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Open Networking Summit North America 2019 参加レポート

2019/4/3~2019/4/5にアメリカ・サンノゼで開催された『Open Networking Summit North America 2019』の現地の様子、気になったセッションなどをお伝えします!

はじめに

こんにちは、NTTテクノクロス株式会社の小柳です。
2019/4/3~2019/4/5にアメリカ・サンノゼで開催された『Open Networking Summit North America 2019』の参加レポートをお送りします!

私自身はNFV/SDNに関わる業務を担当しており、海外キャリア・海外ベンダの動向や、ネットワークの新しい技術トレンドを収集する目的で参加してきました。

サンノゼは車社会で、予想に反して街中を歩く人の数は少なめでした。市内はVTA(路面電車)が走っていて、イベント会場であるマッケンナリーコンベンションセンターもVTAの駅の目の前にあるなどアクセスはとても良好でした。
サンノゼ市内

Open Networking Summitについて

ネットワーク業界の未来を形作るために、通信キャリアやベンダが最新技術やユースケースを発表・共有するイベントです(Linux Foundation主催)。
今開催では、3日間のキーノートやセッションを通じて、以下の話題が多く見られました。
  • ・キャリアネットワークのオープンソース活用
  • ・ONAPへの期待
  • クラウドネイティブ化

キャリアネットワークのオープンソース活用

キャリア・ベンダ双方が、「クラウドに倣い、キャリアネットワークにもオープンソースを活用していく」ことを強調していました。オープンソース活用のメリットとして、たとえばセキュリティに問題があった場合に、ソースが公開されていると自前ですぐに修正できる点が挙げられていました。

Huawei社のキーノートでは、キャリアとベンダの密な関係から脱却し、キャリア・ベンダ・サードパーティ、そしてその中心にオープンソースコミュニティが存在する新たなコラボレーションイメージが提唱されていました。
具体的には、コミュニティ上でキャリアビジネスのユースケース(ブロードバンドサービスなど)を定め、ベンダやサードパーティが連携して見本となる実装を定義。キャリア各社がその見本をアレンジして活用する「ユースケースドリブン」の考え方を発表していました。

ONAPへの期待

ネットワーク関連のオープンソースの話題では、オーケストレータのONAPに関するセッションが最も多かったです。

ONAPの利用者側となる通信キャリア各社は、ONAPのクローズドループ(監視~分析~アクション)を活用したネットワーク保守の自動化に期待を寄せていました。

また複数社(AT&T社・Ericsson社・Huawei社・Nokia社・富士通社)がONAPを活用したデモを展示していました。
※以下の画像は富士通社のデモ:ONAPからTAPI(Telephony Application Programming Interface)とOpenRoadm(Open Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexe)をSDN制御

各社ともサービスデプロイの自動化やSDN制御をONAP上で実現していましたが、デモの構築にあたり多くのコード追加や修正、解析といった苦労があったようです。このようなコード変更の対応を通信ベンダが実施できるようになっているのも,オープンソースの利点の一つとも感じました。

クラウドネイティブ化

コンテナやKubernetes®、マイクロサービスといったクラウドネイティブに関するセッションも多数ありました。

NFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能の仮想化)の視点では、現時点のクラウドネイティブ技術において、キャリアグレードで求められるネットワーク機能や性能面で解決すべき問題点について触れられていました。

具体的には、ノイジーネイバー対策やPod間ネットワークの高速化を実現するためのプロジェクトがすでに活動していることより、クラウドネイティブが徐々にNFVに歩み寄っているように感じました。

その他、興味深かったセッションを紹介します。

LeanNFV

新たに誕生したLeanNFVプロジェクトが、NFVのMANO(Management and Network Orchestration)構成にKey-Value Storeを導入することを主張していました。Key-Value Storeでルールに基づいたデータ管理を行うことでコンポーネント間の関係性をオープンにさせ、各種コンポーネントの相互運用性を高めることを狙いとしています

LeanNFVプロジェクトは本イベントのダイヤモンドスポンサーでもあり、キーノートで大々的に発表されていました。2019年6月時点では、LeanNFVの公式サイトにホワイトペーパーのみが公開されており、LeanNFVの概念への賛同者を募っている状況のようです。

Stratum

ホワイトボックススイッチのインターオペラビリティを高めるStratumのキーノートもありました。ONFが推進するStratumは、ホワイトボックススイッチ上にP4 Runtimeなどの実行環境を提供することで、同じ記述で書かれたP4 Runtimeが異なるベンダのホワイトボックススイッチでも実行可能になるとのことです。

ONFは、StratumやONOS 2.0などを組み合わせた、「OpenFlowの先にある次世代のSDN」を築くプロジェクトを2019年にキックオフすると宣言していました。
Google社がバックについていることより、今後ますます注目されていくものと考えられます。

まとめ

私自身は本イベントは初めての参加でしたが、ネットワークの動向やトレンドを把握する上でよい経験になりました。ONAPの海外における熱量・期待の高さについて、肌で感じられたりもしました。

NFVとクラウドネイティブが融合すると果たしてどんなネットワークに変わるのでしょうか? 今後も本イベントなどを通じてネットワーク業界の新たな動向をキャッチアップしていきたいと思います。
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小柳 達也
小柳 達也