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効率化はRPAだけじゃない! AIでバックオフィスが激変

人の判断が必要な業務もAIを活用すれば自動化できる。業務効率化目的の活用が進むRPAもすべての業務を自動化できるわけではない。特にバックオフィスのチェック業務はAI活用で効率化が可能だ。

企業のデジタル変革が進む中、新たな業務効率化の手段として、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が注目されています。RPAは定型的な業務の自動化には大きな効果を発揮しますが、決裁・申請、契約書の法務チェックといった記載内容の正誤の判断が必要な業務ではAIに軍配が上がります(参考記事:「働き方改革が進む中、注目を集めているRPA」)。

特に、人事・経理・総務といった間接部門や、営業現場を支える事務部門などでは、人の判断が必要な事務作業が必ず存在します。企業のコンプライアンスを支える法務部門でも契約書の独自ルールは人がチェックしています。そこで、間接部門や事務部門といったバックオフィスの業務を劇的に変えるAIの活用法を考えてみます。

定型作業はRPAで自動化し業務を効率化

RPAを導入して業務プロセス改革を進める企業が増えています。RPAはデータ入力、出力、転記、ファイルのダウンロードといった人手を介して行っていたPC操作のフローを作成することで業務を自動化できます。定型作業はRPAに任せ、社員は収益に直結するような生産性、創造性の高い業務に集中できます。また、人手を介さずに済むため、社員の業務の負荷軽減や人的ミスの回避にも効果があります。

例えば、RPAは営業担当者が起票した発注伝票を仕分けたり、Excelで作成された注文書の内容をWordの指示書へ転記するといったことが容易に行えます。人手に依存していた業務を自動化できるので、担当者は他の業務に注力できます。

働き方改革として長時間労働の是正、残業時間の短縮が求められる中、ソフトウェアロボットであるRPAを活用すれば定型業務を自動化できるので、企業の期待も高いようです。

しかし、残念ながら現在のところ、人の業務を全てRPAに任せられるほど万能ではありません。RPAに置き換えられる業務が社内にどの程度あるのか検討し、どんな効果が見込めるのかを事前検証した上で、本格導入するといった手順が必要です。

RPAに適用できる業務は限定的とはいえ、従来、社員が行っていた作業をRPAに置き換え、業務の負荷と作業時間が減るのであれば企業にとって十分魅力的です。RPA適用の可否を見極め、さまざまなシステムを適材適所に組み合わせて利用することが業務プロセス改革につながります。

決裁・申請書のチェック業務はAIで自動化

RPAはデータの入出力など、入力業務の自動化に効果があるものの、決裁・申請書の記載内容の確認などルールに基づく判断が必要なチェック業務には適していません。

そのチェック業務の自動化に強みを発揮するのがAIです。既存システムに手を加えることなく、AIを活用してバックオフィス業務改革を支援する方法も提案されています。

例えば、研究開発部門など現場の担当者から申請書が提出された場合、申請書をチェックする担当者は申請書の記載内容が会社、部門の業務規程(ルール)に合っているかどうかチェックします。もし、記載内容が業務ルールと違っていれば、現場担当者に差し戻して修正の上、再度、申請書を提出してもらうことになります。

こうした申請の手続きは重要な業務プロセスですが、大量の申請が集中すると書類チェックを行う担当者の業務が滞る恐れもあります。事務処理時間の問題から現場のビジネスが停滞するのは企業として避けなければなりません。また、現場担当者にとって、申請書の記載に必要な業務ルールを熟知するのは困難な場合もあります。

そこで、担当者が行っていた申請書の記載内容のチェック業務をAIに置き換える試みが進みつつあります。例えば、NTTテクノクロスのAIバックオフィス(仮)シリーズは、社内システムに保存された過去の決裁・申請データをAIが抽出し、業務ルールを学習します。

業務ルールが増え、複雑化するほど現場担当者は書類の作成でミスを起こしやすくなります。また、チェック業務の担当者はチェックすべき項目が増え、負荷が増すことになります。AIで決裁・申請書の作成とチェック業務を自動化すれば、チェックリストに依存せず、業務の効率化とスピードアップを図ることができます。さらに、部門ごとに保有している業務ルールのチェックリストをなくすことも可能です。

RPAとAIの得意分野の違い。業務ルールを熟知したベテランが判断していた業務もAIで自動化

契約内容のリスク管理にも効果的な法務チェック

契約書の法務チェックをAI活用で実施することも可能です。従来は現場担当者が作成した契約書の内容を、法務担当者が確認するのが一般的です。このため、現場とバックオフィス双方の手間の削減と、契約内容のリスク管理が課題の企業は少なくないでしょう。

「取引先から契約書案を預かったが、法務審査が必要かどうか分からない」「法務審査依頼のためのチェックリストが面倒」といった現場の声もよく聞かれます。こうした法務チェックにAIは適しています。

AIバックオフィス(仮)シリーズでは、契約書をデータベースに読み込ませるだけでリスクのチェックが行えます。法務審査が必要かどうかを表示し、法務チェックを実施できます。また、契約書締結までの変更履歴やコメント、条項ごとの契約書データをデータベースに残せるため、経緯の確認や契約更新、検索などもスムーズに行えます。

このように決裁・申請書や、契約書の法務チェックをAIに任せることにより、バックオフィス業務のベテランでも、新人でも、習熟度に影響されることなく標準化された仕事が行える利点があります。

AIとRPAのそれぞれの特長を生かした業務の自動化を進めれば、定型業務から判断が必要な業務までバックオフィス業務の効率化が実現します。AIかRPAか、ではなく、AIもRPAも組み合わせて業務効率化を進められる時代が来ているのです。

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