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イベントレポート:NTTテクノクロスフェア 2017(前編)

2017年9月21日「NTTテクノクロスフェア 2017」をベルサール東京・日本橋にて開催しました。まず前編では、「第4次産業革命」をいかに戦うか?日本企業は、経営戦略やビジネスモデルの考え方を変えていかないと世界と戦えない!というビジネスインパクトに関する基調講演の内容と、それに関連する展示をご紹介します。

第4次産業革命時代を生き抜け!既成概念を廃し、革新的な視点で挑む企業のIT活用

 2017年9月21日、NTTテクノクロスでは「Crossing of Technologies ―デジタルイノベーションを体感―」をコンセプトとし、プライベートイベント「NTTテクノクロスフェア 2017」をベルサール東京・日本橋にて開催しました。今回の記事では、AI、IoTなどの最先端技術の利用がもたらすベネフィットを「これからの未来社会」として紹介した、同イベントのセミナープログラム及び展示の内容を2回に分けてレポートします。まず前編では、「第4次産業革命」をいかに戦うか?日本企業は、経営戦略やビジネスモデルの考え方を変えていかないと世界と戦えない!というビジネスインパクトに関する基調講演の内容と、それに関連する展示をご紹介します。

【基調講演】「第4次産業革命を戦う 新しい経営戦略」~第4次産業革命に追従し、自社に変革をもたらすためになすべきこと

 基調講演には、東京海上火災保険に1973年入社以来、一貫してICT分野で活躍し、2006年には東京海上日動システムズの取締役社長に就任、そして、2015年からは一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)の会長を務める横塚裕志氏が登壇。グローバルで見た第4次産業革命のインパクトと、その中で日本企業が生き残るために何をすべきかを語っていただきました。

横塚裕志氏

 横塚氏は、シンガポールマネージメント大学(SMU)開催の「Lee Kuan Yew Global Business Plan Competition」をフェアの前日まで視察され、講演開始冒頭ではその最新情報をご紹介いただきました。同大会では556ものビジネスプラン(68カ国300大学以上が応募)の中から、オンライン選考を通過したファイナリスト36チームがシンガポールに集結。横塚氏は、優勝した「SPECTRAPLASMONICS」(食品や水にセンサーを当てて、汚染を超高感度で検出)などの先進性を報告する一方で、ファイナリストの中には日本の大学は残っておらず、「世界のビジネス作りに日本は取り残されつつあるばかりか、周回遅れにすらなりつつある」という危機感を改めて感じたと語られました。

 続いて、第4次産業革命の一例として「インテリジェンストイレ」を紹介。これは、トイレでの排泄物をセンシング(計測)、分析し、我々の健康状態を見極めてくれるものです。ソフトウェアやセンサーといったテクノジローによって、便器を作る住宅設備機器メーカーがあっという間にヘルスケア産業に参入し、きわめて大きなインパクトを起こしてしまう。これこそが第4次産業革命の典型的な例であり、同様の事象が世界中で数多く起きていることを認識すべきだと横塚氏は強調しました。

 第4次産業革命といえば、AI、3Dプリンタ、スマートロボット、VRといった新たなテクノロジーをいかに活用し、ビジネスインパクトを与えるかという側面もさることながら、"産業構造"として、"社会構造"として、非常に大きな変化が起きているとし、具体例として「自動運転」のインパクトを挙げました。自動運転によって事故がなくなれば、自動車の製造や修理を担う自動車産業はもちろん、損害保険業のあり方も変わりますし、人件費なしで車両の運行が可能になれば、タクシー業界をはじめ、鉄道、貨物や宅配など、ありとあらゆる産業のビジネスモデルに何らかの影響や大きな打撃を与え、ともすれば産業そのものが破壊されてしまうというのです。

横塚裕志氏のセミナー

 

 横塚氏は、世界中で進行している第4次産業革命について、以下のように整理しました。

 

第4次産業革命の脅威とは?

  1. 1)本業が破壊される
  2. 2)ライバルが誰かわからない
  3. 3)技術の進化が予測できない

 

第4次産業革命の特徴とは?

