Ubuntu通信:OpenStack LTSの12年サポートが発表されました
今回は、OpenStack LTS 長期サポートについてご紹介いたします。
こんにちは、NTTテクノクロスの越谷です。
前回のUbuntu通信では、Kubernetes 1.32以降のLTS版に関する12年サポートについての記事を紹介しました。
参考:Ubuntu通信:Kubernetes1.32の12年サポートが発表されました | NTTテクノクロスブログ
実はKubernetesのほかに、OpenStack LTS版についても12年サポートが提供されるようになりました!
今回はこちらについてご紹介いたします。
OpenStackサポートの概要:
https://canonical-openstack.readthedocs-hosted.com/en/latest/reference/release-cycle-and-supported-versions/
※Canonical社のサイトへ飛びます
OpenStackとは?
OpenStack(オープンスタック)とは、オープンソースで開発が進められているクラウド基盤ソフトウェアです。2010年に米Rackspace Hosting社とNASAの共同プロジェクトとして開発を開始し、現在は非営利法人であるOpenStack Foundationによって管理されています。OpenStackは、IaaS(Infrastructure as a Service)として、仮想マシンやネットワーク、ストレージなどのリソースを制御するコンポーネントを多数提供します。
近年、VMwareのライセンス形態変更の影響により、仮想環境を見直すユーザが増え始め、利用コストの削減(OpenStackはOSSのため無償)の観点からも移行先のひとつの選択肢として検討されています。
Canonical社が提供しているUbuntu商用技術サポート『Ubuntu Pro』の保守サポート内容にもOpenStackが含まれており、NTTテクノクロスがリセールをしています。NTTテクノクロスはOpenStack技術者が多数在籍しています。
OpenStack LTSを12年サポートします!
OpenStackのリリースサイクルはUbuntuとほぼ一致しており、通常年2回(4月と10月)リリースされます。
今回Canonical社から、2024年以降のすべてのOpenStack LTSバージョンに対して、Ubuntu ProとLegacy Supportアドオンを購入することで、最大12年間のフルサポートが提供されることになりました。
以下にUbuntu公式ドキュメントの内容を抜粋します。
Canonical OpenStack
Sunbeam(※)でデプロイされたOpenStackクラウドは、バージョン2024.1以降、すべての LTS バージョンにおいて、Ubuntu Proに加えてLegacy Supportアドオンを購入することで12年間セキュリティメンテナンスとフルサポートを提供します。
(※)OpenInfra Foundation(OIF)の監督下にあるアップストリームプロジェクトで、OpenStackの導入を容易にして自律的なプライベートクラウドの基盤を確立する
フルサポートは、2番目の中間バージョンごとにも提供されます。よって、ユーザはLTSバージョンリリース後2年間、スキップ レベル アップグレード リリース プロセス (SLURP) メカニズムを使用して、サポートされているバージョン間で安全にアップグレードできます。
Canonical OpenStack (Sunbeamベース)のリリースサイクル:
OpenStack Charmsを使用してデプロイされた、またはCanonicalによって検証されたOpenStackクラウド(Charmed OpenStackクラウド)については、Queens LTSまで遡って12年間セキュリティメンテナンスとフルサポートを提供します。
Canonical OpenStack (OpenStack Charms ベース)のリリースサイクル:
Ubuntuバージョン
Canonicalは、Ubuntu Serverの最新のLTSバージョンの使用を推奨していますが、OpenStackの新しいバージョンを実行しながら、Ubuntuの1つ古い(n - 1) LTSバージョンを使用することもできます。
OpenStackパッケージ
公式アーカイブのOpenStackパッケージを使用するサードパーティツールで構築されたOpenStackクラウドについては、フルサポートは受けられませんのでご注意ください。
Ubuntuアーカイブ (UA)を通じて提供されるOpenStackバージョンは、すべてのLTSバージョンのUbuntuに対して最大12年間のセキュリティメンテナンスが提供されます。しかし、Canonicalは本番環境でのUbuntuのLTSバージョンのみを使用することを推奨しているため、デフォルトでは利用可能なOpenStackのバージョンが1つに制限されます。
そのため、Canonicalは追加のアーカイブ (Ubuntu Cloud Archive (UCA))を維持して、Ubuntu LTS上でOpenStackの新しいバージョンへのアクセスを提供しています。UCAを通じて提供されるOpenStackバージョンは、短期間 (通常18 か月または 36 か月) 維持されます。
Ubuntu上のOpenStackパッケージのリリースサイクル:
最後に
今回は、OpenStack LTS 12年サポートについてご紹介しました。現在、VMwareからの仮想環境の移行を見直し中の方は、ひとつの候補としてOpenStackクラウドを検討してみてはいかがでしょうか。
弊社は、Canonical社が提供しているUbuntu Proサービスの日本語窓口および、円建てによる販売をしております。Ubuntuを用いた環境構築、構築後の保守運用、OpenStack, Kubernetesなどの技術支援に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください。

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