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どこまで進んでいる?企業におけるデジタルトランスフォーメーション

皆様の会社では、デジタルトランスフォーメーションに取り組まれていますか?あるいは、どこまで進んでいるのか、答えられるでしょうか?

様々な分野で急速に拡大しつつあるデジタルによるビジネスの変革

前回のNTTテクノクロスフェア2017のレポートでも紹介したとおり、農業など、これまでICTがなかなか活用されていなかった分野で、急速にデジタル化が進んでいます。一般的な企業にとっては、以前から取り組んできたことのはずですが、だからといって、x-Techのトレンドを見て「今さらデジタル化?」などと考える方はあまりいないでしょう。それはx-Techなどで主体となっているのは、業務の電子化やITによる業務効率化といった、社内におけるデジタル化の枠組みにとどまるものではなく、いわゆるデジタルトランスフォーメーションによって、外部の顧客との関わりについても変革を起こすことで、新たな価値を作り出そうという流れだからです。

そのため、他業界のデジタルトランスフォーメーションについて見聞きすると、むしろ、自社、あるいは自社が属する業界の状況はどうなっているのかと感じつつ、どこから取り組むべきかと案じてしまう方も多いのではないでしょうか。

企業でのデジタルトランスフォーメーションはどれほど進行しているのか

皆様の会社では、デジタルトランスフォーメーションに取り組まれていますか?あるいは、どこまで進んでいるのか、答えられるでしょうか?

IT企業や一部の大企業においては、デジタルトランスフォーメーションは進んでおり、それによってビジネスのスピードアップや競合企業との差別化を生み出し、場合によっては、既存の産業構造を破壊する、いわゆる「デジタルディスラプション」まで引き起こしつつあります。では、一般的な企業全般においては、デジタルトランスフォーメーションの浸透はどのような状況にあるのでしょうか。IDC Japanが2017年4月に発表した「国内デジタルトランスフォーメーション成熟度に関するユーザー調査結果」に関するプレスリリースを参照してみましょう。この調査では、このデジタルトランスフォーメーションに関する成熟度を以下の5段階で評価しています。

  • 【ステージ1】個人依存:
    カスタマーエクスペリエンス戦略は遅れ、デジタル技術は競合からの脅威への対策時のみ導入。
  • 【ステージ2】限定的導入:
    デジタル技術を活用したカスタマーエクスペリエンス戦略を実施しているが、企業内で製品に一貫性はない。
  • 【ステージ3】標準基盤化:
    ビジネスに一貫性はあるが、革新的な製品/サービス/カスタマーエクスペリエンスではない。
  • 【ステージ4】定量的管理:
    デジタル技術による製品/サービス/カスタマーエクスペリエンスを提供するマーケットリーダー。
  • 【ステージ5】継続的革新:
    グローバル競争において迅速に新しい製品/サービスを創出し、既存の市場を再構築する。

IDC Japanでは、従業員1000人以上の大規模企業に所属する、部長クラス以上、あるいは、予算・企画等の意思決定者である係長クラス以上の533人に対してWebアンケート調査を実施した結果、ステージ1に位置する企業が3.7%で、同じくステージ2が17.8%、ステージ3が46.1%、ステージ4が28.1%、ステージ5が4.4%と分析。国内企業の約半数がステージ3(標準基盤化)にあり、企業戦略の一環として全社的にデジタルトランスフォーメーションに取り組む企業が増えているものの、その取り組みは「短期的かつ従来のビジネスの効率化が中心」であり、革新的な製品やサービスを連続的に創出し、市場に変革をもたらすレベルには至っていない企業が多いと指摘しています。

また、少し古いデータ(2016年11月発表)となりますが、ガートナー ジャパンでもデジタルトランスフォーメーションに関する調査結果を発表しています。こちらも同様に、既に一定数の企業が大なり小なり成果を挙げ始めているとしつつ、2割の企業は戦略がないまま、戦術的あるいは機会追求的に取り組んでいると見ています。

