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働き方改革が進まない「残業続きの裏方部門」をAIで後押し

間接部門や事務部門、法務部門の働き方改革にAIが使える。属人化したチェック作業が多いバックオフィス(裏方の事務部門)で働き方改革がなかなか進まない。人の判断が必要なチェック業務が多いからだ。AIを活用すれば、そのチェック業務も自動化できる。

働き方改革が企業の命題になり、ITを活用した業務プロセス改革を進める企業が少なくありません。ただ、ITツールを活用して業務効率化や生産性向上の取り組みを進める現場において、旧態依然とした働き方を引きずってしまい、なかなか変われずにいるのがバックオフィス業務です。ここで言うバックオフィスは、人事や経理、総務といった全社的な間接部門だけではなく、営業部門や研究開発部門など現場の「裏方」として、フロントオフィスの業務を支える事務部門も指します。

こういった部門では各事業部から提出される決裁・申請書のチェックなど属人的な作業が多く、繁忙期には残業続きになってしまいます。しかし、そうした状況が変わろうとしています。そのカギを握るのがAIです。

働き方改革に経営資源を集中し業務効率化

企業では働き方改革を加速させるためにさまざまな取り組みを進めています。働く場所や時間に制約されることなく、いつでも、どこでも仕事ができるよう、モバイル通信やITを活用して業務効率を高め、社員一人ひとりの生産性を高めています。

働き方改革を進めるには、IT活用とともに、仕事のやり方を見直す必要があります。例えば、営業部門の業務プロセスに問題はないか、長時間勤務などの原因となっている業務の無駄はないかを洗い出します。営業担当者がいまだに手書きのスケジュール管理や日報を作成しているようでは部門内の情報共有がスムーズに行えず、生産性が上がらないのは明らかでしょう。社員のモチベーションを高めるためにも、働き方改革に経営資源を割き、営業支援や顧客管理などのITツールを活用して効率よく業務を行い、働き方を変えながら収益を上げるといった取り組みが企業に求められています。

バックオフィスにこそ必要な業務プロセス改革

業務効率化や売り上げ拡大に向けたIT投資は、営業部門など企業の収益に直結する現場のフロントオフィス業務に対して行われるケースが多いようです。しかし、全社的な業務プロセスの見直しの観点では、現場だけでは不十分です。業務プロセス改革は、むしろバックオフィスに求められています。

企業には多様な部門があり、バックオフィスの業務プロセスも部門ごとに異なり、業務内容も多岐にわたります。バックオフィスの事務を担うのは、業務に精通したベテラン社員とは限らず、経験の浅い新人や派遣社員もいるかもしれません。加えて、バックオフィスを担当するスタッフは少数であることも珍しくありません。

しかし、バックオフィスに与えられる仕事は重要です。現場の営業担当者が取引先と交わす契約書や、社内の決裁・申請など稟議書のチェックもバックオフィスの重要な業務の1つです。稟議書をチェックする場合、記載内容が社内の業務規程(ルール)やコンプライアンスに沿っているかどうか、きちんと確認しなければなりません。

例えば、契約書に書かれている損害賠償条項を見たときに、損害賠償額の上限が定められていないことがあります。チェックが漏れて、上限が記載されないままでは損害賠償額が青天井になる可能性があります。

現場の営業担当者から提出される書類が多ければ、その分、チェック担当者の負荷は大きくなります。申請書のチェックに時間がかかり、稟議が滞るような事態になれば、現場のビジネスが停滞しかねません。チェック業務の負荷で担当者は疲弊し、最悪の場合、チェックの遅れが営業部門のビジネス機会損失を招く恐れもあるのです。

決裁・申請書のワークフローシステムを全社的に導入している企業も多いと思います。決裁・申請書に関わるルールは全社共通が原則ですが、長年の習慣で部門独自のルールが存在するケースもあります。部門ごとにチェックの業務プロセスが変わることも珍しくないでしょう。

全社の情報システムは部門ごとの事情に合わせた対応が困難なため、部門独自のルールとの差分は属人的に対応する必要があります。ただでさえ大量の申請書のチェックが大変なのに、例外規程や変更があれば、チェック漏れなどのヒューマンエラーにつながります。

決裁・申請書のチェック業務にAIを活用

さまざまな業務に活用され始めているAI。バックオフィスのチェック業務も支援できないか――。これまで担当者が手作業で行ってきた決裁・申請書のチェック業務にAIを活用すれば、チェックの自動化により働き方改革は加速します。最近では、属人化された書類のチェック業務を自動化するAIソリューションが登場し始めました。

例えば、NTTテクノクロスのAIバックオフィス(仮)シリーズは、社内システムに保管された過去の決裁・申請データをAIが抽出し、業務ルールを学習します。「この決裁はこのように記載する」「この申請ではこの内容をチェックする」といった業務ルールをAIが学習し、自動でチェックする仕組みです。

使い方も簡単です。社員のPCにインストールされた常駐プログラムが現場担当者のPC操作を分析することで、例えば出張申請書を作成しようとした場合、AIが業務ルールに即した記載内容をPC画面に表示して作成を支援します。AIは部門ごとにルールを覚え込むので、部門独自のルールがあっても対応ができます。

また、AIバックオフィス(仮)シリーズは、部門ごと、グループ会社ごとの業務ルール学習が可能です。例えばグループ子会社の場合、親会社のルール、子会社独自の業務ルールが存在します。グループ会社各社ごとにルールを学習し、適用できます。また、業務ルールを管理するポータルもあり、新たなルールの追加や使われていないルールの削除など、定期的にルールを棚卸しすることにより、AIによるアシストを効果的に活用できます。

AIによる業務改善の効率化。現場の従業員とバックオフィスの両方をAIが支援

また、AIバックオフィス(仮)シリーズは、契約書作成時に入力を支援します。例えば、前述の契約書の損害賠償条項に関して、賠償額の上限が定められていなかったとしましょう。AIが内容を自動的にチェックし、「損害賠償額が青天井になる可能性があり、リスクがあります」と指摘します。

煩雑で手間のかかるチェック業務はAIに任せ、属人的なチェック業務が多い担当者も創造的な業務に専念する。AIは人の判断部分が多い間接部門や事務部門の業務を効率化します。バックオフィスの働き方改革も進めることができるのです。

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