情報畑でつかまえてロゴ
本サイトは NTTテクノクロスが旬の IT をキーワードに
IT 部門が今知っておきたい最新テクノロジーに関する情報をお届けするサイトです

OpenStack Summit 2017 Boston速報 1日目

OpenStack Summit 2017 Bostonの報告・第一弾です。

本記事に関するお問い合わせ先: https://www.ntt-tx.co.jp/products/privatecloud/index.html


ボストンからこんにちは!

ボストンでは5/8~11の4日間、OpenStackコミュニティ最大の会合、OpenStackサミットが開催されています。
OpenStackサミットは半年に一度開催され、利用者や開発者が知見や新機能等の紹介をしたり、マーケットプレイスでOpenStack関連ソリューションの展示がされたりします。
開発者向けの会合が『PTG』という名称で別のイベントとして分離されたりと、近頃変化に晒されてはいますが、OpenStackコミュニティ最大の会合であることに変わりはありません。

そんなOpenStacSummit 2017 Bostonについて、本日から毎日、ホットな情報をお届けしたいと思います。
※なお、本記事の記述は概要に留まります。見聞きしてきたセッションのより詳しい情報は、後日別記事にてご紹介する予定です。そちらもご期待ください!

1日目の本日は、キーノート・興味深かったセッション・マーケットプレイスミキサーの様子をご紹介いたします。

ちなみに、2011年のEssexバージョンリリース時期に同じくボストンでOpenStackサミット(当時はデザインサミットという名称)が開催されましたので、今回はOpenStackが6年ぶりにボストンに帰ってきたかたちです。

■キーノート

例年通り、サミットはキーノートから始まりました。

キーノートでは、半年間の総括や今後の展望、またスーパーユーザー(最も優れた利用者に贈られる賞)の授賞式等が行われます。

まずはOpenStackファウンデーションのエグゼティブディレクター、ジョナサン・ブライスがテニスラケットを携えて(!)登場。
彼が司会を務めます。

今回のサミットでは、新しいタイプのセッションが用意されていることの紹介です。
1つはForumと呼ばれるもので、これは開発者や利用者など、立場の異なる参加者が機能について対等に話し合える場です。
もう1つがOpen Source Daysで、これはOVSやOPNFV、CephやAnsible等、OpenStackに関わりの深い他コミュニティの識者を招き、新機能等の解説をしてもらうセッションです。

我々はプライベートクラウド利用の大きな転換点に来ているという話もありました。
これまでのクラウドを第一世代、これからのクラウドを第二世代と分類し、各々の差異を比較していました。
全ては書いていると長くなってしまいますので、要約してしまえば以下と言えるでしょう。

第一世代は技術や機能(Talent)の革新だった。
それに対して、第二世代では組織文化やプロセスに革新がもたらされる。
つまり、クラウドにKubernetesやCloud Foundry等の技術が組み合わさることによって、開発やデプロイの方法論に変革が起きる。

また、IoTの話題も盛んでした。
ちょうど約一年前に開催されたAustinサミットの時点では、漠然と「IoT」という呼び方をしているケースが多かった記憶がありますが、今回のサミットではIoTはIoTでも「Fog」や「Edge」など、よりターゲットを絞り込んだ上での言及が増えている印象を受けました。
これは、実際に活用が進んできて、イメージが具体化された結果ではないかと思われます。

スーパーユーザーは4社(CityNet社、CSAIL社、Paddy Power Betfair社、ukcloud社)が候補に挙がりました。
結果は......なんと史上初、Paddy Power Betfair社とukcloud社が1位タイで同時受賞となりました!
栄冠に輝いた2社は、前回のスーパーユーザーであるチャイナモバイル社から表彰を受けました。

上記以外にも、Version、DirecTV、GE、アメリカ陸軍(の教育担当)、Mirantisなど名だたる大企業の講演があり、例年通り非常に華やかに進行したキーノートですが、一点気になったのが参加人数に関する言及がないことでした。
これまではサミット参加人数の増加に言及し、盛り上がりの論拠としていたのですが、今回そのくだりがキーノートにありませんでした。
とはいえ、単に前述どおり開発者向けのセッションを一部独立させたりもしていますので、もし前回より人数が減っていても当たり前なのかもしれませんが。


■セッション

ここでは、特に興味深かったセッションについて簡単にご紹介いたします。

Forum:Picking etcd as a base service

Cinder利用時にデフォルトで必要となるミドルウェアとして、etcdを追加するか否か、に関する議論です。
etcd推進派は、処理の排他情報をノード間で共有するためにetcdが便利なので使いたい、というのが動機となっているようです。
一方反対意見としては、新しいミドルウェアを追加するとオペレーションの負担が増えるのではないか、という懸念があるようです。
ほか、利用するにしても、etcdのバージョンをどうするか、といった議論もありました。
その場で最終結論は出ないのですが、議論の形跡は以下にまとまっています。

https://etherpad.openstack.org/p/BOS-etcd-base-service

また、それ以外のForumの議論結果についても、以下にリンクが一覧としてまとまっています。

https://wiki.openstack.org/wiki/Forum/Boston2017

実は議論内容以上に、今回から新設されたForumがどのような雰囲気になるのか......という点が気がかりだったのですが、参加してみるとこれまで開催されていたデザインサミットとほぼ同じで(中央にモニタがあってPJや問題の中心的人物が付近に座り、その他メンバはその外から意見を表明する)、少し拍子抜けしました。
ただ、以前のデザインサミットは入口に「開発者以外お断り」というポスターが貼ってあったりと『開発者向け』という性格が非常に強調されていたのですが、Forumの場合ユーザーも参加して意見表明できる、という目的の違いが大きいようです。


Kubernetes on OpenStack on Kubernetes: The Infrastructure Club Sandwich

物理マシン複数台に対してKubernetesクラスタを組み、その上にOpenStackを構築します。さらにその上にKubernetesクラスタを組むという、KubernetesでOpenStackをサンドイッチする構成を紹介していました。

OpenStack上にさらにKubernetesクラスタを構築する利点は以下の3点です。
・アプリケーションをデプロイしやすくする
・OpenStack上のリソースの効率的に利用できる
・Kubernetesでリソース使用量を取得することでアプリケーションに必要なリソース量を把握することができる。

また、このような構成とすることで物理マシンやOpenStackのVMに異常が起きても、別の正常な物理マシンやOpenStackのVM上にコンテナが移動することで、可用性も高まると考えられます。

Kubernetes関連の技術や構成案についてのセッションはこの他にも多数あり、注目度の高さが伺えますね。

Market Place Mixer

ヨーロッパ(フランスやイタリア)から参加している企業など、日本にいると普段あまりお会いする機会がない方達とも話せる、非常に貴重な場となります。
(まあマーケットプレイスは基本的にサミット期間中常時開催されているのですが、セッションに参加していると、なかなか時間をとって話す機会も作りづらいので、この催しは有りがたいと感じます)


上記写真のとおり、大きな賑わいを見せています。
ただ、今回はちょっと会場の飾り付けが地味な気も......?

余談

ボストンは非常に見どころの多い街ですが、誰もが思い浮かべる名物の一つといえば......クラムチャウダーではないでしょうか?
せっかくだからということで、サミット終了後、会場向かいのお店でいただいてきました。

感想は......「普通においしかった」です。

連載シリーズ
テクノロジーコラム
著者プロフィール
本上 力丸、池尻 恭介
本上 力丸、池尻 恭介