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OpenStack Summit Sydney 参加レポート (2日目)

今回で16回目となるOpenStack Summitですが、オーストラリアでは初開催。南半球ではこれから夏本番という気候です。現地の暑さに負けないホットなレポートを3日連続でお届けしていきますので、最後までよろしくお願いします!

はじめに

こんにちは。
引き続きOpenStack Summit Sydneyの2日目のレポートをお届け致します!

新規公式コンポーネントのご紹介

1日目でもお伝えしたとおり、今回「Masakari」「Blazar」という
2つのコンポーネントが新しく公式プロジェクトとして追加されております。
 ・Masakari: VMHAを実現するためのコンポーネント
 ・Blazar: OpenStackのリソースの予約機能を実現するためのコンポーネント
このうち、Blazarについてのセッションを見てきましたので、ご紹介したいと思います。

関連セッション:
 1日目 : Blazar - Project Onboarding
 2日目 : Guaranteed Provisioning by the Resource Reservation with Blazar

■Blazarとは?
Blazarは、ある時期に必要になるリソースを、事前に必要な量だけ予約しておき、
他の用途にとられないようにすることができます。
現在Blazarで予約できるリソースは2つ、host(ハイパーバイザー)と、instance(仮想サーバ)です。
これら2種類のリソースについて、Blazarで
 * ある日時からある日時の間に
 * ハイパーバイザーまたは仮想サーバが
 * どの程度の量(最低何台、最大何台)が必要である
という条件を指定してマシン予約しておけば、
「他の用途でリソースが使われてしまっていて困った!」
ということが減ります。

たとえば、土曜13:00から14:00の間、何か大きなイベントがあって、
スマートフォンと仮想サーバ上のイベント用システムの間で
一時的かつ大量の通信が発生すると想定される場合、
かつ仮想サーバ数が多いほど処理能力が上がる場合、
Blazarで「この程度のサーバ数必要だろう」という量の
リソースを確保しておけば安心できるわけです。

見てきた2つのセッションは、機能概要の説明とともに
デモがあり、Blazarについて理解しやすいように
工夫されていました。
以上、Blazarの紹介でした。

今日の注目セッション

今日聞いたセッションの中で一番面白かったのは
VM\Container centered network fault auto-healing and visual practice
です。
VMやコンテナに繋がるNWに異常が発生する、というシナリオにおいて、
以下の知見について伝える内容でした。
 ・どのレイヤで発生した問題が原因になっているのかの切り分け方
 ・原因ごとの復旧方法と、復旧手順の自動実行の方法
私が個人的に興味を持っている「システム障害の自動復旧」にも関わるテーマであり、
とても参考になる内容でした。
特にタメになったポイントは、
 ・OVS環境での障害原因の特定方法と、必要な監視項目
 ・自動復旧サービスが受け取るイベントと、実施される復旧手順
のあたりです。
OVSは設定変更や状態確認、障害解析に慣れが必要なので、
こういうノウハウが発表されてとても嬉しいです。
上記のような話題に興味のある方は是非動画をチェックしてみてください。
弊社では他にもKubernetes、Openstack on Container系のセッションをチェックしており、
TripleOやopenstack-helmなどの安定性が上がっていることやOpenStack on Containerの構成例などの
情報をゲットしています。
帰国したら早速試してみて、いい知見を得ることができたら別途記事にしたいと思います。

セッション外の話題

めざせ!次回サミット!

今日は15時ごろ、オーストラリアで最も有名な競馬の大会であるMelbourne Cupが開催されました。
OpenStack Summitでは次回サミットのチケットとホテルが当たるイベントが毎回開催されていますが、
今回はこのMelbourne Cupの1着を当てた人の中から選ばれるということで、モニター前は大混雑でした。
私も次回バンクーバーサミットの無料参加を狙って投票しましたが、、、選んだ馬は3着でした。
ただ、レースは最後の最後まで結果がわからない大接戦で、とてもおもしろかったです。
会場も非常に盛りあがっていました。

Novaの動向と弊社の取り組みについて

今日はNovaの開発者向けセッションがいくつかあり、
そのうちの一つではQueens版に向けたCell v2についての話し合いが行われました。
NovaはPike版からCell v2のマルチセル環境が構築できるようになっています。
Cell v2は簡単に言うと、セルというホストの集合体のような物ごとにメッセージキューと
データベースを持たせ、それらがボトルネックになることを回避する大規模環境向けの機能です。
ただし、小規模環境であっても「1つのセルを持つ環境」として機能するので弊社はこのCell v2を重要視しており、
Cell v2の品質確保のために試験コードの作成と投稿に取り組んでいます。


特別イベント!!

私たちにとって、今回のサミット一番のイベントと言っても過言ではありません。
貴重なお時間をいただき、Canonical社のMark Shuttleworth氏(CEO)、
Dustin Kirkland氏(VP of Product Development)とお話させていただきました!
世界的に注目が集まっているEdge ComputingやIoT、AIといった新技術で世の中のどんな課題を
解決できるか、どんなサービスを作れるかについてビジョンを語っていただいたり、
エンジニアの技術力向上に必要なことについて質問させていただいたりと、
夢のような時間を過ごすことができました。
私達の拙い考えにも親切に耳を傾けてくださり、大変嬉しかったです。
お二人をはじめ、本日お忙しい中お時間を割いてくださったCanonical社の皆様に御礼申し上げます。

おわりに

以上、OpenStack Summit Sydneyの2日目のレポートでした。
残すところあと1日、よろしければ最後までお付き合いいただければと思います。

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テクノロジーコラム
著者プロフィール
渥美 慶彦
渥美 慶彦