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IOWN Open APN 入門 第1回 ~Open APNの概要と構成~

今回はIOWN Open APNの全体構成と概要についてご紹介したいと思います。

はじめに

こんにちは, NTTテクノクロス株式会社の村木と申します。
 
本連載ではIOWNの柱の一つであるAPNのオープン化にまつわるOpen APNについて記載していきます。
IOWN全体概要とそのカーボンニュートラルへの寄与については以下の連載をご確認いただけますと幸いです。
 
今回はIOWN Open APNの全体構成と概要についてご紹介したいと思います。
 
  
○目次
  

Open APNとは

○Open APNの概要
Open-All Photonic Network(Open APN)はIOWN Global Forum(IOWN GF)で提案されたフォトニクスネットワーキングのオープンアーキテクチャです。
低遅延・低消費電力を実現するネットワーク基盤として, サービスプロバイダがフォトニクスネットワーク機能をコンピューティングやネットワーキングのインフラ全体とよりきめ細かく統合できるよう検討を推進しています。
Open APNは以下のような目指すべきゴールを定め検討を進めています。
 
○Open APN Architectureの概要
Open APNは2022年初めにアーキテクチャ文書である「Open APN Functional Architecture Release1」を, 2023年9月にアーキテクチャの拡充・詳細化を行った「Open APN Functional Architecture Release2」を公開しています。
Open APN ArchitectureのRelease1/Release2の章立てと概要は以下の通りです。

Open APNの機器構成

○APN-I/APN-G/APN-T/APN-Cの概要
Open APNのハイレベルリファレンスアーキテクチャを下図に示します。
 
以下の4つの機能ブロックが定義されています。
・オープンAPNトランシーバ(APN-T)
・オープンAPNゲートウェイ(APN-G)
・オープンAPNインターチェンジ(APN-I)
・オープンAPNコントローラ(APN-C)
各機能ブロックの概要は以下の通りです。
 
※波長クロスコネクト:入射する各光路を電子処理を必要とせず, 任意の方向(任意のポート)に出力する
※アダプテーション:異なる種類の光ファイバを同一の光波長パスのままで接続可能とする
※アドミッションコントロール:光信号の透過/不透過の制御
 
○OTN Anywhereの概要
その他Open APNに関わる機器として, IOWN APN1.0ですでに提供されている端末装置「OTN Anywhere」の概要は以下の通りです。
・光信号の受信・変換機能:お客さま装置等から10GbE/100GbEの信号を受信し, OTU4に変換し出力
・遅延の可視化・調整:拠点の遅延測定結果を「OTN Anywhere」のログとして出力し可視化, 1マイクロ秒単位(8μ〜20ms)での遅延調整

APN各装置の全体的な開発状況とNW構成の概要

○APN各装置の全体的な開発状況の概要
APN各装置の全体的な開発状況を本ブログ執筆時点の情報として以下一覧でまとめました。
APN-Tはオープン化が進んでいますが, 今後APN-G/APN-IもWhitebox機器が導入される可能性があるため引き続き動向を追っていきたいと思います。
 
○NGNとAPNのNW構成の概要
APNのNW構成の概要をNGNと比較して下図にまとめます。
※APNももちろんですが, 特にNGN側は一部機器を省略して記載しております。
※公開資料を元に作成した想定図となるため, あくまで概要を掴む程度として参照いただければと思います。

既存網とOpen APNの全体構成比較

○既存網の全体構成
既存網ではコア/メトロ/アクセスの網に分かれており, その間をWDMで接続しルーティング等は電気信号に変換してルータで実施していました。
 
○Open APNの全体構成
Open APNではAPN-I/APN-G/APN-Tを用いることですべて光で接続することを目的としています。
すべてのNWを光で接続することで少ない筐体でのNW構成の実現や各筐体の必要機能が絞られることからコスト削減にも貢献できると想定されます。

既存WDMとOpen APNの関係性

○WDM(Wavelength Division Multiplexing)とは
WDM(波長分割多重)とは1本のファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化して伝送する通信技術です。
波長の異なる光信号をMUXフィルター(合波器)/DEMUXフィルター(分波器)で合分波することで異なる波長は互いに干渉せず, 回線の数だけファイバを用意する必要がなくなり多重伝送を実現できます。
この様な多重伝送を実現する装置をWDM装置といい, 主要都市間を結ぶコアネットワークや都道府県内の主要エリアを結ぶメトロネットワークに用いられています。
 
○WDMとOpen APNの関係性
Open APNではこのWDM装置を機能ごとに筐体として分割し, 必要機能のみをもたせた装置でNWを構成することを目指しています。
・APN-I:WDMの光スイッチ部(WSS)とアンプ
・APN-G:Multiplexer/Demultiplexer
・APN-T:終端(トランスポンダ/トランシーバ)部分

おわりに

今回はIOWN Open APNの全体構成と概要についてご紹介したいと思います。
次回はOpen APNを構成する装置の内, APN-Tの標準化についてご紹介したいと思います。

本件に関するお問い合わせ

NTTテクノクロス
フューチャーネットワーク事業部

村木 遼亮

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村木 遼亮
村木 遼亮

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フューチャーネットワーク事業部 第一ビジネスユニット
村木 遼亮(MURAKI RYOUSUKE)