  1. 1)コンピュータ/通信技術の驚異的進化
  2. 2)エコシステムによる革命
  3. 3)情報の非対称性の逆転/顧客価値イノベーション
  4. 4)限界費用ゼロ社会
横塚裕志氏のセミナー資料

 

 こうした第4次産業革命のもとでは、3年先を見据えて、目標を達成するための計画を立てていくといったような従来の経営モデルでは、もはや通用しません。今まで通りの仕事のしかた、ビジネスモデル、そして、経営戦略では、いかなる企業も生き残っていけるはずがなく、必死に変わる努力をしなければ、日本企業の、そして、我々の明日はないと強調されました。では、具体的にはどのようにすればよいのか。横塚氏は、世界中のグローバル企業、スタートアップ企業の方々と日々議論する中で、以下のようなポイントが重要だと語ります。

 

企業としての生き残り戦略

  1. 1)AIなどのデジタル技術で本業をイノベーションし続ける
  2. 2)顧客の新しい価値をイノベーションし続ける
  3. 3)3年後の姿を描くのではなく、日々挑戦し続ける
  4. 4)自らを変革し続ける

 

 今までのような自社の占有製品/サービスの問題点を整理し、改修や解決を行うルーチンではモノもサービスも売れなくなってしまうというのです。これからは、お客様の課題を解決するという視点で、様々な選択肢を用意、日々挑戦する経営モデルに変え、さらに新たな人材、能力、スキルを取り入れ続けなければ生き残れないと指摘されました。

また、「新しい経営のキー」として、次の2点を経営の軸に据えなければ戦っていけないと語りました。

 

  1. 1)「イノベーション」をどうやって起こしていくのか?
  2. 2)そのために、ビジネスの「エコシステム」をどう作っていくのか?

 

 「イノベーション」とは、お客様の課題を、新しい技術で解決することで、新しいサービスを開発していくこと。そして、「エコシステム」とは、自前の技術だけではもはや解決できないため、様々な会社の技術や、スタートアップと提携し、新しいサービスを作っていくことです。横塚氏は、昨年5月に「デジタル・ビジネス・イノベーション・センター」を立ち上げ、大手企業32社と議論する中で、なかなか難しい問題だと実感しつつも、以下のような事柄がヒントになると指摘しました。

 

「イノベーション」を起こす経営戦略

  1. (1)お客様起点

     これまでのように自社起点で製品やサービスを作り出し、改善し、どう売るかを自社メンバだけで考えるのではもはや通用しません。ビジネスモデルをお客様起点に180度変える取り組みをし、「新ビジネスは、お客様課題を解決することをコミットする」。つまり、「モノを売る、コトを売る」のではなく、「お客様の成果をコミットする」発想への転換が必要なのです。

     お客様自身が必ずしも真の課題を把握しているわけではないため、ハードルは非常に高いものの、これらを実現できる企業こそが勝つと横塚氏は断言し、その実例として、GEのジェットエンジン事業を挙げました。単にエンジンを売るのではなく、IoT活用によりジェット機のエンジン各部の計測、分析を行い、納入先のエアラインに操縦や保守の改善点を指南することで、たとえば5%など、具体的な燃費効率向上をコミットするというビジネスモデルを展開しているのです。

  2. (2)デザインシンキングのフレームワーク

     多くのグローバル企業のベースにある考え方のフレームワークは、「デザインシンキング」。これは、常にお客様からスタートし、お客様とともに考え、プロトタイプを作るなどして、課題を見い出し、その課題にフィットしたものを製品やサービスとして提供するというもの。世界では、「お客様から学ぶ」ことに徹底しています。

  3. (3)世界の最新情報を知る

     日本人は、世界の最新情報をあまりにも知らなすぎるばかりか、知らないということすら知らないと指摘し、意識して世界を回り、情報を肌で感じることが必要だと語りました。横塚氏自身も、世界各国を回っている中で、デジタルテクノロジーの急激な進化、そして、第4次産業革命の「熱いうねり」を実感しているそうです。

  4. (4)成果主義人事制度の限界

     社内競争こそがイノベーションを蝕んでおり、成果主義人事制度などはもうやめたほうがいいと横塚氏は考えます。社内で競争していては、イノベーションは起きない。失敗したり、間違えたりすることで人事考課上評価が下がると思うと、結局は何もしないのが一番いいという考え方になってしまいます。「JUST DO IT」「考えるな、間違えろ」という、失敗チャレンジをよしとする企業風土の醸成、そして、お客様の問題をしっかりと考えるといった能力を育むための評価制度、人事制度の見直しこそが重要であり、経営戦略の軸となると語りました。

 

