今さら聞けない「SDGs」。企業が取り組むメリット、取り組まないデメリット
SDGsは国連で採択された「持続可能な開発目標」。企業にとっても取り組むメリットは大きい。NTTテクノクロスも「備蓄品安心サポート そなえるんCSR+」などにより、SDGsの達成に向け取り組みを進めている
特集記事
- 2019年04月18日公開
2015年9月、ニューヨークの国連本部で開催された「持続可能な開発サミット」において、地球規模で取り組むべき大きな国際目標が採択されました。それは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」、略して「SDGs(エスディージーズ)」です。
SDGsは、国連に加盟するすべての国が、2016年から2030年までの15年間にわたって、達成に向け取り組むべき共通目標です。持続可能な世界を実現するため、17の目標と169のターゲットが設定されています。
【目標】
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
こうして並べるだけでも分かるように、環境、資源、エネルギー、健康・衛生から教育、労働、産業、さらには人権や公正性の実現まで、地球社会全体が協力して解決すべきグローバルな課題が網羅されています。これらを2030年までに、なおかつ「地球上の誰一人として取り残さない」ことを目指して、すべての国・すべてのステークホルダーが行動を進める、それがSDGsです。
17の目標と169のターゲット
SDGsは、まるで自分が知らない地球のどこかで起きている"他人事"を解決するものだと感じる人もいるかもしれません。しかし、本当に"他人事"なのでしょうか。
17目標の下には計169の具体的なターゲットが設けられています。目標1には「現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」、目標5には「あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する」、目標7では「世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる」といったターゲットが盛り込まれました。
目標5や目標7のターゲットは、途上国だけでなく、日本でも大きなテーマであることはすぐに分かります。目標1のターゲットも、貧困児童の存在が指摘されている現在、日本と完全に無縁のものであるとはいえません。
例えば最近問題となっている食品ロス。これを抑止することは、目標12に盛り込まれた食品ロス減少というターゲットに直接該当するのはもちろん、貧困や飢餓、天然資源の保護などさまざまな目標につながってきます。食品の生産・流通という視点に立てば、エネルギーや産業・技術革新の目標にも関わってくることでしょう。世界的に見て食品ロスが多いと指摘される日本で暮らす消費者として、日々の心がけがSDGsの課題解決に貢献できることは容易に想像できるはずです。
このように、日々の生活・行動からストーリーをイメージし、17のゴール・169のターゲットと照らし合わせていけば、"自分事"に引き寄せて考えられるテーマが見つかります。
企業の役割に対する大きな期待
一方で、SDGsは企業の役割に大きな期待を寄せている点も重要な特徴です。
実はSDGsが採択される以前にも、世界各国が共同して取り組むべき国際目標として「ミレニアム開発目標(MDGs)」がありました。MDGsは2015年を達成期限としていましたが、この期限を受け新たな国際目標として定められたのがSDGsです。
SDGsとMDGsには大きな違いがあります。MDGsが各国政府をはじめとする行政セクターの努力を念頭に置いていたのに対し、SDGsでは企業やNPO/NGOといった民間セクターも含め、文字通り世界のすべての人たちが課題解決に主体的に取り組むことを求めているのです。その中でも、目標達成に寄与する投資やイノベーション創出といった点で、企業に対する期待は大きなものがあります。
企業の多くはこれまでにも、いわゆる「CSR(企業の社会的責任)」の見地から社会貢献活動を繰り広げてきました。しかし従来のCSRは、金融機関が植林活動を行うなど、どちらかといえば本業と直接関係のない活動が主になっていた印象があります。
これに対してSDGsは、各企業がそれぞれの本業を通じて目標達成に取り組むことが重要であると示唆しています。消費者が日々の生活から"自分事"を見いだせるように、企業も自らの本業を見直し、各業務をブレイクダウンすることで、SDGsの目標達成に結びつく要素が見えてきます。
SDGsには17の目標と169のターゲットがあります。多いと感じるかもしれません。ただ、多くのターゲットがあることで自社の活動に結びつけやすいのも事実です。
例えば、先ほどの食品ロスで出てきた目標達成のために、企業の備蓄品管理から活動を始めることもできます。備蓄品を必要としている団体に寄付すれば、SDGsの目標達成貢献にもつながります。
SDGsに企業が取り組むメリット
では、SDGsに本業で取り組むことで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まずは、SDGsの目標達成につながる製品・サービスの開発によって、新規市場開拓や事業機会創出につながる可能性があります。また、投資家の評価が高まり、顧客には良いイメージのブランディングができるでしょうし、そうした企業で働いている従業員の意識やモチベーションも向上するでしょう。
一方、SDGsの諸課題が企業活動に与える影響を洗い出し、将来を見据えて発生し得るリスクの特定と回避策立案も可能になるでしょう。例えば、SDGsに取り組まないと社会的に評価が下がり、取引先から外される可能性が出てくるかもしれません。投資家から資金が集まりにくくなる可能性もあります。採用活動にも影響が出そうです。優秀な人材は企業のSDGsの取り組み度合いをチェックするでしょう。
投資家、顧客、従業員をはじめ、取引先や地域なども含めたあらゆるステークホルダーから信頼を得ることで、企業の価値向上と持続的成長を実現できます。SDGsは企業の姿勢をはかるアイコンになりつつあります。
企業のSDGsに向けた取り組みとして期待されるのは、本業で提供する製品・サービスに直接関わるものだけとは限りません。日常の業務活動の延長で貢献できる可能性もあります。
企業では、災害対策として備蓄品を用意していることでしょう。このうち、食料については賞味期限や消費期限があります。これらの期限が近づいた食品を廃棄するのではなく、寄付をすることで食品ロス低減はもちろん、食料を必要としている人の支援や災害に強いレジリエントなまちづくりなど、SDGsの目標達成に貢献することも可能です。
NTTテクノクロスでは、企業の災害備蓄品管理を効率化しつつ、買い替えを前にした備蓄品の寄付をサポートする「備蓄品安心サポート そなえるんCSR+」というサービスを展開しています。こうしたサービスの活用で身近なところから貢献を進めていくことも、SDGsの達成に大きく寄与し、巡り巡って企業のメリットにもつながると考えています。
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