LPI-Japan主催 OpenStack入門セミナー報告
6/10(金)、6/27(月)の二日間、弊社品川本社にて、特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)主催のOpenStack入門セミナーを開催しました。今回は、この2日間の様子を振り返りながら、弊社のOpenStackに関する取り組みについてご紹介いたします。
テクノロジーコラム
- 2016年07月21日公開
はじめに
6/10(金)、6/27(月)の二日間、弊社品川本社にて、特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(*1)(LPI-Japan)主催のOpenStack入門セミナーを開催しました。
6/10の第一回セミナーでは、当初募集定員を50名で設定していたところ、あっという間に予約が埋まったため急遽100名に拡大し、大盛況につき第二回開催に至りました。
私、越谷も、OpenStack技術者として両日登壇いたしました。
今回は、この2日間の様子を振り返りながら、弊社のOpenStackに関する取り組みについてご紹介いたします。
セミナー開催の背景
まず、LPI-JapanとNTTソフトウェアの関係ですが、弊社はLPI-Japanからオープンソースデータベース技術者認定資格アカデミック認定校(*2)(SS-DBアカデミック認定校)およびHTML5プロフェッショナル認定資格アカデミック認定校(*3)(HTML5アカデミック認定校)として登録されており、両社は以前から交流があります。
NTTソフトウェアは、OpenStackを使ったプライベートクラウド構築・保守運用ソリューションを展開しており、その他にも技術支援としてお客様のもとへ出向きセミナーや勉強会を開催しております。また、LPI-Japanは、2015年10月からOpenStackに関する資格としてOPCEL認定試験(*4)を配信しております。LPI-Japanから弊社のOpenStackへの取り組みに対してご賛同いただき、今回のセミナー開催が実現しました。
セミナー概要


[右の写真]第2回目:講師 越谷(右)、デモ担当 渥美慶彦(左)
本セミナーは2部構成になっており、1部はNTTソフトウェアの「OpenStack入門」、2部はアセアン・ラボ株式会社の「OpenStackのこれからと最新情報」でした。弊社が講演したセッションの資料はSlideShare、SpeakerDeckで公開しております。
両日ともにほぼ同じ目次で講演しましたが、第一回目の講演でご要望のあった内容や追加情報を第二回目の資料に反映していますので、ぜひ両方チェックしてみてください!
第1回目セミナー資料(6/10):
SlideShare http://www.slideshare.net/ssuser70f2c8/openstack-20160610
SpeakerDeck https://speakerdeck.com/nttsoftware/10
第2回目セミナー資料(6/27):
SlideShare http://www.slideshare.net/ssuser70f2c8/openstack-20160627
SpeakerDeck https://speakerdeck.com/nttsoftware/27
6/10の開催風景。100名分の席がほぼ埋まりました!
今回のセミナーは入門編ということで、OpenStackには興味があるが未導入、といったOpenStack初心者が大半を占めました。質疑応答ではたくさんの方に発言していただき、弊社アンケートにも受講者全員にご協力いただきました。ありがとうございました!
ここでは、質疑とアンケート結果からいくつかピックアップしてご紹介いたします。
All-in-One環境ってどうやって作るの?
引用元:http://www.slideshare.net/ssuser70f2c8/openstack-20160627
第一回セミナーで、デモで使用した環境の構築方法やマシンスペックが知りたいという要望があったため、第二回セミナーでは、デモで使用するAll-in-One環境を講演中にリアルタイムで構築するという試みを行いました。
OpenStackのインストーラ devstack を使えば、①Githubからdevstackを入手、②設定ファイルの作成③シェルスクリプト(stack.sh)の実行、の3ステップで誰でも簡単に短時間で環境構築ができることを目の当たりにしていただけたことでしょう。
devstackでAll-in-One環境を構築するには最低4GBのメモリが必要ですが、VMを複数作成したい、コア部分以外のコンポーネントも動かしたい、となるともう少しメモリが必要になってきます。今回のデモでは8GBを用意しました。
OpenStackを知るにはまず自分で動かしてみることです。自分で構築した環境で操作してみると、各コンポーネントの役割が理解しやすいでしょう。
どんな企業がOpenStack導入に向いているの?
いまや、IT企業や通信企業だけでなく様々な企業がサービスの基盤としてOpenStackを活用しています。例えば繁忙期(セール期間、季節のイベント等)の通販サイトやイベント実施中のソーシャルゲームなど、アクセスが急激に集中するようなサービスに柔軟に対応できるのがOpenStackです。
セミナー参加者からは、「金融系のシステムにOpenStackは使えるのか?」という質問がありました。金融系の企業の"社内システム"にOpenStackを導入するのであれば、不可能ではありません。しかし、自社が展開する"金融系サービス"の基盤として導入するのであれば、私たちは安易にOpenStackをお勧めすることはできません。
より高速なトランザクション処理が求められる金融系サービスに対し、OpenStackはネットワーク帯域保証を実現するQoSが未実装であること、また、莫大な数のユーザに対するセキュリティ問題や運用面のリスク等を考慮すると、OpenStackを導入するべきか慎重に考える必要があります。
金融系に限らずどの企業においても、いまのサービスの基盤に本当にOpenStackが必要なのかを見極めることはとても大事です。
弊社では、OpenStackを使ったクラウドの導入におけるコンサルティングも行っており、お客様のもとへ出向いて企業が抱えている課題と今後のOpenStack利用に向けた展望などをヒアリングさせていただいております。導入でお困りの方はぜひ弊社にお問合せください。OpenStackをより有効的に活用できるよう、みなさまのお手伝いをさせていただきます。
OpenStackプライベートクラウドソリューション:
/products/privatecloud/index.html
OpenStackの導入や顧客提案に関する課題はどうすればいいの?
