OpenStackSummitAustin報告第一弾基調講演の先進的な事例たち
GW直前の4/25(月)-29(金)、アメリカ オースティンにて半年に一度のOpenStack Summitが開催されました。第一回の今回は基調講演から先進的な活用事例を紹介します。
テクノロジーコラム
- 2016年05月25日公開
はじめに
GW直前の4/25(月)-29(金)、アメリカ オースティンにて半年に一度のOpenStack Summitが開催されました。
サミットはオースティン中心部に位置するホテルを3箇所使用して
「講演」「ハンズオン研修/OpenStack認定試験」「デザインサミット」が開催されました。
前回のOpenStack Summit Tokyoで実施すると宣言された、「OpenStack Administrator試験」も今回始めてAustin Summitの会場で行われました。
この基調講演で紹介された事例がこれからのOpenStack活用のトレンドになることが多いので、
第一回の今回は基調講演から先進的な活用事例を紹介します。
Superuser Awards受賞 AT&T社
全世界でテレコム事業を営むAT&T社がAustin SummitでのSuperuser Awardsを受賞しました。
受賞の理由としては、
「世界72のDCでOpenStackを導入」「Mitaka版のTOPコントリビュータ」「ネットワークとNAVの先駆者」であることが評価されたようです。
AT&T社の事例紹介
https://www.youtube.com/watch?v=tH5umlKmQUQ
AT&T社の事例を見て行きましょう。
2015年度の同社では毎日平均114PBのデータが流れており、2020年には10倍に膨れ上がると予想しています。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=tH5umlKmQUQ
同社は2012年からOpenStackベースのプライベートクラウドを構築しており、現在はAICと名づけたクラウド基盤を開発しています。
2020年までに75%のネットワークをOpenStackに移行することを目標とし、そのためには、現在20ゾーンのところ、1,000ゾーンまで増やす必要があるそうです。
また、同社は、OpenStackは10種のコンポーネントを採用しており、
(Nova Murano Cinder Swift Keystone Neutron Ceilometer Glance Horizon Fuel)
今年度末までに3種のコンポーネントを追加採用する予定です。
(Mistral Designate Trove)
AT&T社の導入したコンポーネントを見ると、カタログサービスのMuranoが入っているのが驚きましたね。やはりMirantis版OpenStackはサポートコンポーネントの豊富さが目立っていますね。
AT&T社がこれから導入しようとしているDesignate(DNS as a Service)とMistral(workflow engine)は今回のサミットで複数のセッションが組まれており、これから流行りそうな気配を会場から感じました。
Designateに関しては、クラウド環境を利用している人の多くはDNSサーバを自前で立てているのではないでしょうか。Designateを使うと、DNSサービスをAPIで制御できるようになるので煩雑なDNSのメンテナンス作業が容易になります。
このあたりの比較的新しいコンポーネントの検証結果も報告したいですね。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=tH5umlKmQUQ
EUの街中で活用。IoTの活用事例
https://www.youtube.com/watch?v=Ym_CZ8-crD8
2日目に行われた基調講演でtcp cloud a.s社のIoTの活用事例が紹介されました。
OpenStack + Raspberry piというまさにIoTと呼びたくなる組み合わせで、EUの街中にあふれる情報(交通、水道、気温等)を収集し、インターネット経由でOpenStack上のVMへ転送し、VM上でデータを解析、可視化しています。
Raspberry pi上で動くプログラムの制御にはDockerコンテナ+Kubernetesを使っているようです。
サミット会場にもRaspberry pi が設置され、会場内のCO2濃度をリアルタイムにwebポータルで公開しており、誰でもアクセスできる状態となっていました。
実際に動いているものがリアルタイムで見られると、IoTの活用イメージが沸きますよね。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Ym_CZ8-crD8
確かにRaspberry pi もUbuntuベースのOSなのでコンテナが動きそうですね。
プログラムをコンテナ化することで、Raspberry piをIoTデバイスとして容易に複製ができる気がします。
PCとはCPUタイプが異なるので、PCで作ったコンテナは使いまわせませんが、IoTデバイス用に1個作ってしまえばデバイスが増えるたびにやらなければいけないインストール作業や初期設定の手間が減りそうです。
もしかして、SDカードでRaspberry pi が動いているので、SDカードそのものをコピーすればさらに手間が減るかも・・・?
今度詳しく調べてみたいです。
「AWS + Raspberry piでIoT」はこれまでもよく聞くワードでしたが、今後は「OpenStack + Raspberry piでIoT」も流行ってほしいです。
弊社でもIoTをしているチームがあるので、また別の機会にご紹介したいと思います。
OpenStackのプロセスをDockerコンテナ管理下へ
https://www.youtube.com/watch?v=e-j9FOO-i84
OpenStackのプロセスをDockerコンテナ+Kubernetesで管理した「stacknetes」が発表されました。
OpenStackのプロセスをDockerコンテナ+Kubernetesで管理することで、構築時だけでなくメンテナンス作業やアップデートが容易になります。
たとえば、バージョンアップしたいときにはコンテナを入れ替えるだけで済むので、バージョンアップ時の手間と時間を短縮できます。Kubernetesを使うとDockerコンテナのオートヒーリングを実現でき、仮にPodが削除されたとしても、Kubernetesが削除を検知して再起動してくれるので、運用の手間を減らせて便利です。
以前にもOpenStackの管理プロセスをVM化しようという話もあり、弊社でもVM化していた事例はありますが、VM化よりDockerコンテナ化の方がリソースのオーバーヘッドが少なく、運用管理が楽になると感じました。
他のセッションでもOpenStackのプロセスをDocker管理にした事例がいくつか紹介されていたので、これからはこの構成がスタンダードになるのではないでしょうか。
まとめ
大規模活用、IoT、コンテナと事例を紹介してきましたが、これだけ事例の種類が豊富なところを見ると、OpenStackが活用される場面がどんどん広がっているようです。
また、大規模採用事例が増えるということは、OpenStackの品質は安定していて企業が採用しても問題のないレベルになってきたのではないでしょうか。
次回はOpenStackの運用者が是非ともチェックしておきたい講演を紹介しようと考えています。
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