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変化を遂げる情報システム部門の実際-その2-

ICT業界の情報システム部門で実際に業務に従事されている方にインタビューを行い、システムを導入するために必要な事前検討の重要性について、さらには"要らない情シス"や"理想の情シス"の姿、さらに今後の展望を伺いました。

〜未来に向かう、情シスの姿〜

今、情報システム部に求められる役割は確実に変化しています。「"情シス不要論"は本当?これからの情報システム部に求められる役割とは」では、「守りの情シス」から「攻めの情シス」への転換について、考えてみました。

また、前回の記事では、ITの時代の流れと、社内ユーザの声に答えようとする情報システム部門の状況。具体的なクラウドサービスの導入での苦労について語っていただきました。

今回は、システムを導入するために必要な事前検討の重要性について、さらには"要らない情シス"や"理想の情シス"の姿、さらに今後の展望を伺いました。

お話を伺った方

社員数2,000名弱のSIer勤務。入社16年目。12年の開発経験を経て、4年前に情報システム部へ移動。基幹系システムに関する企画・開発・維持運用のチームリーダ。

導入するだけが仕事じゃない!

ユーザの要求が多様化・高度化していく中で、企業規模が大きくなればなるほど、変化には大きな労力が必要となります。それはシステム自体の規模が大きいこと、利用者が多いこと以外に、連携するシステムが数多く存在することや、情報システムに関連するセキュリティ等のルール、関連する組織が多いことも理由の一つです。

さらに、対象となるシステムの社内での存在価値が大きいほど、導入後の維持管理にかかる工数も大きいと言えます。

「当社では、業務を企画・開発・維持管理のフェーズで分けて管理していますが、チーム全体をみると、維持管理に割かれている時間はやはり大きいですね」

情報システム部門の仕事は、システムの入れ替えを行うだけではもちろんありません。会社の状況を俯瞰的に捉え、会社全体のプロセスをシステムと運用、利用状況など様々な局面から理解を深め、常に最適解を導き出す必要があります。そこには、当然システム導入後の維持管理フェーズも含まれており、なるべく負担の大きい維持管理の省力化を考慮する必要があります。

今の時代だからこそ、BPRが重要

インタビューを行った企業では、時代の変化に伴い、企業としても大きな変化を起こす必要がありました。

「当社では、従来開発期間が長く、1契約当たりの受注金額が大きい案件を処理することを前提にしたオンプレミスのシステムを構築していました。しかし、現在は、開発期間が短くなり、案件規模が小さいものを数多くこなす必要性が出てきています。お客様もスピードを求めているのです。ところが、当社では、その販売プロセスに見合ったシステムになっていないのです。」

では、システムを変えればいい、のでしょうか?どうも、そうではないようです。

「システム側の課題と同時に、組織構造や業務プロセスにも問題があり、改善の必要性があると考えています。もちろん、システムで改善できる点は変えていきます。しかし、それ以上に組織やルール、会社の戦略が重要になってきます。会社の戦略に基づき、権限設定やルールがあってのシステムですので、システムを変えればいいという話ではないのです。」

つまり、システムを改修することは、全体の変化の中の"ごく一部"と言えます。社内からシステムのリプレースの要望があることは認識しつつも、情報システム部門だけでは全てを改善することはできません。

「社内システムのリプレースするときには、業務プロセス改革というセクションと密接に連携します。業務プロセスの改革も検討しながら、ルールの変更も行い、慎重にリプレースを行なっていく必要があるのです」

システムを導入する際には、技術的なアプローチだけでは決して解決しません。社内のBPR(Business Process Re-engineering)を行い、業務"全体"の要求仕様を定義して、進めていくことが必須となります。クラウドサービスを利用する場合にも、BPRの必要性はさらに高まるでしょう。なぜなら、クラウドサービスは独自仕様で作りこむシステムとは異なり、使用上の制約事項が非常に多く出てくることが一般的だからです。

ユーザは時代の流れを身近に感じているからこそ、情シスに変化を求めます。一方で、情シスも時代の変化を吸収したいという強い思いはありながらも、簡単に進めることはできません。プロフェッショナルであるからこそ、スピード感を意識しながら、慎重に進めているのが実態のようです。

こんな"情シス"は不要?

これまでのインタビューを通じて、情報システム部門は、時代の変化を認識し、ユーザの声を聴き、全社を俯瞰的に捉え、フィット&ギャップを行いながら、導入後も見据えて、慎重に変化をもたらす存在である姿が見えてきました。

では、"情シス不要論"といった声に対して、どのような考え方を持っているのでしょうか?

