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顧客体験(CX)向上の極意――"おもてなし"を超える

よりよい顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)の重要性が高まっている。CXを競争力強化につなげるためには、顧客のCXのレベルをAI活用の音声認識やテキストマイニングで把握するのが有効だ。おもてなしを超えて、CXを仕組み化するヒントを解説。

製品やサービスのコモディティ化(どれを購入しても大差ないという陳腐化)が進む現在、マーケティングの狙いは「製品そのものを売り込むこと」から「顧客の行動プロセスの中で、よりよい顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)を提供すること」に移っています。その実現は、いわば"おもてなし"を提供し続けるようなもの。その場限りのおもてなしではなく、顧客の行動プロセス全体の中で、常におもてなしを提供し続けることが顧客の満足度を高めます。

それぞれの顧客のニーズを満たした上で、よりよい顧客体験(CX)を提供し続ければ、長くその企業やブランドを選んでもらえますし、SNSなどでその製品やサービスを勧めてもらうことも期待できます。

よりよい顧客体験(CX)を提供し続けるためには、顧客が満足したのか不満に思ったのか、それぞれの顧客体験(CX)での満足度のレベル把握が欠かせません。マーケティング担当者にとって、満足度のレベルを知るのは決して簡単ではありません。A/Bテスト(2つの施策を試行・比較)や仮説検証(仮説に基づく試行の結果を検証)で手に入るのはあくまでも推測の情報です。顧客体験(CX)の満足度のレベルを直接つかむには、顧客の"声"そのものを分析する必要があります。

コールセンターで顧客の感情を分析

そこで注目を集めているのがコールセンターです。現在でも顧客からの問い合わせや苦情は電話でコールセンターにかかってきます。コールセンターにかかってくる通話は、顧客体験(CX)の満足度のレベルを測る絶好の材料となります。

コールセンターで満足度のレベル把握を可能にする技術が、音声認識とテキストマイニングです。まず、顧客からかかってきた通話を音声認識ソフトウェアで認識し、テキスト化します。そのテキストに含まれる「感情に関連した形容詞/副詞」をテキストマイニングで調べ、顧客が製品やサービスをどのように評価しているかを判定します。どのような形容詞/副詞が使われているかによって、好悪のレベルも測れます。

それだけではありません。「感情分析技術」と呼ばれる技術を使えば、顧客の言葉の裏にある感情についても、通話の中から分析できます。

例えば、電話をかけてきた相手が高い声で早口に話している場合、その人は何かに怒っているのだと容易に推察できます。そうした怒りの感情は通話の内容にも表れるのが普通ですから、テキストマイニングで「顧客は怒っている」という分析結果が得られます。

しかし、「言葉づかいは丁寧だが声は高ぶっている」人の場合、話を聞いているコールセンターのオペレーターにはその人の気持ちが分かりますが、テキストマイニングでは怒りの感情を検出できません。そこで、そのような通話からも顧客の感情を自動的に抽出する感情分析技術の出番となります。

感情分析技術では、「怒り」「喜び」「悲しみ」などの感情の種類を音声の特徴から読み取ります。音声の周波数(高い声/低い声)、速さ(早口/ゆっくり)、アクセントなどをソフトウェアで分析することによって、怒りや喜び、悲しみといった感情の種類を把握。通話の内容だけでは分からない顧客の感情も抽出します。つまり、感情分析技術によって、顧客体験(CX)の満足度のレベルがより正確に測れるようになるのです。

感情分析ができる音声ビッグデータソリューション

このようなテキストマイニングと感情分析技術を備えた音声分析をコールセンター向けのソリューションに組み込んだのが、NTTテクノクロスの「ForeSight Voice Mining」という製品です。

ForeSight Voice Miningは、顧客の通話を音声認識、テキストマイニング、感情分析の3つの技術で自動的に分析します。オペレーター、スーパーバイザー/マネジャー、アナリストのそれぞれのニーズに即した分析結果を管理画面に表示したり、分析レポートとして作成したりできます。

実際の応対に当たるオペレーターに最も歓迎されるのは、テキストマイニングの結果に基づく「回答候補レコメンド」の機能でしょう。顧客が発したキーワードに基づいてマニュアルや過去の応対履歴から探した「模範回答」を操作画面に示してくれますから、分厚いマニュアルをめくる必要はありません。経験が浅いオペレーターでも質の高い顧客対応ができます。

スーパーバイザー/マネジャーやアナリスト向けには、NTTグループの研究所が開発した感情分析技術を利用した「応対品質定量評価」「VoC分析」「不満自動抽出」などの機能を提供しています。怒鳴り声など声の大きさや高さでおのずと分かる"ホットアンガー"だけでなく、日本人特有の静かで冷静な怒り(クレーム)"コールドアンガー"(※)に対しても素早く適切な対応を取れます。顧客体験(CX)の満足度のレベル測定も高精度で行えるようになります(図)。

※「コールドアンガー」は日本電信電話株式会社の商標または登録商標です。

ホットアンガーとコールドアンガー

静かで冷静な怒り方をしている顧客についても、その感情を検出。顧客体験(CX)の満足度レベルをより正確に測定

音声認識、テキストマイニング、感情分析の活用によって、コールセンターで顧客体験(CX)の満足度のレベルを正確に把握できるようになってきました。その分析結果をサービス改善に生かせば、顧客の行動プロセスのすべてにおいて、よりよい顧客体験(CX)を提供できるようになります。コールセンターへの通話は、よりよい顧客体験(CX)を提供するための宝の山なのです。

日本が得意な"おもてなし"は、顧客に提供し続けてこそビジネスの競争力につながります。まずは顧客体験(CX)の満足度のレベルを測るために、顧客の"声"の分析に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※会社名、製品名などの固有名詞は、一般に該当する会社もしくは組織の商標または登録商標です。

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