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Android最新技術動向(AndroidStudio2.2編)

数回に分けて、Google I/O 2016での最新情報のうち、Android関連のトピックについて、紹介しています。今回は、Androidアプリの公式開発環境である Android Studio 2.2 をご紹介します。

はじめに

こんにちは。NTTソフトウェア株式会社の神原です。Androidで広がる世界の第12回です。

前回は、Google I/O 2016(Google社主催の開発者向けカンファレンス)にて紹介されたトピック、および、 Android N Developer Preview 3 + Daydream をご紹介しました。今回は、Androidアプリの公式開発環境である Android Studio 2.2 をご紹介します。I/O 2016の時点では、Android Studio 2.2 Preview 1が発表されていましたが、その後、バージョンアップが繰り替えされ、現在は、2.2 Preview 6が公開されています。それでは、この最新バージョンを用いて、Android Studio 2.2から追加された便利な新機能を幾つか紹介していきます。プレビュー版のため、仕様や振る舞いが今後変わる可能性があります。その点、注意しましょう。

(その1)新しいレイアウトエディタ&レイアウト

Android Studioのレイアウトエディタが新しく生まれ変わりました。デザイン画面に、 ブループリント(青背景の画面) が追加され、レイアウトの配置状態を確認し易くなっています。レイアウトエディタも、以前より操作し易くなった印象を受けます。

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さらに、 ConstraintLayout という新しいレイアウトが追加されました。ConstraintLayoutでは、レイアウトとビュー、ビューと別のビューの間に、どれくらいの幅を持たせるかなど、さまざまな制約(関連)を付けることができます。これを活用することで、従来は複数のレイアウトを組み合わせなければならなかった複雑な画面を、柔軟に開発できるようになりました。結果的にレイアウトの階層が浅くなるため、UIの性能改善にもつながりそうですね。

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配置したビューを自動的に判定し、制約を付与してくれる AutoConnect というモードも準備されています。U字磁石アイコンをタップすることで、AutoConnectのON/OFFを切り替えることができます。AutoConnectは便利ではあるのですが現状、意図したとおりに制約が付与されない場合があるため、手動での制約追加と組み合わせて使うのが良さそうです。

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もう少し詳細な操作方法などは、今後の記事で取り上げたいと思います。

(その2)APK Analyzer

Androidアプリ(apkファイル)を読み込ませることで、その中のフォルダやファイルの内容、サイズを確認できます。ファイルサイズについては、生ファイルのサイズ(Raw File Size)に加え、apkファイルをPlayストアで公開したときに占めるサイズ(Download Size)も表示されます。

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モバイル通信環境が潤沢ではない地域へアプリを配信するときなど、apkのファイルサイズに配慮すべきとされています。そのため、apkサイズを小さくする必要があるときにも本機能が役立ちそうですね。

(その3)Merged Manifest Viewer

AndroidアプリのAndroidManifestファイルは、ビルド時に、モジュールのbuild.gradleの内容などにより該当要素が上書きされ、apkファイルの中に同梱されることになります。Merged Manifest Viewerを使うことで、AndroidManifestファイルが最終的にどのような内容になっているかを確認できます。

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アプリのデバッグ中に意図通りに動作しない事象に遭遇することがあると思います。そんなときは、本機能を用いて、AndroidManifestファイルの内容も確認するとよいですね。

おわりに

今回はここまでとさせていただきます。Android Studio 2.2には、今回紹介できなかった魅力的な機能がまだまだあります。次回以降でご紹介したいと思います。Android Studioは基本的に旧バージョンと共存できるため、まずは最新版の機能を試しながら勘所をつかみ始めるとよいかもしれません。次回の記事も読んでいただけると幸いです。お楽しみに!

参考URL

Androidで広がる世界(本ブログのトップページ)

Android Nの世界(Android最新技術動向(Android N+Daydream編))

著者プロフィール
神原 健一
神原 健一
新技術開発を好み、Androidは正式版が出る前から試用するなど、公私にわたってモバイルの世界に没頭。 プライベートで開発した「セカイフォン」で、 Multi-Screen UX Competition優秀賞受賞。MWC(バルセロナ)/IFA(ベルリン)/CES(ラスベガス)へのプロダクト出展、 国内外(デブサミやDroidconなど)のセミナー講演や書籍執筆(単著・共著含め5冊)などの活動も行っている。NTTテクノクロスきってのモバイル技術者。 プライベートでは旅行が好きで、現地の外国人にセカイフォンをデモすることが密かな楽しみ。