弊社アンケートの結果から、みなさまが不安に思っているOpenStack導入および顧客提案への課題を以下に抜粋します。
課題 | 詳細 |
セキュリティ | セキュリティ全般への不安 |
保守運用 | 自分たちで保守を行うことの困難 |
商用製品(VMWare)と比べて保守サポートが不安 | |
バージョンアップの頻度が多い | |
顧客への提案 | 顧客に理解してもらうのに時間がかかりそう |
実績や知名度がない | |
技術力 | 周囲に経験者が少ない |
性能チューニングなどのノウハウが浅い |
やはりOSS製品ということもあり、保守サポートが不安、という声が一番多かったです。
ベンダー企業が提供しているディストリビューション版を使えば数年間保証されるため安心ですが、有償であり、最新バージョンではないものを使用することになります。
一方、コミュニティ版であれば、コンポーネントを改良したい場合にはソースに手を加えることが可能で、しかも無償です。ベンダーサポートではないため自分たちで保守をすることが困難な場合は、ぜひ弊社にご相談ください。OpenStackを使用したクラウド環境の保守運用サポートソリューションを展開しております。また、お気軽にお問合せいただける「OpenStackチケットサービス」も展開しております。
OpenStackプライベートクラウドソリューション(サービスメニュー):
/products/privatecloud/os_prcld_services.html
NTTソフトウェアに頼めば、OpenStackのことをもっと教えてくれるの?
弊社アンケートの結果から、本セミナーでもっと詳しく聞きたかったこと、今後こんなセミナーを開催してほしい、などの声を以下に抜粋します。
要望 | 詳細 |
NTTソフトウェアの実績 | 導入事例の紹介 |
技術力向上 | ハンズオン形式のセミナー |
コアコンポーネント以外の紹介 | |
導入・構築ノウハウ | 導入時に躓きやすいところ |
導入方法 | |
構築セミナーの実施 | |
環境構成 | Lab環境でのハードウェア情報 |
社内インフラを以降するときの構成例 | |
HAについて |
ハンズオン形式のセミナーをやってほしい、という意見が多かったです。
入門編ということもあり、意図的に基礎レベルの内容を実施しましたが、もっとコアな部分を知りたいという方が多く、OpenStackに関するみなさまの興味の強さがうかがえました。
今回は入門編のみの開催でしたが、より多くの方にOpenStackを理解していただくために、ハンズオン形式や応用編のセミナーもお客様のご要望に応じて開催いたします。
おわりに
本セミナーを通してOpenStackにますます興味を持っていただき、企業へ導入するきっかけにしていただければ幸いです。
NTTソフトウェアでは、商用環境の構築・保守運用に携わっている第一線で活躍中のOpenStack技術者が講師となってお客様のもとに出向き、セミナーや勉強会を開催しています。「OpenStackについて詳しく知りたい」「OpenStack技術者の話を聞きたい」というご要望がありましたらぜひご連絡ください。
その他にも、OpenStackを利用したプライベートクラウドの構築ソリューション、保守ソリューションを積極的に展開しております。お気軽にご相談いただけるチケットサービスも展開しておりますので、OpenStackの導入をお考えの方や既に導入済みの方でOpenStackにお困りのことがありましたらぜひお問合せください。
OpenStackプライベートクラウドソリューション:
/products/privatecloud/index.html
(*1) LPI-Japan:OSS/Linux 技術者認定機関(特定非営利活動法人)
(*2) OSS-DBアカデミック認定校:LPI-Japanが定めた学習環境をクリアした教育機関
(*3) HTML5アカデミック認定校:LPI-Japanが定めた学習環境をクリアした教育機関
(*4) OPCEL認定試験:OpenStackに関する専門知識や構築・運用管理のスキルを認定する資格
OpenStackへの取り組みに関するエンドースメント
特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)
理事長 成井 弦 様
LPI-Japanは、NTTソフトウェア様の、数多くのノウハウを蓄積されてきたOpenStackの運用技術等への取り組みと技術者育成を展開されますことを大いに期待し心より歓迎いたします。

[著者プロフィール]
NTTソフトウェア株式会社
クラウド&セキュリティ事業部 第一事業ユニット
OpenStackを利用したプライベートクラウド基盤開発に1年半従事。
2015年秋からOpenStack Upstream活動を本格的に開始し、Keystoneの新機能(request id mapping)の追加、Nova、Neutron、Keystoneのテストコード作成など、コントリビュータとして様々なプロジェクトに携わっている。