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今、注目のスマートスピーカー、企業やビジネスシーンでも使えるか?!

注目を集めるスマートスピーカー、なぜ注目されているのか?

注目を集めるスマートスピーカー、なぜ注目されているのか?

米国ではすでにかなりの数が普及している家庭向けスマートスピーカー。日本でも昨年から急速に存在感を増していますが、情シス担当者の皆さんはどのように感じていますでしょうか?「たいしたことはできなさそう」「結局、単なるスピーカーに落ち着くのでは?」「音声操作はシャイな日本人には向かないでは?」など、少し斜に構えた見方をされる方もいらっしゃるかもしれません。

スマートスピーカー

ご存知のように、スマートスピーカーは、声をかけるだけで、音楽を流してくれる、情報検索して読み上げてくれる、必要なものを注文してくれる、家電と連携して操作してくれる、などの使用方法があります。しかし、このような使い方は特に目新しいものではなく、例えば、パソコンやスマートフォンからでも同じことは実現できます。スマートスピーカーの新たな着眼点は、子どもから大人まですべての人が操ることができる"音声"を新たな入力インタフェースとして、様々な操作が高度に可能になったという点がもっとも大きい変化であると考えられます。

これまでに、コンピュータを操作する入力インタフェースとして、様々な手段が確立されています。最も普及されているのは、キーボードでの文字入力であり、マウスの操作ですが、その他にも、画像認識を利用した動き(ジェスチャーなど)もあります。そこに、新たな手段として、人間同士のコミュニケーションが最も発達している"音声"が加わることにより、多くの可能性が広がるのではないかと予測されているのです。

また、その精度や用途についても、注目を集めています。昨今のスマートスピーカーでは、複数のマイクを搭載し、ノイズリダクションやビームフォーミングなどの技術によって、音楽が流れている環境でも、あるいは部屋のどこから話しかけても、ユーザーの音声を認識しやすいような工夫が凝らされています。

音声認識

そして、それ以上に重要なのが、このデバイスが、Amazon Alexa、Apple Siri、Googleアシスタントといった仮想パーソナルアシスタント(VPA)を利用するための"プラットフォーム"であり、今後も会話型インタフェースの精度向上や高度化が図られ、用途についても日々拡大されているという点です。

すでに一部の銀行などでは預金の残高照会、入出金明細も連携して教えてくれますし、大手の賃貸アパート数千戸に基盤を導入済みで、スマートスピーカーを購入すればすぐに家電制御が可能になっているようです。とにかく、高機能なデバイスが安価で簡単設置できることが普及を加速して、それに伴って関連する企業のスマートスピーカーへの対応ますます増加、充実しているようです。

ビジネスシーンへの活用は、進んでいくのか?

さて、情シスの皆さんは、ここまでを読んでどう感じましたでしょうか?「でも、結局家庭用でしょ?」「会社にスマートスピーカーが置いてあるのは想像できない」とお感じになっているかもしれません。しかし、これまでの直近10年のテクノロジーの進歩を思い起こしてください。スマートフォンが登場した際、ここまでビジネスシーンに密着した姿を想像できたでしょうか?企業のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使った情報発信が当たり前という世界が考えられたでしょうか?当時はビジネスシーンへの適応に関して、結構多くの方が否定的な見方をしていましたが、現実は逆ですぐに普及しています。

パーソナル・テクノロジーは目覚しい進歩を遂げ、優れたテクノロジーや人間の欲求を満たすサービスは瞬く間に普及し、生活に密着します。その便利さや重要さは、すぐさまビジネスにも直結し、スマートフォンやSNSのように、ビジネスシーンでも使うことが当たり前になってくるのです。近年では、その定着スピードも指数関数的に増して来ると言われています。

サービス連携""

今回の例としてあげたスマートスピーカーも、AI時代においてはとても重要なデバイスであり、入力インタフェースとしてまったく普通に利用されていくでしょう。性能向上やサービス拡大が目覚しい勢いで起こり、当初感じることもあった抵抗感もなくなり、日常生活に密着した形になっていくことでしょう。その流れは、当然ビジネスシーンにも波及し、様々なAI技術と連携して、より生産性を高める動きになると考えられます。

例えば、「xxに関する会議を設定しておいて」という声を部下にかけるのと同じようにスピーカーに話しかければ、参加メンバの調整、会議室やweb会議の予約、会議に使う資料の登録などをAIが実行してくれるような時代が来る日も近いでしょう。

"流行のテクノロジー"を「いかにビジネスに利用できるか」という視点で眺める

今回話題として取り上げたスマートスピーカーはあくまでも一例にすぎず、パーソナル・テクノロジーの多くは、ビジネスシーンにも大きな影響をもたらす可能性が大きいと考えます。既に、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)は、現実世界とデジタル世界を融合させるテクノロジーとして、保守・修理、設計・開発、社員研修などに変革をもたらすことが期待され、実験も開始されています。

そのほかにも、ウェアラブル・デバイスなど、ビジネスシーンに関係なさそうなものでも、「いかにビジネスに利用できるか」という視点で眺めることも、「攻めの情シス」には必要なことといえるでしょう。もちろん、企業でこうしたテクノロジーを利用する場合には、情報セキュリティ面での配慮も大いに必要ですし、家庭利用よりも複雑な要件が絡むため、決して安直に利用するわけにはいきません。しかし、情シスが迅速に十分に検討を行った上で、いち早く"自社にとって有効な使い方"を見出して会社に提案できれば、競争力につながることは間違いないでしょう。

有効活用""

また、現在の情シスの役割としては、ニーズをかたちにするだけにとどまらず、技術を持っているビジネス・パートナー、あるいは他業種の人々の意見などにも耳を傾けながら、自社の潜在的なニーズが何なのかを探ることも必要になってきています。その意味でも、今回のコラムで取り上げたようなパーソナル・テクノロジーも含めて、幅広い分野の動向にアンテナを張り巡らせることは決して無駄とはいえません。むしろ、多角的で先入観のない嗅覚や観点をやしなうことにつながり、それ自体が"攻めの情シス"の有力な武器となるのではないでしょうか。

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