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ワークスタイル変革を推進するRPA/EAI

昨今、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)がワークスタイル変革に欠かせない要素となっています。 実は以前から、業務自動化を実現する手段としてはEAIツールが使われてきました。 新しく生まれたRPAツールと、以前からあるEAIツールについて改めて紹介したいと思います。

こんにちは。NTTテクノクロスの中島陽子です。
昨今、RPAがワークスタイル変革に欠かせない要素となっています。
実は以前から、業務自動化を実現する手段としてはEAIツールが使われてきました。
私がEAIツールと出会ったのは1998年。
新しく生まれたRPAツールと、以前からあるEAIツールについて
改めて紹介したいと思います。

1. 業務自動化を実現するRPAの種類

1.1. 業務自動化を実現するICT

労働生産性を向上させるためには、労働力をより生産性の高い業務へ割り当てていくような働き方の変換が求められます。そのためには、これまで人手がかかっていた定型業務や事務処理をICTによって自動化することが必要です。

業務の自動化を実現するためには以下の3つの方法があります。

業務自動化を実現するICT

業務自動化の効果が短期間で出やすいのは、「EAIによる自動化」「RPAによる自動化」です。どちらとも、既存のシステムを使いながら必要な処理だけを自動化することができます。すべての業務を自動化することはできませんが、自動化する業務が明確になり、効果(短縮時間)が測りやすく、ROI(費用対効果)の算出もし易くなります。

1.2. EAIツールとRPAツール

RPAとは

RPA、すなわち、Robotic Process Automationは、仮想知的労働者(Digital Labor)とも言われ、ルールエンジン・機械学習・人工知能などを活用し、ホワイトカラー業務を効率化、自動化する仕組みです。

※出典: 「働き方改革が進む中、注目を集めているRPA」(弊社コラム記事)

RPA(Robotic Process Automation)とは、業務の効率化・自動化のための仕組みのことです。 その実体はソフトウェアで、実は、EAIツールもRPAの一つです。

ヒューマンセントリックRPAとシステムセントリックRPA

人の操作を中心に自動化するのが一般的なRPAツールに対し、EAIツールはシステムの動きを中心に自動化する、いわば「システムセントリックRPA」です。

ヒューマンセントリックRPAは人の画面操作を自動化、一人の従業員の作業をロボット(RPA)で置き換えます。システムセントリックRPAはシステムの動きを中心に自動化しますが、そもそも、システムの動きは自動化しているのではという疑問が生じます。システムセントリックRPAは、システムとシステムの間にある、本来であればシステム化(自動化)したいが、システム化(自動化)されていない処理をロボット(EAI)で置き換えます。例えば、「SFAシステムに蓄積された新規顧客データを基幹の顧客マスタに日々登録する」とか、「コンタクトセンタシステムで問い合わせを受け付けた時点で、基幹システムから該当する顧客マスタを参照する」などがそれに該当します。

それでは、EAIツールとRPAツールでは自動化できる業務にどのような違いがあるのでしょうか。
自動化したい業務をEAIツールが得意な業務、RPAツールが得意な業務に分けてみました。

EAIツール・RPAツールが得意な業務

EAIツールが得意な業務がRPAツールで自動化できないというわけではありません。この分類はあくまでも一般論であり、それぞれのツールが得意でない業務でも自動化できるケースは存在します。

たとえば、Wordファイルの作成をEAIツールで実現する場合は、EAIツールがWebアプリケーションのデータにアクセスすることができれば、そのデータをもとにWordファイルを作成することが可能です。

一方、「データのダウンロード」をRPAツールで実現する場合は、クラウドシステムにデータダウンロード機能(という画面操作)があり、その操作をあらかじめ手順化できるのであれば、RPAツールでも実現できます。しかし、ダウンロード画面があっても、細かい条件指定やダウンロード画面にない条件でダウンロードしたい場合など、EAIでないと実現が難しい場合があります。

このように「業務を自動化したい」という目的を達成するためには、自動化したい業務に合わせたツールの選定が必要となります。

EAIとは

ここで、EAIについて少し詳しくご説明します。

EAI(Enterprise Application Integration)とは企業内外のさまざまなシステム間でビジネスプロセスやデータを連携させるための仕組みや技術のことです。フォーマットの異なる、膨大な量のデータを「つないで、まとめて、取り出せる」データ連携のHUBとなります。

先ほど、システムセントリックRPAは、システムとシステムの間にある、本来であればシステム化(自動化)したいが、システム化(自動化)されていない処理をロボット(EAIツール)で置き換えるものであると言いました。

EAIツールには、システムと連携するためのアダプタや、連携処理をつくるための画面が準備されています。従来のシステム開発のように、SQLやコードの記述は必要ありません。EAIツールを使えば、元のシステムに手(改造)を入れることなく、専門的な知識も必要なく、システムとシステムの間にある処理をシステム化(自動化)することができるのです。

2. まとめ

2.1. 本当の目的は労働生産性の向上

これまで「業務の自動化を達成するにはどのようなツールを使えばいいのか」という話をしてきました。

私たちがやらなければならないのは、実は「業務の自動化」ではありません。ましてや「RPAツールやEAIツールの導入」ではありません。「労働生産性の向上」です。

「ツールで自動化できそうな業務を自動化する」といった導入の仕方では「生産性の向上」とい成果は出ません。

では、どのような「業務」を自動化すると「生産性が向上」するのでしょうか。

業務の自動化による労働生産性の向上

この図の通り、元の業務が、案件データの投入、見積作成、案件データと見積の確認と承認、見積をPDF化してメール送付というというような業務の生産性を向上したい場合、案件データの投入や見積作成、メール送付といった単純な定型作業を自動化しがちです。ですが、実は「案件データと見積の確認と承認」に20分の時間がかかり、見積書は1時間当たり3件にしか送付ができません。だからといって、自動化しにくい処理は、やはり自動化しにくいものです。
このようなときは、

  • 一部の作業(案件データと見積の整合性の確認)だけを自動化する
  • 案件データと見積の整合性の確認作業をなくせないのか(案件データから自動的に見積が作成されれば確認が必要なくなるのか)

などを検討してみてはいかがでしょうか。

業務の自動化の効果は目の前の業務の生産性向上だけではありません。

業務の自動化による主な効果:

  • 生産性の向上
  • ミスをなくす
  • 長時間の単純作業からの解放
  • 高付加価値労働への配置転換
  • 情漏洩対策

例えば、業務を自動化することでミスがなくなれば、これまで人手を介すことで発生していた、ミスを発見するための目視によるクロスチェックや、ミスを訂正する作業も減らすことができます。また、人手を介さないことで情報漏洩リスクを減らすことにもつながりますRPAツールやEAIツールが適用できる範囲は非常に多岐に渡ると思います。まずは、身近な業務の自動化を検討し、働き方を見直してみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール
中島 陽子
中島 陽子

NTTテクノクロス株式会社
ビジネスソリューション事業部