなく既存のIPネットワークを対象として「ネットワーク制御基盤技術」により機器の効率的な利用による低消費電力化を目指す取組みも存在しています。
ネットワーク低消費電力化に関するその他のアプローチについては以下のブログが参考になります。
・R5年度版情報通信白書 ~高速化技術とクラウド 第6回~
ネットワーク制御基盤技術については以下のページが参考になります。
・ネットワーク運用の高度化に向けたネットワークコントロールシステム構成技術
各社の取組みについての所感
ここまで紹介してまいりましたNTTグループ会社5社の取組みについての所感を以下に記載いたします。
そのため, 機器利用の効率化や再生可能エネルギー利用といった取組みが見られます。
また, 一般利用者向けのサービスを提供する企業においては普段の生活に根ざした脱酸素に繋がるサービスを提供し個人レベルでの脱酸素化にも貢献しています。
既存設備や既存サービスの視野を広げた取組みだけでなく, 今後はIOWN構想を担う大規模なサービスといった既存の枠組みにとらわれない革新的な低消費電力/脱酸素に寄与するサービスが順次提供されていることが想定されるため, 今後本連載においても紹介していきたいと考えております。
おわりに
今回はNTTグループ会社の環境への具体的な取組みを紹介いたしました。
次回はNTTテクノクロスの具体的な環境への取組みをご紹介したいと思います。
本件に関するお問い合わせ
[著者プロフィール]
フューチャーネットワーク事業部 第一ビジネスユニット
村木 遼亮(MURAKI RYOUSUKE)