「会社全体のデータの流れを整理するという役割は残るので、組織自体がなくなることはありません。それでも、仕事やシステムの効率化により、なくなる仕事はあります。そうすると、自分の仕事がなくなる人もいるでしょう。

なくなっていく仕事についていると思っている人は、自分自身で認識しているので、システム化やリプレース、新技術への対応に消極的になる可能性があります。あまり積極的になりすぎると、自分で自分の仕事をなくすことにつながりかねない。つまり、変化に積極的ではない人たちがいる情シスが、不要論に合致するのだと思います。」

AI(人工知能)の進化と同時に、「シンギュラリティ」という単語が話題となっています。「シンギュラリティ」は、技術的特異点(Technological Singularity)、つまりAIが人間の能力を超える時点のことを示し、その時点は2045年とも言われています。その時点においては、現在人間が担っている仕事の数十%をAIが搭載されたコンピュータが肩代わりするとも言われています。

「シンギュラリティ」を超えた社会では、何が起こっているのでしょうか?かの有名な映画のように、AIが支配する社会になっているのでしょうか?理想的には、人間がAIを上手に使いこなし、日本では少子高齢化による労働人口の減少をAIがカバーし、人間として豊かな生活を送っていることでしょう。つまり、今後企業に求められるのは、人間による知的生産性、AIを中心とした技術革新の目利きと積極的な取り入れとそれを使いこなす技術、にあるのではないかと考えられます。

インタビューにおける「変化に積極的ではない人たちが"情シス不要論"にあたる」という意見は、今後数十年後に迎える可能性がある「シンギュラリティ」の時点で、そのような情報システム部門の人たちが淘汰されてしまう危険性を秘めているということが言えます。逆説的には、積極的に変化を取り入れようとする情報システム部門の人たちは、「シンギュラリティ」の世界で企業活動のカギを握るとも言えるのではないでしょうか。

"攻めの情シス""守りの情シス"本当の意味は?

情報システム部門を定義する上で、様々な記事において、"攻めの情シス"、"守りの情シス"という単語が使われています。では、"攻め"と"守り"について、どのような意見を持っているのでしょうか?

「"攻め"も"守り"も情報システム部門では非常に大切だと考えています。どちらも兼ね備えた情シスが理想の情シスだと思っています。"攻めの情シス"は、将来像に向けて新しいことも含めてどんどん実行するとともに、社内を説得することも行うというイメージです。"守りの情シス"は、否定的な意味ではなく、「会社を守る」という意味として私は捉えています。会社のルールは、会社の社会的な責任を果たすためにあります。そのルールを守ったり、考慮したりするのが"守り"だと考えています。

双方のバランスをみながら、『落としどころを探る』。お堅いだけではダメです。新しいことがしたい時は、ある程度の責任は自分がかぶるという覚悟も求められると思っています。そうでなければ、社内を説得できません。」

情シスほど可能性が広がる職場はない

情報システム部門の業務は、社内全体を統制する意味で非常に重要です。しかし、その変化には情報システム部門だけではなく、規模が大きくなればなるほど全社的な取り組みとなります。スピード感を求められながらも、システムの関連性やルールなどのしがらみを一つ一つ紐解きながら、着実に進めていく胆力が必要となるということが分かりました。

また、時代の変化や技術の進歩を理解する立場にあり、積極的になるほど効率化され、自分たちの仕事がなくなっていくというジレンマを感じていることも分かりました。

しかし、今後の更に発展する情報化社会において、AIの発展により益々の効率化が求められる際、それを使いこなせる人材として、情報システム部門の重要性は高まってくるのではないでしょうか。

最後に、情報システム部門で働く人たちに向けた一言をいただきました。

「情シスの面白さは、会社全体の仕組みやデータの流れが分かるところだと思っています。情シスに異動してきて会社全体が見えるようになりました。視野が広がったのです。情シスは自分で視野を広げようと思えばどこまでも広げることが出来るところです。動き回ることで、社内でも味方がどんどん増えていきます。

チャレンジすること。

そうすることで、自分の興味が持てる他の可能性や、自分の進みたいキャリアも見えてきます。情シスの仕事が面白かったら情シスにいればいいし、他の部署がいいなと思えば他の部署に行けばいい。それを見つけやすい部署ではないかと思っています。」

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