コロナ禍前の2018年末、「社内でUXデザインを推進するための2つの取り組み」として、『業務支援』と『普及・育成』を2回に分けて紹介しました。

約5年の時を経て、現在当社がどのような状況か、改めて社内のデザインに関する取り組みを紹介します。

デザイン思考が「私たちの強み」に

今年度、当社サイトのリニューアルに伴い「私たちの強み」というページを追加しました。

このページ内では【私たちは、「技術力」と「デザイン思考」を掛け合わせ、 ユーザビリティとユーザ体験を重視したクラウドネイティブなサービスを、 アジャイル手法により素早く開発しています。】という説明文が記されています。

つまり、5年経って社の強みとして提示できるほど、社内にデザイン思考が普及した状況にあると言えます。

普及が進んだのは2020年。新たなマネジメント手法として「デザイン思考」に基づくサービスデザイン、ビジネスデザインの強化を進めることとなりました。

そこでこころを動かすICTデザイン室（以降デザイン室）とD-Labのメンバが中心となり、当社の業務に合ったデザイン思考プロセス(下図)と育成マップを作成。中期計画を設けて、全社員へのデザイン思考の推進活動が加速しました。

まずはじめに推進活動の中心となったのは研修です。ボトムアップ、トップダウン両面からデザイン思考が浸透するよう、4つのプログラムを用意しました。

• デザイン思考入門研修

• デザイン思考実践研修

• デザイン思考管理職向け研修

• 経営層向けデザイン思考セミナー

デザイン思考入門研修

全社員を対象としたeラーニングで、まず「デザイン思考とは？」を知り、当社の「デザイン思考プロセス」、そしてプロセスを回すための「マインドセット」を、各自でテキストを読んで学ぶ内容となっています。

デザイン思考を知らなくても親しみが湧くよう、文章やイラストを手書きしたページを設ける、文字だけでなく写真を多用するなどの工夫もし、ハードルを下げてデザイン思考を知ってもらいました。全社員、約1800名の社員が受講済みです。

デザイン思考実践研修

ボトムアップを期待した研修です。新入社員と各部署の選抜社員が対象で、当社の「デザイン思考プロセス」の進め方と、現場で活用できる各手法を、演習を中心に学ぶ内容となっています。

4人程度のグループに分かれて、インタビュを実施、その中からニーズを抽出、アイデアを検討し、アイデアに対してユーザから評価を受ける、という一連の流れを1日かけて行います。コロナ禍であったため、演習をすべてリモートで行えるよう工夫して運営しました。過去2年で新入社員は計102名、選抜社員は計508名が受講しており、約1/3の社員がデザイン思考の進め方と適切な手法を理解している状況になっています。

デザイン思考管理職向け研修

トップダウンを期待した研修です。管理職が対象で、社内外におけるデザイン思考を適用した成功事例を紹介、デザイン思考導入によるメリットを講義形式で伝えています。加えて、デザイン室による支援の具体的な取り組みも紹介しています。

研修を通して『管理職が自チームへのデザイン思考適用をイメージできること』を主題としており、実際に研修をきっかけにデザイン思考に取り組み、デザイン室とD-Labに支援依頼を行ったプロジェクトも多くあります。過去2年で計253名の管理職が受講しており、実践研修で学んだ若手社員たちが現場でデザイン思考にチャレンジする土壌をつくることに繋がっています。

経営層向けデザイン思考セミナー

トップダウンを期待した研修です。経営層が対象で、外部講師を招いてデザイン思考の効果をセミナー形式で伝えていただきました。

デザイン思考に限らずですが、全社一丸となって施策を進めるためには経営に組み込むことも重要です。各層にあった内容を伝え、巻き込んでいくことで推進の速度が加速していきます。

今年度は4つの研修に加えて「外部研修で選抜社員のスキルアップを図る」、「デザイン関連資格の取得を支援する」といった施策も始まりました。

このような取り組みと実績を背景に、前述の「私たちの強み」ページを公開するに至りました。

これからのNTTテクノクロス

社内では自社製品開発やSI業務においてデザイン思考を適用し、お客様そしてその先にいらっしゃるエンドユーザ様を第一に考えた開発が広がっています。

さらに今年4月には組織整備により、戦略ビジネス特区をビジネスデザイン部に改称し、顧客志向に基づくサービス創造を強化します。

これからのNTTテクノクロスは、技術力とデザイン思考を活かした探索型のソリューションで、 お客様とともに「みらい」を創る真の価値を生み出していきます。