では、そもそもデジタルトランスフォーメーションとはどのようなことを指すのでしょうか。IDC Japanでは、デジタルトランスフォーメーションを「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新たな製品やサービス、ビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。第3のプラットフォームとは、クラウド、ビッグデータを含むビジネスアナリティクス、ソーシャル技術、モビリティをコアとした情報基盤であり、第1のプラットフォーム=メインフレーム、第2のプラットフォーム=クライアントサーバ型システムに続くものとされています。

また、ガートナーでは、デジタルトランスフォーメーションを「デジタルの世界と物理的な世界の境界を曖昧にすることによって、新しいビジネス・デザインを創造すること」と定義し、同社では「デジタル・ビジネス」とも呼んでいます。システム、人、モノ、場所といった要素がセンサやクラウドを通じて相互につながることで、デジタルの世界と物理的な世界が融合し、これまでにないビジネスモデル、業務プロセス、カスタマーエクスペリエンスの設計が可能になっているというわけです。こうした変革によって、産業の境界も曖昧になり、異業種からの参入なども活発になりえます。たとえば、以前のコラムの講演レポートで紹介したように、便器を作る住宅設備機器メーカーがトイレにデジタル・テクノロジーを取り入れることで、ヘルスケア産業に参入しています。また、デジタル・ビジネスの成功例として取り上げられることが多い配車サービス「Uber」や民泊サービス「Airbnb」、さらに日本でも広がりつつあるカーシェアリングやサイクルシェアリングなどは、デジタルによる変革が既存の交通機関や宿泊業を脅かす可能性を持つ典型的な例といえます。

いずれにせよ、デジタルトランスフォーメーションはどの企業、どの産業にとっても決して無関係ではなく、従来のビジネスのあり方をデジタル化によって変革していくことで、新たな価値を創出できるチャンスがあり、また、そうしなければ今後は生き残ることが難しいと捉えるべきだといえるでしょう。

デジタルトランスフォーメーションの実現にあたって情シスは何をすべきか

こうしたデジタルトランスフォーメーションという新潮流を迎えている中で、情報システム部門はどのように関与すべきなのでしょうか。冒頭で述べたように、なかなか取り組むことが難しいと感じている方は少なくありません。その理由は、たとえば、単に顧客エクスペリエンスを強化すればいいわけではなく、そうした取り組みを全社一貫のものとしなければならないからでしょう。従来の業務の電子化や効率化などでは、対象となる部門のニーズを汲み上げて、実際には情報システム部門が主導するというかたちが多かったかもしれませんが、デジタルトランスフォーメーションにおいては、経営層の関与のもとでビジネス戦略とIT戦略を連携させ、あらゆる事業部門と情報システム部門が共同で主導していかなければなりません。情報システム部門は、そうした中で出てきたアイデアを迅速にかたちにするだけではなく、時には新たなテクノロジーの導入などを積極的に主張し、全社横断で構成されたチームの原動力となることも求められるのではないでしょうか。

本格的な実施はまだ先という場合でも、将来的なデジタルトランスフォーメーションへの取り組みを意識し、少しずつITインフラなどの環境面を整えておくことは可能です。デジタルトランスフォーメーションを実現するためには、これまでは基本的には閉じられていた社内システムやエンタープライズアプリケーション(業務アプリケーション)を、社外の顧客、モノ、データ、あるいはエコシステムなどともつながりを持った(もしくは将来的には持つことが可能な)プラットフォームへと変革していく必要があります。そのような視点で現在の社内システムや業務アプリケーションを再確認し、たとえば、基幹システムのあり方や、社内データの収集や保管、集約などの状況について改めて検討するなど、徐々にデジタルトランスフォーメーション"レディ"な環境へと移行しておくというわけです。

また、冒頭で社内におけるデジタル化はすでに行われているはずだと述べましたが、これらについても、再度見直しておく必要はあるでしょう。情報システム部門が自社のデジタル化は進んでいると考えていたとしても、事業部門の内部へ目を向けると、ちょっとした案件管理や問い合わせ対応など、旧態依然としたやり方のままで放置されたりしているケースは意外と多いものです。まずは、こうした見逃しがちな身近なアナログ業務の洗い出しから始めてみてはいかがでしょうか。

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