「エコシステム」を育む経営戦略

  1. (1)企業機密を意識せずに語り合える場を作る

     異なった企業どうしで集まる場でよく見かけるのは、自社のことは言わない、人の会社情報は持って帰るといった姿だと横塚氏は感じており、リスクやガバナンスばかりにとらわれるような考え方を改めなければならないと語りました。同様に、「参加メンバが意思決定できる権限」「参加メンバのパッション」も大切だと横塚氏は示しています。

  2. (2)お客様の課題を探求する

     前述のように、お客様の真の課題はお客様も認識しておらず、潜在的なところに何となくあるようなものだからこそ、課題定義のための取り組みが非常に重要であり、経営としては、どのようなメンバを集め、どうやってお客様の課題を探求し、課題を定義するかといった戦略を立てて臨むことが非常に重要です。冒頭に紹介したコンペティションでも、この課題定義がどれほど果たされているかが、ファイナリスト選定の重要な評価項目となっており、真の課題定義ができていれば、おのずとゴールは見えてくるものだからです。これらを受けて、これからのビジネスマンに最も必要なことは、以下の4つを挙げられました。
    • お客様の課題をしっかり整理して定義する
    • そのお客様の課題をどう解決するかを考える
    • その課題解決をどう実現していくかを考える
    • その実現案をいろいろな人に説明して納得してもらう


  3. (3)小さくても始めよう

     たとえば「自動運転」のように、はじめは単に「世界から交通事故をなくしたい」といった思いから生まれた夢にすぎなかったのかもしれません。それが大きなビジネスとなり、産業構造や社会構造に大きなインパクトを与えようとしています。つまり、何が新しいビジネスに化けるのかわからないのです。いろいろなことを経験しながら、小さな芽を育てていくことも重要でしょう。

 

 このように、第4次産業革命を迎えて、日本企業や社員がなすべきことかを説明した上で、横塚氏は最後のメッセージとして、次のように投げかけました。

 

    • 今までの経営のやり方でこれからもやっていけますか?
    • あなたの会社は10年後生き残っていますか?

 

 世界は、コンセプトを変えながら、新しいテクノロジーを使い、新しいビジネスに取り組んでいます。少しでもよいので、会社を変えていくという取り組みを明日からでも始めてほしいとし、「何かしらの行動を起こしてもらい、皆様の会社が少しでも変わっていっていただければ」という言葉で本講演を締めくくられました。

 

【ご挨拶&展示紹介】労働生産性を高めるために不可欠なワークスタイル変革から、様々な分野で進むデジタルイノベーション&デジタルトランスフォーメーションまで

 基調講演に先立って行った挨拶で、NTTテクノクロスの串間和彦 代表取締役社長が、第4次産業革命を戦い抜こうという企業のチャレンジを積極的に支援していくと強調。「Crossing makes the Future. ~まじわる力でみらいを創る」というコーポレートスローガンを紹介し、「皆様の持っている様々なビジネスと弊社の技術をうまく組み合わせることで、大きな広がりを作らせていただきたい」と呼びかけました。

串間和彦代表取締役社長

 

 展示エリアでは、その具体例として、様々な製品や参考出品を紹介。

 

ワークスタイル変革

多様化した働き方にあわせた「場所と時間を選ばない働き方を可能にするテレワーク」を扱ったコーナーでは、自社で実践しているテレワーク環境を再現。操作を実際に体験できる展示とし、組織改革や働き方変革を包括的にサポートする製品ラインナップとして様々な製品やサービスを紹介。

ワークスタイル変革

 

おもてなし・2020

NTTテクノクロスではこれまでNTT研究所などで培われてきた高い技術力を活かし、より広範な分野に対してICTソリューションをスピーディに展開していくことを目指しており、以下の製品を組み合わせた新たなVR視聴体験を紹介。2Dライブ映像配信システムの動画に透かし情報をリアルタイムで重畳し、スマートフォンからスムーズに360度映像を呼び出すというデモを行いました。

おもてなし・2020

 

x-Tech

これまでICTがなかなか活用されていなかった農業分野におけるデジタルトランスフォーメーションの活用例について展示や紹介を行いました。

x-Tech

 

新商品

そのほか、少し変わった分野では、弊社自身が抱えていた課題をもとに新たなサービスへと昇華させた製品として、以下の商品も展示し、注目を集めました。

新商品

 

東洋経済ONLINE レポート

東洋経済ONLINEにも、「最先端テクノロジーのベネフィットを体感NTTテクノクロスのデジタルイノベーション」として、イベントレポートが掲載されています。

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