VMWareの移行先になるか?新しいクラウド技術MicroCloudとは
MicroCloudを利用するメリットや導入事例をご紹介します。VMWareの移行先の検討にあたり参考にしてください。
はじめに
こんにちは。VMWareのライセンス価格の高騰により、VMWareからの移行先としてOpenStackなどのクラウド技術を検討されている方もいるのではないでしょうか。
今回は導入が容易な新しいクラウド技術、MicroCloudについてメリットや導入事例をご紹介します。
またMicroCloudはCanonicalが開発をしており、弊社で提供しているUbuntu Pro日本語窓口はこのMicroCloudのサポートも含んでいます。本記事の最後にはUbuntu Pro日本語窓口の紹介もしていますので、ぜひ最後までお読みください。
MicroCloudとは
MicroCloudは「エッジでのオンデマンドコンピューティングに適した軽量、多機能でシンプルなクラウド」です。またシンプルさ、セキュリティ、自動化を念頭に設計されており、導入と保守にかかる時間と労力を最小限に抑えることができます。
MicroCloudはコアとしてLXD Clusterが動作しています。システムコンテナおよび仮想マシンマネージャであるLXD、分散ストレージソフトウェアのCeph、仮想ネットワークを作成するOVNの3つをSnapで管理し、MicroCloudはこれらを用いた環境を簡単に構築することができます。
公式ドキュメントより引用
他のクラウド技術の一例としてOpenStackがありますが、OpenStackとの大きな違いはクラウドの構築にかかる労力がとても小さく済むことです。
本番環境として使用するには、クラスターメンバーとしてメモリ32GB以上の物理マシンを少なくとも3台用意することが推奨されています。仮想マシンをクラスターメンバーとして使用することは非推奨です。
導入事例
カナダの オンタリオフランス大学でMicroCloudが導入された実績があります。
同大学ではLearning Management Systemを用いて生徒が学習を行っているようですが、生徒数が急激に増加する可能性があり、将来的にどのくらいの人数に拡大するかが予想できない状況だったようです。
学習環境の用意にあたりMicroCloudを使用することで、ネットワークの設定などの準備に時間がとられなくなり、結果として以下のような恩恵を受けているようです。
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・研究や講義に急にサーバーが必要になった場合にも、迅速に環境の用意ができるようになった。
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・小規模なIT運用チームでも導入が可能になった。
MicroCloudを導入するメリット
実際に導入された事例をご紹介しましたが、MicroCloudを利用することで具体的にどのようなメリットが得られるのかをご紹介します。
単一のコマンドによりクラウド環境を構築可能
MicroCloudはクラスタ導入時にマシンでmicrocloud initコマンドを実行し、クラスタに参加するマシンでmicrocloud joinコマンドを実行します。コマンド実行時の対話型の設定により、CephやOVNを含む環境を簡単に構築することができます。
システムコンテナと仮想マシンをサポート
LXDを用いていることから、システムコンテナ(LXC)と仮想マシンのいずれも使用することが可能です。
DockerやPodmanがアプリケーション単位のコンテナであることに対して、システムコンテナはVMのようにコンテナを一つのノードとして利用することを想定しています。システムコンテナは、仮想マシンよりも高速で軽量に実行できます。システムコンテナはカーネルとしてホストOSのカーネルを利用しますので、システムコンテナのOSが必要とする機能はホストOSと互換性を持っている必要があります。
そのためMicroCloudでLXDを使用するにあたっても、これらの必要な機能がすべてホストOSのカーネルと互換性がある場合、システムコンテナを使用できます。システムコンテナを実行する場合、仮想マシンよりも高速で軽量に実行することができます。
一方でホストとは異なるOSを使用したい場合は仮想マシンを使用することになります。
Snapによる手軽なパッケージ管理
SnapとはUbuntuを提供するCanonical社が開発した、Linuxパッケージ管理システムです。Snapではアプリケーションが依存するライブラリ等もひとまとめにしてパッケージングされているため、バージョン管理が容易である、ディストリビューションをまたいで利用できるなど、数々の利点があります。
LXD Snapがもつさまざまな機能を利用可能
LXD Snapは様々な機能を提供しており、MicroCloudとしてこれらの機能を利用することができます。主な機能を以下に示します。
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・LXD APIにリモートでアクセスする際に、TLSクライアント証明書/OpenID Connect認証を行うことができます。
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・Ubuntu Proのサブスクリプションに含まれたRBACを使用可能です。監査役、ユーザー、オペレーター、管理者ごとにロールを設定することが可能です。
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・異なる目的や顧客ごとにLXDプロジェクトを作成し、プロジェクトの中でインスタンスを管理することができます。インスタンスはプロジェクト間で共有することはできません。プロジェクトごとにネットワークやストレージなどの設定を独自に行うことも、defaultプロジェクトの設定を継承することもできます。
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・ユーザーグループを作成し、グループ内の全てのユーザーに制限付きLXDアクセスを付与することができます。
UbuntuProの商用サポートを受けることが可能
優れたソフトウェアであっても、サポートがなければ商用環境における利用にはリスクが伴います。MicroCloudは以下にあるとおり、CanonicalのUbuntu Proを購入することでサポートを受けられます。
https://jp.ubuntu.com/microcloud
弊社ではCanonical社が提供しているUbuntu Proサービスの日本語窓口および、円建てによる販売をしております。Ubuntu Proで利用できる各種サポート、サービスについては以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
Ubuntu通信:Ubuntu OS 20.04の標準サポート期間がもうすぐ終了...Ubuntu Proで長期サポートを手に入れよう!
終わりに
今回はMicroCloudについて紹介しました。VMWareからの移行先の候補となるOpenStackと比較すると、構築に労力のかからない点が大きなメリットかと思います。
前述したとおり、弊社はMicroCloudのサポートを含むUbuntu Proサービスの日本語窓口および、円建てによる販売をしております。MicroCloudやそのほかのシステムにおけるUbuntuを用いた環境構築やアップグレードのご相談、構築後の保守運用に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください。

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